経理を「標準化」して生産性を上げる その3

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経理を「見える化」してスリムにする その3皆様は、自社の経理担当者のスケジュールを一日単位、月単位、年単位で把握できているでしょうか。

じつは、税金の支払い時期などは法律で決まっていますから、それに合わせて年間のスケジュールがある程度決まっています。
社長としては最低限、経理担当者がいま何をしているのかを知っておく必要があります。

繁忙期、閑散期、ピークタイムアイドルタイムを「見える化」する

3月決算の会社を例に挙げ「年単位のスケジュール」を見てみましょう。

1~2月は、決算後の次年度の予算案の作成、経営計画の立案に時間がとられます。
3月からは、いよいよ本格シーズンインとなり、経理事務が最も多忙になる時期、繁忙期となります(中間決算を9月に行う会社の場合は、秋も繁忙期となります)。
なお起業後まもない会社や売上1億円以下の会社で中間決算は手間がかかるというのであれば、月次決算をしっかりやっておくようにすれば中間決算はどうしても必要というわけではありません。

3~6月の繁忙期が、具体的に何が忙しいかというと、毎月の月次決算をもとに、期間損益、計上基準、引当金などを再検証し、再計算する必要があるためです。
また、同時に納税申告のための申告書の作成や株主総会にそなえた計算書類などもこの時期に必要となります。
これらの作業が終わるともう7月ですから、夏季賞与の計算と支給業務に追われます。
 
3月決算の会社の経理の年間スケジュール
 「月単位」のスケジュールはどうでしょうか。

一般に月の上旬には「帳簿の締め切り」「月次決算書の作成」などがあり、忙しくなっているはずです。
さらに下旬には、「受注、出荷の集計」「給与計算」「社会保険料の納付」などがあります。

つまり、月単位で作業時間のピークを見ると、月末月初に集中しているのです。

経理作業が月末月初に集中していることは、何も悪いことではありません。
ただし、自社の経理部門が、ピーク時に合わせて人員の人数を決めているとしたら、それはたいへん非効率であると、認識していただきたいのです。
月中の経理業務というのは、日々の現金の出し入れや、記帳以外に、「源泉所得税の納付」や、製造業なら「原価計算」、小売や卸業なら「棚卸資産の管理」ぐらいしか、仕事はありません。

このとき、月末月初の仕事を月中に振り分けようとする社長さんがいますが、これは間違いです。
月末月初に仕事が集中するのは、経理の仕事内容上のことと、法律や商習慣によって定められており不可能だからです。
このような月単位のピークタイム、アイドルタイムを利用して、経理の作業効率を高めるには「あっと驚く」秘策があります。

それは、月中に「経理作業をやらせない」という逆転の発想です。
 
経理部門は月末月初が忙しく、月中は時間がある

経理業務と営業事務業務「見える化」する

多くの中小企業の経理担当者で、経理事務だけをメイン業務としている人はまれだと思います。
経理担当者は意外に多くの営業事務を兼任しています。

営業事務とは、営業マンのサポートです。
具体的には、商品の受発注管理、在庫有無や納期の管理などがこれにあたります。
また営業マンに代わって、商品説明の資料作成に携わったり、場合によっては顧客に対して簡単な説明を行ったりします。

すなわち、経理業務の作業効率を正確に測定するには、営業事務業務の内容と正確に分化する必要があります。
ここでは、経理業務のアウトソーシング化を提案していますが、営業の事務作業については、さすがに外注は不可能だという会社が多く、この作業を行わないと、経理業務だけアウトソーシングすること自体が頓挫してしまいます。

経理業務のスリム化には、営業事務との分化が不可欠です。
 

経理担当者が兼務している仕事を「分化」していこう!

イレギュラー業務を 「見える化」する

中小企業の経理部門の改善が進まない理由のひとつに業務の属人化があります。
社内にマニュアルが整備されておらず、ベテランの経理担当者の頭のなかだけに、基準が存在し、その基準にしたがって経理業務が進んでいくわけです。

仕訳を例に考えてみましょう。
たとえば、ある会社で、営業マンが取引先の方と、打ち合わせを兼ねて昼食をしてきた領収書があるとします。
これは交際費になるのか、会議費になるのか、といった違いを、その会社の経理担当者は正確にその都度区別して仕訳してくれています。

またこの経理担当者は、中小企業法人の場合、交際費が800万円までしか経費として計上できないことも知っており、交際費がその上限に近くなったときは、会議費に振り替えてくれたりするという知恵ももっています。
ですが時には、その経理担当者でも、 10 件に1件ぐらいは、どちらになるのか悩む こともあり、その都度判断しています。
そのため、自分以外には、自社の仕訳は不可能だと思い込んでいます。

しかし、この会社の社長の立場からすれば、正確に仕訳が行われるかより、一人の営業マンがいくらぐらいの経費を使っているかがわかれば十分だったりします。

このケースでは、営業マンが打ち合わせに使った飲食費に対して、価格の上限を決め、それよりは交際費、以下は会議費というように、できるだけイレギュラー対応を減らした「パターン処理」を導入するとよいでしょう。

すでに会計ソフトを導入している会社なら、仕訳辞書に、仕訳パターンを一度、覚えさせれば誰でも簡単に仕訳することができるようになります。

このような「ルーティン化」が構築できれば、ベテラン担当者が、ややこしい仕訳に頭を悩ませることもないので、パートタイマーに記帳業務を移すことができるようになります。

イレギュラー対応を減らし、ルーティン化に成功すれば、ベテラン社員は、資金繰りなど、より高度な業務に集中してもらうことができ、結果、社長さんが楽になるのです。

 

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