経理が1ヵ月止まれば会社は傾く

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経理が1ヵ月止まれば会社は傾く経営者の多くは、前職で営業マン出身か、技術者出身かのどちらかでしょう。前職が経理出身という方は、まずいません。

ですから、成長期にある企業において、営業マン出身の社長は営業に注力しますし、技術者出身の社長は新技術、新サービスの開発に熱心になる傾向があり、経理はどうしても軽視されがちになります。

このような社長たちにとって、経理とは単なる「空気のような存在」なのかもしれません。

経理とは「空気のような存在」である

地球上から空気がなくなったら、人間をはじめ全生物は一瞬たりとも生きていられないのと同様、もし会社から経理がなくなったとしたら、1ヵ月もたたないうちに会社は傾いてしまうでしょう。

もし、あなたの会社に経理部門がなかったと仮定したら、大きく次の三つに影響が出てきます。

  1. 資金繰り
  2. 対外的な信用
  3. 社員からの信用

第一に、いくら多くの売上が上がったとしても、経理部が請求書を発行し、取引先から入金をもらうことができなければ、売掛金となってしまい、それを原資とした各種支払いにも滞りが生じてしまいます。
結果、資金繰りがうまくいかなります。

第二に、会社が取引先から購入した商品や材料費などの請求書を、経理が支払わないことが続けば、その取引先からの信用は大幅に低下するでしょう。
また、融資を受けている金融機関に対して、手形の不渡りを2回起こすと、取引停止処分になることが一般的です。

第三に、経理が社員に給料を支払ってくれないと、社員から信用してもらえなくなります。
数回続けば、社員は自分の生活を守ることができないので、会社を辞めていってしまうでしょう。

このように、もし経理作業が止まると、会社は資金繰りに窮し、対外的な信用と社員からの信用を同時に失ってしまう危険性があります。
また、そこまででなくとも、経理が取引先に送る請求書の額を、たった数円間違えていたとしても「経理がしっかりしていないなんて、この会社はいい加減だな」
と思われてしまいます。
会社の将来を決定づけるほど重要なのに、軽視される空気のような存在、それが経理なのかもしれません。

もしも会社に経理部門がなかったら

「正確な経理」だけでは会社は続かない

伝票の整理や記帳、売掛金の入金管理など、毎日の経理作業は、これをきちんとしていれば、お金の流れを止めないかぎり、資金繰りの悪化を防ぐ一助になります。
また、取引先などからの信用を損なうことは少なくなるでしょう。
ただし、先述のとおり、会社を存続させるためには、経理部に、通常の経理事務にプラスして、財務管理機能をもたせるべきです。

大手といわれる企業では、経理部とは別に財務部が必ず存在します。
ところが、中小企業といわれるような会社には、ほぼ99%、財務部が存在しません。ではどこにあるのかというと、こちらもすでにご紹介したように「社長の頭のなか」です。
中小企業の社長の頭のなかは、日々「売掛金の回収」「買掛金の支払い期日の把握」「銀行からの融資の取り付け」「融資の返済」がごちゃまぜになっているカオスな状態です。

このような状態で、果たして社長が本来得意とする営業や商品開発にエネルギーを注ぎ込めるでしょうか。
もし、エネルギーが分散されているのであれば、非常にもったいないことです。

自分の頭のなかから財務の情報を取り出して、経理部門に財務管理機能を移すことに成功した社長は、いま以上に会社を大きく発展させていくことができるのです。

経理に予算と実績を与え管理させる

経理部に財務管理機能をもたせるために、具体的にどのようなことを行えばいいのでしょうか。

基本は、予算と実績の管理です。

皆様の会社の経理部員は、今期の実績を知っていますが、今期の予算を正確に把握しているでしょうか。
予算を経理部に知らせれば、それだけで社長の頭のなかは「カオス状態」からかなり解放されるはずです。

一例を挙げて考えてみましょう。
たとえば、皆様の会社で、新規事業に取り組むとします。
そのようなケースでは、社内の力が分散され、既存商品の売上が落ちる傾向にあります。
もし、新規事業に注力させるために既存商品の売上目標を70%に下方修正したとしましょう。

売上の30%にあたる社員の給与を支払うと、毎月何百万円の赤字になるのか、さらにはいま会社にある現預金が何カ月先までもつのか…。
社長が、予算さえ経理部門に伝えておけば、こうした売上と経費の予算達成率を数字で表す資料を用意してくれるかもしれません。
そしてそのようにして上がってきた情報に対して、社長は即座に対策を立てればいいのです。

経理担当者の仕事は社長の悩み・不安を解消すること

中小企業の社長の悩みのナンバーワンは資金繰りです。
なぜ社長は資金繰りで悩んでしまうのでしょうか。

それは単に「知らない」からです。知らないことは、悩みにつながります。

ところで、皆様の会社の来月の支払いはいくらでしょうか。
「家賃が30万円、融資の返済が20万円、仕入の支払いが100万円、人件費が150万円、合計でだいたい300万円ぐらいかな」というように多くの社長は頭のなかで計算をしています。
かつ、現預金が1,800万円あるため、3カ月は支払いに関しては安心だと想定していたとします。
しかし、次月の支払日に現預金を確認すると900万円しかなく、突然不安になるのです。

その原因は、仕入業者が指定してきた締日を忘れ、高額の仕入れを安易に承認していたことにありました。
このようなお金の動きを「知らないこと」が、社長を不安にさせているのです。
このとき、来月末、現預金が900万円減ることが正確にわかれば、どうでしょうか。
すぐに対策が立てられます。

「売掛になっている100万円の案件をすぐ回収しよう。残りは一時的に社長借入にすればいい」

このような状況を事前に経理部門が教えてくれ、社長に対策を考える時間的余裕を提供してくれるとすれば、どうでしょうか。
社長はかなり安心できるはずです。

これこそが経理部門の本来の仕事です。

「曖昧さ」がなくなればやるべきことが明確になる

資金繰り改善につながる財務機能には、

  • 予算編成
  • 経費見直し
  • 銀行との折衝
  • なども挙げられます。なお、さらに細かいものとしては、

  • 3ヵ月以上前の売掛金把握
  • 商品ごとの売上と利益率の算出
  • 営業マンごとの売上と利益率の算出
  • などを経理部門が担当してくれるようになれば、曖昧な数字が明らかとなり、これまでこれらの数字を出していた営業も社長も何をやるべきか、決定することに専念できます。

    どの支払いに、いくら足りなくて、そのお金をどこから調達すればいいのかが明らかになれば、社長の不安は解消されるのです。

     

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