「導入期」の資金調達法

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「導入期」の資金調達法企業には、おおまかに導入期、成長期、成熟期、成熟期の4つのステージがあります。

この各ステージの状況に合わせて、どの資金調達の方法が適切なのかを、詳しくご説明していきましょう。

 

 

事業実績がなくても利用できる「創業融資」

起業するとき、100%自己資金で会社を興す人はほとんどいないでしょう。
起業前に、ある程度の貯金をしていても、事業が軌道に乗るまでは思うように売上が上がりません。手持ちの資金など、瞬く間に底をついてしまいます。運転資金がなくなる前に外部から資金を調達しなければ、せっかく創った会社が潰れてしまいます。
どれくらいの創業資金を確保しておけばいいのかは業種によって異なりますが、一般的には「最低でも月商3カ月分、できれば6カ月分あったほうがいい」と言われています。

この「月商」は「売上ゼロでも会社経営を維持できる金額」のことです。
もちろん、会社の規模や業種形態、創業時期によって異なります。地震や天災など、予想外の災難に見舞われる可能性もゼロではありません。
そのため、あくまで目安として覚えておいてください。
金融機関は決算書を見て「返済能力がある」と認めた会社にしか融資を行いません。実績がゼロの会社に融資をしてくれる民間の金融機関には限りがあります。そのため創業時に利用できるのは、主に政府系金融機関の創業融資制度になります。

とくにオススメなのが、日本政策金融公庫の創業融資です。
日本政策金融公庫は、国が100%株式を保有する特殊な株式会社です。個人や中小企業、農林水産業の従事者に対する資金調達のサポートを行い、大規模災害が発生したときは指定金融機関に対して一定の信用付与を行うなど、国民生活の向上を目的としたさまざまな事業を展開しています。
その中でも特徴的なのは、起業前または起業して間もない企業に対する創業融資制度です。国の政策に則った固定金利での借入が可能で、設備資金の返済期間は最長20年という長期間が設定されています。
この制度は毎年2万社以上、平成28年度には2万8392社が利用しています。
「創業時にオススメの資金調達法は?」と聞けば、必ず選択肢に挙がるはずです。
ここでは、その中の代表的な制度を2つ、ご紹介します。

【新創業融資制度】
融資限度額は最大で3000万円(うち運転資金1500万円)、金利は比較的高めに設定されていますが、原則、「無担保・無保証人」で利用できる、代表者個人に責任が及ばないというメリットがあります。
この制度の対象は、「新規事業を始める人」または、「事業開始から税務申告を2期終えていない人」です。さらに「雇用の創出を伴う事業」「技術やサービスなどに工夫を加えて多様なニーズに対応する事業」などに該当する事業を開始する、創業資金総額の10分の1以上が自己資金であるなど、いくつかの条件を満たさなければなりません。

【新規開業資金】
最大7200万円(うち運転資金4800万円)の融資を受けることができ、設備資金であれば返済期間が最大20年、運転資金であれば最大7年(どちらも据置期間2年)もある長期融資です。
原則、保証人や担保は必要ですが、金利は低く設定されています
この制度の対象は、「雇用の創出を伴う事業を始める人」「現在勤めている企業と同じ業種の事業を始める人」など、一定の要件に該当する起業家、または事業開始後おおむね7年以内の会社です。

このほかにも、日本政策金融公庫には、
【女性、若者/シニア起業家支援資金】
【再チャレンジ支援融資(再挑戦支援資金)】
【新事業活動促進資金】
など、バリエーション豊かな融資制度があります。

また、地域によっては地方自治体が創業融資制度を設けている場合があります。
融資の内容や条件は自治体によって異なりますが、自治体が一定の貸付資金を金融機関に預け、その金融機関が起業家(または創業間もない中小企業)への融資業務を行う、という形で実施されます。
信用保証協会という公的機関の審査をクリアし、保証人になってもらう必要がありますが、日本政策金融公庫よりも利率が低いのが特徴です。
助成金や補助金のなかにも、創業時や創業間もない時期に利用できるものがあります。これについては第4章で詳しくご説明します。

「創業融資申請」の流れとポイント

「融資」であるからには、必ず返済が必要です。
たとえ公的機関でも、返済できない会社には融資をしてくれません。
実際、日本政策金融公庫の創業融資を申請した会社のうち、審査に合格して希望額の融資を受けられるのは2割程度と言われています。
銀行融資は、決算書の分析結果から導き出される「定量的評価」をもとに企業を格付けし、融資実施の可否を決定していました。それでは事業実績のない企業に対する創業融資の審査は、何が重視されるのでしょうか。
日本政策金融公庫の創業融資では、書類と面談による審査があります。
申請の流れを見てみましょう(図❶)。

事業計画書作成のポイント

書類審査で重視されるのは、「事業計画書」(日本政策金融公庫では「創業計画書」)です。
銀行融資では「決算書」を分析して返済能力を測りますが、創業融資では「事業計画書」を分析して「この事業は実現可能か」「革新性があり利益が出るか」を判断し、融資の可否を決めるのです。

「日本政策金融公庫」申請の流れ
図❶「日本政策金融公庫」申請の流れ

なお、審査は「減点方式」で行われます。
審査項目は決まっていて、各項目に「5点」「10点」という点数が割り振られています。そのすべての項目を正しく埋めると100点満点になる仕組みです。
たとえば日本政策金融公庫の「創業計画書」には、次のような項目があります。

◦創業の動機
◦経営者の略歴
◦過去の事業経験
◦取扱商品またはサービスの内容、売上シェア(%)
◦セールスポイント
◦取引先(販売先、仕入先、外注先)のシェア、掛取引の割合、回収・支払条件
◦必要な資金と調達方法(設備資金・運転資金)
◦「創業当初」と「軌道に乗ったあと」の事業の見通し(売上高、売上原価、人件費、家賃、支払利息、その他)
◦売上高、売上原価、経費の根拠など

仮に「創業の動機」の項目に30 点が割り振られていたとしましょう。
その場合、もし「創業の動機」欄に、審査員の心を打つすばらしい動機や、社会貢献度が高いと思わせる文章が書かれていても、30点以上にはなりません。
それ以外の項目、たとえば売上高や売上原価の数字が書かれていなかったり、根拠がない数字が記入されていたら、その項目は0点になります。
つまり、与えられたすべての項目に対して、明確かつ確実な答えを用意しなければ、高い評価を得られないのです。曖昧だったり、いい加減な内容を書いたりすると、どんどん減点されてしまいます。
事業計画はあくまで「計画」です。
利益が出ると思ってもらうためには、その商品・サービスがなぜ売れるのか、どう売るのか、どれくらいの利益を見込んでいるのか、現実的な根拠をもとに説明する必要があります。

面談と現地調査のポイント

面談では、事業計画書に書かれた内容を中心に質問されます。
事業の専門性、商品・サービスのセールスポイント、競合との差別化、売上と利益の予測など、事業計画書に書いたことをすべて記憶してスラスラと答えられなければ、審査員の信用は得られません。
また、面談では人柄も見られます。「この人なら間違いなく利益を出して、きちんと返済してくれるだろう」と思ってもらえるよう、身だしなみを整え、必要な資料を用意し、堂々とした受け答えができるよう準備しなければなりません。
現地調査では「活気がある会社かどうか」が見られます。経営者が優れていても、従業員にやる気がなければ、事業が成功するのは難しいからです。
その建物が事務所や店舗であるとわかる表札や看板があるか、現場が整理整頓されているか、従業員のマナーに問題はないか、明るく活気ある雰囲気かなど、厳しくチェックされることをあらかじめ従業員に伝えておきましょう。

融資確定後に気をつけるべきことは?

融資が確定し、資金が手に入れば、頭に描いた事業をようやく開始できます。
予想外の困難に見舞われることがあっても、強い意志でそれらをクリアし、事業を推し進めていくことでしょう。
しかし、融資確定後の経営者に、「毎月の返済額はいくらで、返済日はいつですか?」と聞いても、「だいたい10万円くらいで、返済日は25日だったと思いますが……」
などと、曖昧な答えしか返ってきません。残高や利率も把握していないケースがほとんどです。
実際に融資を受けてしまうと、お金に対する緊張感や慎重さが薄れてしまう経営者が多いようです。
ただし、それではいけません。

会社経営に︑借金は必要です︒
利益が出せるようになったとしても、つねに競合よりも多くの資金で事業拡大を目指さなければ市場で生き残ることは難しいです。

つまり、経営者であるうちは借金と向き合う必要があるのです。

導入期の頃はその自覚が薄く、「借金はしないほうがいい」という個人としての感覚が残っているためか、真剣に向き合おうとしない傾向がみられます。返済の意思はあるものの、ストレスになるため、できることなら普段は考えたくないというのが本音でしょう。
しかし、毎月の返済額や返済日、残高などを把握していなければ、計画的な資金活用ができません。資金繰りに失敗して一度でも返済が遅れたら、それは大きなマイナス評価になり、次の融資申込に悪影響を与えてしまいます。
逆に、計画通りに返済を完遂することができれば評価が上がり、次の融資が通りやすくなります。

融資を受けたら、必ず決まった日に、決まった金額を返済する。
これを守り、自社の評価を上げて、さらに融資を受けやすい会社にする。
返済は、経営者が果たすべき重要な仕事のひとつです。
そのためにも会社のお金の流れをしっかりと把握し、毎月の返済に問題が生じないかどうか、試算表資金繰り表でチェックする必要があります。

なぜ「試算表」と「資金繰り表」を毎月チェックすべきか

会社を設立したばかりの頃は、仕入先との取引条件もあまり良くないため、良い商品・サービスを提供しようとすればするほど、資金繰りが厳しくなります。
おそらく創業から何年も経過した経営者であれば、(今月はこれくらい入金と出金があって会社に残るお金はこれくらいだろう)、と頭の中に浮かぶはずです。
しかし、すべてのお金を漏れなく正確に把握できる人はなかなかいません。
創業したばかりであればなおさら、資金繰り表を作成して数字を〝見える化〟する必要があります。

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図❷ 簡単な資金繰り表 サンプル

「資金繰り表をつくれと言われても、会計は苦手だし……」と思うかもしれませんが、資金繰り表に決まった形式はなく、手元の現金がチェックできるのであれば、どのような形式でも
問題ありません。
たとえば、すべての入出金をひとつの通帳にまとめて「現金での取引はしない」と決めれば、通帳の入金と出金のそれぞれの合計を出すだけで、簡単な資金繰り表を作成できます(図❸)。実績は当月分、予測は昨年分の数字を参考に、今年の資金繰りを予測したものです。
これを見ると、昨年は7月に大きな出金があり、残高がマイナスになっています。
出金が膨らんだ理由が従業員へのボーナスであれば、その出金は今年7月も発生するため、事前に現金を用意しておかなければなりません。
予測は、初めは3カ月先まででも構いません。慣れてきたら半年先、1年先の予測を立てて、資金繰り表を作成してください。

将来的には、図❸ような資金繰り表を作成できるようになりましょう。資金繰り表は現金出納帳と預金通帳があれば作成できます。
ちなみに私は、会計業務や決算書の作成を会計事務所に任せても、資金繰り表の作成だけは経営者が自分でやるべきだと思っています。
会社の現金がいつ、どれくらい足りなくなるのか。経費の削減や支払いの延期で対応可能か、銀行に追加融資を申し込む必要があるか。
その発見が早ければ早いほど、しっかりと準備をして、資金不足を回避できるようになります。

たとえば、6カ月先に資金がショートするという予測ができれば、
「売上代金の回収をもっと早くできないか?」
「仕入代金の支払いをもっと遅くできないか?」
「経費を減らせないか?」
「在庫が多過ぎないか?」
このような対応策を考え、試していくことができます。
もちろん、経営者が資金繰り表を作成しても、数字が間違っていたり、予測と実績が合わないこともあるでしょう。
そのために併せてチェックしたいのが、「月次試算表」です。
決算書がその年度の「成績表」なら、月次試算表はその月の経営状態を表す「健康診断書」のようなものです。
月次試算表と照らし合わせることで、資金繰り表の実績の数字が正しいかどうか、予測数値が妥当であったかどうかがわかります。
これは市販の会計ソフトでも作成できますが、できれば顧問税理士に依頼することをオススメします。

現金出納帳と預金通帳を用いた資金繰り表
図❸ 現金出納帳と預金通帳を用いた資金繰り表

専門家に毎月の経営状態をチェックしてもらい、売上を上げるにはどうしたらいいのか、資金繰りを改善させるためにはどうしたらいいのか、予測数値の精度を上げるためには何に気をつければいいのかなど、アドバイスがもらえる貴重な機会になります。

「就業規則」と「賃金規定」を整備する

創業当初は従業員が少ないため、多くの経営者は「同業他社の就業規則をそのままコピーした」または「自社に合うように少し手を加えた」程度の就業規則しか用意していません。
厚生労働省の助成金の中には、創業時や創業間もない時期に活用できる制度がいくつかありますが、どれも従業員の労働環境の改善を目的としていて、「就業規則」と「賃金規定」が正しく整備されていることが前提となります。
助成金を申請した会社は、労働局に以下の3点を厳しくチェックされます。
①「労働関係諸法令を遵守しているか?」
◦労働基本法
◦雇用保険法
◦育児・介護休業法
◦健康保険法、厚生年金保険法
◦職業安定法など

②「改正法に対応しているか?」
◦高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
◦労働契約法
◦障害者雇用促進法など

③「従業員に適正な給与を支給しているか?」
◦時間外労働、休日労働に対する給与の支給
◦雇用契約と給与支給額との関係など

助成金の種類に応じてそれぞれの条件を満たしていないと、助成金の申請ができません。
申請が通っても、あとから不備が発見されると受給できなくなったり、助成金の返還を求められることもあります。
「同業他社の就業規則をそのままコピーした就業規則」は論外ですが、そうでなくとも、社労士に作成を依頼していない就業規則・賃金規定では、①〜③の必要な受給要件を満たしていない可能性が極めて高くなります。
厚生労働省の助成金を申請する際は、必ず事前に社労士に相談をして、就業規則と賃金規定を整備しておきましょう。
また、現在、助成金を申請する予定がなくても、就業規則や賃金規定が労働関係諸法令に違反している場合は、将来的に労働問題が発生する可能性があります。
労務関係は専門家でなければ、わからない部分が多いため、なるべく早いうちに社労士に相談することをオススメします。

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