会社設立直後の資金繰りを改善する3つのポイント「売掛金」「過剰投資」「固定費」

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資金繰りの改善のポイントは「売掛金」「過剰投資」「固定費」

たとえば、今、あなたが会社設立したばかりだとします。
会社設立直後で、経営的に厳しい状況が続くようであっても、次に述べる3つのポイントを押さえておけば、資金繰りに困ることはないはずです。

それは「売掛金」「過剰投資(過剰在庫)」「固定費」の3つです。

1.売掛金の回収

売掛金の回収の際、一番大切なのは「相手を慮らない」ことです。
相手はあなたの会社の大切なお客様であることには違いありませんが、代金をまだ払っていない相手でもあります。
妙な遠慮や同情は厳禁です。

これを踏まえた上で、すべての売掛金について「取引先」「発生額」「発生日時」をまとめたリストをつくるようにします。
このリストをもとに集金の電話や訪問をすると、相手としっかり交渉できるようになります。

たとえば、よくあるのは「4月50万円」「5月60万円」「6月50万円」というように売掛金が増えていき、7月になって集金にいったときに「とりあえず……」といって80万円渡されるケースです。

これではどの月の分が精算されたのかは不明確なままですが、リストがあると、そのまま持ち帰らずにその場で「このリストのように4月5月の合計で110万円あります。
あと30万円いただけると5月分までの支払が完了いたしますが、いかがでしょうか」
といえるようになり、回収は早まるでしょう。

売掛金をどんぶり勘定にしておかず、特定の取引先のものが貯まってきたら、分割にしてややこしくしないことが大切です。

またリストをつくったら、時系列に並べるようにしましょう。
すると、古い売掛金ほど、おろそかになっていることがよくわかります。
注意していただきたいのは、商品の売掛債権には時効があるということです。
建築工事請負代金は3年、卸売・小売業などの販売する物品の商品代金は2年、飲食店の飲食代金は1年です。

そのため、たとえなかなか支払ってくれない取引先があったとしても、毎月請求書を出し、決算月には「決算残高確認依頼書」を出して、相手に押印をもらっておくことを忘れないようにしましょう。

また、特定の相手に売掛金を溜めない工夫としては、取引額などによって顧客をランクづけし、いくらまで売掛にしていいか「与信限度額」を決めておいてください。
さらに、取引先の経営状態についての情報収集を怠らず、仮によくないようであれば、与信限度額の引き下げを検討するように心掛けましょう。

2.在庫の圧縮方法

在庫には、適正なものと適正でないものの、2種類があります。
人気があり、よく売れている商品の在庫であれば、何の問題もありませんが、不人気商品で、なかなか現金化できない状態のものは不良在庫です。
貸借対照表には、資産として計上されるので、それを知らないまま決算書を見ると「うちの会社はなかなか儲かっているじゃないか」と思うかもしれません。
しかし、不良在庫を資産だと絶対に、勘違いしてはいけないのです。

不良在庫を持たないコツをご紹介しておきます。

第一に、在庫の商品をよく売れる順にAはすぐに売れる商品、Bは普通の商品、Cはあまり動かない商品、Dはほとんど売れない商品というように、ランクをつけて倉庫のなかで管理できるようにします。

そして、AとBについてはこれまでと同じように扱い、CとDについては期限と価格の引き下げ幅を決め、処分を心がけるようにします。

ところで、アパレルは在庫を持ちやすい業種のひとつですが、業績のよい会社の共通の特長として、効率的な在庫管理が挙げられます。

今「第2のユニクロ」と呼ばれ、女優の宮﨑あおいさんを用いたCMで知られるレディース・アパレルブランド「earth music&ecology (アースミュージック&エコロジー)」が有名なストライプインターナショナルは、今述べたような在庫管理を徹底的に実践する、次世代の企業として知られています。
店舗数は国内外で1,000店、売上は連結で1,000億円を超え、東証一部上場を目指していると言われる企業です。

ここでは、在庫が1年間に13回転、日数で換算すると平均26日ぐらいしか在庫を持っていないことになります。
あのユニクロが70日ぐらいといわれるので、いかに優れているかがわかります。

ストライプインターナショナルでは、3週間定価販売して、消化率が30%を切ったものは、すぐに第1段階の割引販売へと移行(たとえば10%off)、さらに6週間経過すると第2段階の割引販売へ(たとえば30%off)というように、早い段階で小さい値引きをして、在庫を恒常的に持たない仕組みを、規則として徹底しているのです。

ストライプインターナショナルの石川康晴社長はインタビューで、2兆円売って1,000億円の利益を出すのではなく、5,000億円売って1,000億円の純利益を出せる可能性がある、と語っています。
これぞキャッシュリッチ経営の手本といえるでしょう。

皆様のビジネスにおいても、その業種の商品の特性に応じた在庫管理の仕組みを考え、実行していくべきです。

3.買掛金の支払延長

売掛金の回収、在庫の回転を早くすることだけが、資金繰りを改善するポイントではありません。

これらと同様の効果を発揮するのが、買掛金の条件見直しです。
買掛金とは、メーカーや卸から商品を購入したときの未払い金です。
創業時に、メーカーや卸に、取引のスタートを交渉に行くと、「最初は、月末締め翌月末払いでお願いします」というような取引条件を提示されると思います。

その後もずっとその条件で取引する社長がいますが、これは間違いです。
たとえばあなたの会社が、メーカーとある程度、継続的な取引実績を積めたとします。
すると、きりのいいところ、3ヵ月先、半年、1年という節目を目処に条件変更を申し入れるようにしましょう。

ただ、伝え方が難しいです。

「支払条件を緩和してほしい」とだけ伝えると、相手から「この会社は業績が悪くなってきたのだろうか」という疑いを持たれ、かえって条件が悪くなってしまう場合もあるからです。

このような事態を避けるためには
「うちは御社と6カ月間取引させてもらいました。その間、支払に遅れたことは一度もありません。今後弊社は御社の商品をもっと仕入れて業務を拡大していく予定です。その際、資金繰りがネックになります。月末締めの翌々月10日払いとさせてもらえませんか」
というようなプラスの意味を持たせる交渉してみてはどうでしょうか。

まずはその交渉の前に、同業者の社長仲間から、そのメーカーとどのような条件で取引しているのかなどの情報を仕入れておきましょう。
業界の平均値がわかるはずです。

そのデータをもとに交渉していくと、スムーズに運ぶでしょう。

理想としては、売掛金の回収期間よりも、買掛金の支払期間を延ばすことです。
たとえば、売掛金の回収期間が50日間で、買掛金の支払期間が40日だったとします。
すると50日間−40日間=10日間の間は、資金繰りが苦しくなっている計算になります。
これが売掛金50日、買掛金60日となれば、売掛金を支払うまでに、10日間の資金的余裕が出ることになります。

新たな仕入先などと取引を開始する場合は、
「自社の財務内容が好調であること」
「これまで同内容の商品の販売実績があること」
などを理由に初回から好条件の買掛金支払条件を引き出すように努力しましょう。

ちなみに、先ほどご紹介したストライプインターナショナルはこれとほぼ同じ仕組みを利用して、実質無借金経営を続けています。
運転資金調達の必要がないからです。

 

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