経理のアウトソーシング先の選び方 その1

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経理のアウトソーシング先の選び方 その1経理のアウトソーシング先としては、会計事務所系一般企業系の二つがメインとなります。

一般企業系のアウトソーシング会社は、大企業のなかの経理部門のシステムをそのまま使って外注するタイプと、アウトソーシング業務を独自提供しているタイプの二つに分かれます。

会計事務所系のアウトソーシング企業とは、会計事務所、もしくは会計事務所を母体とするアウトソーシング会社の二つに分かれます。

経理はプロに任せなさい

純粋に経理作業だけを任せたい場合は、一般企業系の会社のなかから実績などに問題がないところがあればお勧めです。
ただし難点としては、財務についてのサポート体制がないことです。

その点、会計事務所系の企業は、通常の経理業務や給与計算の後、決算書の作成と税務申告までをワンストップで引き受けてくれたり、節税面のサポートをしてくれるという面まで期待できます。
さらに、資金繰りや中長期経営計画に関するアドバイスもしてほしいという場合も、あわせて依頼しやすいという利点もあります。

いい外注先が見つからないからという理由だけで、アウトソーシング化をためらってはいけません。
会計事務所は、経理のプロです。
経理担当者が半日かけて行った業務を、プロなら2時間程度で終わらせることができます。
当然、ミスもありません。
まさに「餅は餅屋」で、時間短縮と質の向上が見込めます。

会計ソフトへのデータ入力、試算表の作成、賃借対照表や損益計算書の作成、給与計算と給与明細書の作成、資金繰り表の作成、決算申告、銀行対策、税務調査対策…これらの業務は、すべて会計事務所に頼むことができます。
経理担当者は会計事務所が作成した帳簿類を、受け取って確認するだけです。
「時間」と「労力」が大幅に軽減されるため、多少のコストがかかっても、その価値は十分にあります。

「起業したばかりだから」
「会計事務所に依頼するほどの規模じゃないから」
というのは、アウトソーシングをしない理由にはなりません。

ブラックボックス化してしまっている経理担当者がいるのであれば、まずは、会計事務所に経理指導をお願いするという方法もあります。
スリム化のための、ノウハウやコツをわかりやすく教えてくれるはずです。
経理担当者の能力がアップすれば、会社の経営はますます安定していくでしょう。

各アウトソーシング先の特徴

会計事務所に経理を任せるメリット

経理を会計事務所に任せることのメリットは他にもあります。

たとえば、税理士は一人で20~50社と契約をしています。
そのなかには経営が好調な会社と不調な会社があり「A社が伸びている理由は何か」「B社が成長しないのはなぜか」を、業績データを元に把握しています。
ベテランの税理士なら「伸び悩んでいた会社が課題を解決して成長をはじめた」という経験も豊富です。
そのため「同業他社と比較すると、自社の課題は何か」がわかり、実際の事例をもとに「どうすれば解決するか」といったアドバイスをもらうことができます。

課題が明確になれば、決算書や資金繰り表の数字から、設備投資のタイミング、従業員の削減や増員、金融機関からどれだけ融資を受ければいいのかなど、踏み込んだ相談もできます。

資金が必要であれば銀行から融資を受けるための準備や、助成金の申請手続きなどを手伝ってもらえます。
その時点で会社にどれだけの売上があるか、現金がどれだけ残っているのか等をすべて把握しているため「この金額までなら銀行から借りられる」「毎月の返済額がこの金額以下なら、無理なく完済できる」という具体的な意見ももらえます。

さらには人件費や福利厚生費などの削減を検討しなければいけないとき、社内の人間には相談しにくくても、外部の税理士には気兼ねなく相談ができます。
このように、経理を任せた外部の専門家は、社長にとってかけがえのない経営パートナーになるのです。

アウトソーシングすべきタイミング

アウトソーシングするタイミングは、思い立ったが吉日、です。
とにかく早いほうがいいと思います。
経理担当者がいつ辞めるかわかりません。それは明日かもしれません。
そうなったとき、社内は上を下への大混乱となり、リスクヘッジは少しでも早くしておくべきだと思います。

そもそも、現在の経理業務自体が非効率である可能性が高く、そうであるならば、余計な業務に大切な人材をあてがっていることになります。
それは本来、正社員に任せるべき仕事をおろそかにしているということです。

早期のアウトソーシング化に成功すると、非常に大きなメリットを得られます。
たとえば、税務や社会保険の内容に関する法改正です。
社内担当者をおく場合、担当者は逐一、勉強して把握しておく必要がありますが、アウトソーシングができれば、そのような知識の習得は不必要になります。

また、社内の不正防止効果が期待できます。
経済ニュースなどでも明らかなように、経理担当者の不正は、企業に甚大な被害を与えます。
ケタの数が一桁、二桁増えるからです。
外部にアウトソーシング化できると、計算が合わないなどのおかしな点は、先方が必ず聞き返してきますから、社内でこなすよりもかえって安全なのです。

 

アウトソーシング事例

振込業務のアウトソーシングで、不正の再発防止に

F社は建築士の資格をもつF社長がはじめた会社で、今年で10年目を迎えます。小さなリフォームから、まるごと一軒の建築まで請け負う同社では、扱う部材の数が他品種にわたり、それぞれ仕入先が違いました。
また、20社ほど抱える外注先や職人などの給与振り込みと合わせれば、毎月50件ほどの振込業務が一斉に発生していました。
F社長は「現金の扱いは他人に任せられない」という理由で、経理担当者として創業時から、親族の女性のGさんを雇いました。
最終的には、会社の通帳とハンコを預けるまでになりました。
ところが、です。
昨年、取引先の一つから「御社からの商品代金30万円の入金がない」という知らせを受けたので調べてみると、Gさんが横領していることがわかったのです。
詳しく話を聞いてみると、Gさんは「家計が大変だったので、30万円は一時的に借りただけ」ということでした。
30万円はすぐに返してくれたので、実害はなかったのですが、信頼できなくなったF社長はGさんには依願退職してもらうことにし、本人も了承しました。
「赤の他人よりはいいと思い、親族を雇ったがそれでも信用できなかった、いったい誰に頼んだらいいんだ」
F社長はこの問題の解決策を見いだせませんでした。

アウトソーシング導入後、こう変わった!

親族にさえ裏切られたのですから、F社長には外部から信頼できる人を雇うという選択肢はありませんでした。
調べているうちに、振込作業を代行してくれるというアウトソーシング会社が、隣県にあることを知りました。
隣県には車で1時間以上かかります。
打ち合わせにはそうそう気軽に出向ける距離ではありませんでしたが、振込作業をお願いするアウトソーシング会社から「インターネットバンキングをはじめればどうか」と提案され、それなら距離によるデメリットはないと判断し、銀行のオンライン口座を開き、このアウトソーシング会社に振込作業を一任することに決めました。

毎月の作業としては、支払先ごとの請求書と、職人の給与明細をそれぞれまとめ、2回に分けて、この会社に送付するだけです。アウトソーシング会社は、それをもとに「支払い予定表」を作成し、もう一度F社長に最終確認を求めてきます。いきなり許可なく支払われるわけでなく、最終的に社長の決裁をとってから支払ってくれるというシステムでした。

万が一、振込先や金額を間違えてしまった場合は、会社として保証するという契約書を交わすこともできました。
いまではこのアウトソーシング会社には、振込作業だけでなく、職人の給与計算から、日常の会計業務まですべて外注できないかどうかを、検討しているそうです。

 

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