経理のアウトソーシング先の選び方 その2

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経理のアウトソーシング先の選び方 その2経理業務を会計事務所にアウトソーシングする際に気を付けなければならないのが、じつはどの会計事務所でも経理業務を請け負えるわけではないという点です。

会計事務所のなかで経理業務の品質を保つための業務フローが確立できている事務所は、ほんの一握りしかないからです。

どの会計事務所に任せるか

経理業務は「業務の見える化」「スリム化」「標準化」をすることで効率的かつ高品質な業務となります。
こうした標準的な経理業務の流れをつくり上げ、マニュアル化し、職員を教育し、経理代行サービスを提供しているなかで品質管理ができている会計事務所は限られるのです。

領収書や請求書、契約書などのすべての書類を確認し、正確に処理をするためには、経験値と仕組みが必要です。
経理業務を会計事務所に任せる場合は、慎重に選んだ方がいいでしょう。

社長が本業に専念し、経理を一括で会計事務所に任せるためには、サービスの「価格」ではなく「質」で選ぶ必要があります。
伝票整理や書類作成だけではなく、会社の現状を理解し、未来に向けて的確なアドバイスができるのは、税理士、行政書士、社会保険労務士など幅広い有資格者を擁する会計事務所、または多様な有資格者とパイプをもつ税理士などです。
そうした会計事務所や税理士を探す方法をご紹介しましょう。

税理士の「得意分野」を確認する

すでに顧問税理士がいる場合は、経理の一括受け入れが可能かどうか相談をしてみるとよいでしょう。

一方、これまで会計事務所や税理士とあまり関わりがなかった人は、まずは経営者の友人や知人、契約している金融機関の担当者に、紹介を頼んでみましょう。
同じ経営者であれば、信頼できない専門家を紹介する人はいません。
紹介を受けた専門家は高い確率で、一定レベルの能力と信頼度を有しているでしょう。

また、融資を受けている金融機関の担当者が訪問したときに「経理を専門家に任せたいと思っているので、心当たりがあれば紹介してほしい」と頼めば、喜んで仲介に入ってくれます。
顧客同士がつながって双方の経営が安定すれば、貸付金の未回収リスクが減り、新たな投資先にもなるため、金融機関にとっては大きなメリットが生まれるからです。

他にも、地元の税理士会や商工会議所、保険の営業マン、税理士紹介サイトなどを通じて探す方法もあります。
ただし、経理業務のスリム化やアウトソーシングは、会計事務所のなかでも取り組むところと受け入れたくないところが明確になっているサービスの一つです。
面談をする会計事務所がそのような業務を受けたことがあるか確認する必要があります。

留意しておくべきことは、ひとくちに「会計事務所」「税理士」といっても、それぞれに特色があり、得意分野も異なるということです。
たとえば
「不動産に強い」
「農業経営に詳しい」
「消費税還付が得意」
などの違いです。
これは図のように、税理士の国家試験に、選択科目が存在するためです。

最終的にどの専門家に依頼するかは「社長にとって何でも相談できる相手かどうか」で決定しましょう。

そのため、紹介を頼むときは「どのようなサポートをしてほしいのか」を明確にすること、そして「契約するかどうかは、会ってから決める」ことをあらかじめ伝えておくことが肝要です。

税理士の国家試験科目内訳

信頼度がわかる四つのポイント

経理を任せる相手を選ぶ際、チェックしておきたい点を4点にまとめました。
しっかり確認してから決定しましょう。

業界用語がわかる
高度な専門用語はともかく、顧客に踏み込んだアドバイスをする気があるなら、皆様の基本的な業界用語くらいは勉強しているはずです。
この共通言語があるかないかで、話の進み方やニュアンスの伝わり方が大きく変わります。

レスポンスが早い
アウトソーシングのデメリットのひとつが、反応が遅くなることです。
緊急時に電話がつながらない、メールの返事がないという事態は、できるかぎり避けたいものです。
返事はできるだけ早く、遅くとも 24 時間以内に必ず返事をしてもらえるかどうか 確認しましょう。

説明がわかりやすく、最終判断を任せてくれる
簿記の基本知識は社長も覚えておくべきですが「○○って何ですか?」と質問をしたとき、理解できるまで説明してくれる人を選びましょう。
その上で最終判断を任せてくれる人であれば、ベストです。

税務調査の経験とノウハウがある
税理士には得手不得手があります。
税務調査の経験が豊富で「税務調査当日は、私がすべて対応します」などと、しっかりサポートしてくれる人なら安心です。

 

アウト ソーシング 事例

経理部門を解体し、 間接費用を年間1500万円削減

L社は、ブランド物のメガネを販売する地方の中堅企業です。
ひいきにしてくれる地元の顧客を中心に、近年は東京、大阪といった大都市圏に相次いで出店し成功したこともあり、事務作業、経理作業ともに煩雑です。

L社の方針として、まずは業務拡大が先決であったため、事務、経理部門は「なんとかなるだろう」ということでなおざりにされたままでした。
販売の現場には 30 名ほどの正社員とアルバイトがいましたが、事務作業員一人、経理部員一人、計二人だけでさまざまな間接業務をこなしてきました。
事務作業が忙しいときは経理部員が、経理部員が忙しいときは事務作業員がそれぞれサポートしてきたのです。

昨年、経理部員が「親の介護があるので辞めさせてもらいたい」と言ってきたので、残る事務作業員だけで、経理を担当しなければならなくなり、しばらく兼務という激務にも耐えてきた事務作業員でしたが、あまりにしんどいので辞めたいと言ってきた
のです。
短期間のうちに二人が辞めることになったL社の社長は、どうしようか迷いましたが、近年の不景気の影響もあり、正社員の採用を見送り、アウトソーシングに出すことを決意しました。

そこでL社がとった戦略は次のようなものでした。
記帳代行はM社へ、給与計算はN社へ、社会保険手続きは社会保険労務士(社労士)事務所へ、決算時は会計事務所へそれぞれ別に振り分けたのです。
ですが、これが思った以上に効果を発揮しませんでした。
なぜなら、それぞれの外注先は横の連携がなく、一つの変更事項をすべての外注先へ知らせる必要が出てきました。
また、そのための変更コストがオプション料金となっており、その追加負担もばかにならない金額になっていたのです。
「我が社のアウトソーシング戦略は、間違いだったのだろうか」。L社長は自問自答を繰り返すばかりでした。

アウトソーシング導入後、こう変わった!

もう一度、正社員を雇い、社内への経理作業に切り替えようかと思いはじめたとき、その悩みを知った同社の顧問会計事務所から「もしよければ、当社でアウトソーシングを一括受託しましょうか」という提案がありました。
会計事務所は、記帳などの業務を受け付けるだけでなく、社労士や行政書士など他の士業とも連携しているため、企業の抱えるさまざまな問題に対応可能とのことでした。

そこでL社長は、アウトソーサーをこの会計事務所1社に絞ることにしました。
これまでのように、同じことを何度も連絡する手間はなくなり、修正事項も、会計事務所の専属担当者に連絡するだけで、以前のように各社間の調整役をしなくてもよくなりました。
また、同時にリアルタイムの会計処理ができるようになり、毎月の月次決算が万単位のざっくりした数字であれば、締め日から5日以内に出せるようになりました。
これにより、昨月の反省と今月の販売戦略を、より即時に行えるようになったのです。

やみくもにアウトソーシングに出すばかりでは逆に業務が煩雑になってしまうことがある、最初から顧問税理士に相談しておけばよかった…
L社長は反省することしきりですが、経理、事務部門がスリム化したおかげで、二人合わせて合計1500万円の人件費削減に成功しました。

 

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