適用不可の事業が混在……1週間単位では変形労働時間制を導入できない?

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適用不可の事業が混在【相談内容】
業務の繁閑に対応するため、“1週間単位の非定型的変形労働時間制”の導入を検討しています。

しかし当社は、1つの部署で小売業と製造業の両方を担っています。
業種が限定される1週間単位では、変形労働時間制を導入できないのでしょうか?
また、仮に1週間単位で導入できない場合、1カ月単位であれば導入できますか?

【結論】

同じ部署であっても担当する従業員が異なり、労働管理上も区別できる場合は、小売業のみ1週間単位の非定型的変形労働時間制を導入することが可能です。
しかし、1人の従業員が小売業と製造業を担当する場合は導入することができません。

従業員が業務を兼任していたり、製造業でも導入したい場合は、1カ月単位で導入するとよいでしょう。

“変形労働時間制”とは?

労働時間は『週40時間または1日8時間以内』と労働基準法第32条で定められており、これを超えて労働させた場合、25%以上の割増賃金を支払わなくてはなりません。

しかし、変形労働時間制を導入すれば、各日の所定労働時間が8時間を超えていても、一定の単位期間が平均週40時間以内であれば、割増賃金を支払う必要はありません。

労働時間を調整する単位期間は、以下の4種類から選択することができます。

◆1週間単位の非定型的変形労働時間制
1週間の労働時間を40時間以内に収めれば、1日の労働時間を10時間まで延長できます。
ただし、この制度を導入できるのは、従業員が30人未満の小売業、旅館、料理店、飲食店のみです。

なお、このほかにも以下の要件を満たす必要があります。
(1)労使協定において『1週間の所定労働時間を40時間以内と定めること』を締結し、労働基準監督署へ届け出ること
(2)1日の所定労働時間は10時間を限度とすること
(3)原則として、前週末までに当該週の各日の労働時間を書面で通知すること

また、特例措置対象事業場として、従業員が10人未満の場合は『週44時間まで働かせてもよい』という特例がありますが、この制度を導入すると特例は認められなくなります。

◆1カ月単位の変形労働時間制
労働時間を1カ月単位で平均週40時間(特例措置対象事業場は44時間)以内に抑える制度です。

◆1年単位の変形労働時間制
1年間の法定労働時間の上限は2085.7時間(40時間×365日÷7日)です。
これに収まるように、繁忙期は長く閑散期は短く労働時間を配分することで、効率的な1年間の労働スケジュールを作成できるのです。

◆フレックスタイム制
会社が1カ月間の総労働時間を設定。労働者は、その範囲内で各日の始業および終業時刻を選択して働くことができます。

適用対象外の業種が 同一部署に混在していたら?

1週間単位の非定型的変形労働時間制は“事業単位で適用されます。
事業とは、以下のように定義されています。

『同一場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場所に、その部門が主たる部門との関連において従事労働者、労務管理等が明確に区別され、かつ主たる部門と切り離して適切に運用できる場合には、その部門を一の独立の事業とすること。……なお、個々の労働者の業務による分割は認めないこと』(昭22・9・13基発17号)。

つまり、同一部署に適用対象外の業種が混在していても、事業に従事する従業員が異なれば問題ありません。
しかし、同一の従業員が適用対象外の業種も担う場合は、1週間単位の非定型的変形労働時間制を導入することはできません。

1週間単位がNGでも1カ月単位ならOK?

法律上、1週間や2週間単位であっても“1カ月以内の一定の期間”として、1カ月単位の変形労働時間制の範ちゅうとなります。

つまり、業種が1週間単位の非定型的変形労働時間制の要件を満たさない場合、1カ月単位での導入を検討するとよいでしょう。

なお、“1週間単位と1カ月単位の違い”は、以下の通りです。
1週間単位は、『日ごとの業務に著しい繁閑の差が生じることが多く、各日の労働時間を特定することが困難な事業が対象です。
そのため、各日・各週の労働時間を具体的に始業・終業時刻を特定する形で定める必要はありません。
これが“非定型的”変形労働時間制といわれる理由です。

一方、1カ月単位は、労使協定または就業規則などに『各日の始業および終業時刻を具体的に定めていること』が要件です。
また、事業の種類や従業員数は問いません。

つまり、1週間単位と1カ月単位については、各日・各週の労働時間を具体的に定める必要があるか否かという点が大きな違いといえるでしょう。

変形労働時間制を導入するには、さまざまな要件を満たす必要があります。
導入を検討する際は、必ず専門家に相談しましょう。

 

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