長距離通勤者が『積立年休制』を利用 高額な通勤手当は支払う必要あり?

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長距離通勤者が『積立年休制』を利用 高額な通勤手当は支払う必要あり?[相談内容]
当社で新たに『積立年休制(※1)を導入したところ、早速対象者が出ました。『積立年休制』を申し出た当人は長距離通勤をしており、支払う通勤手当は高額に上ります。このような場合に、通勤手当を支払わないことは可能でしょうか?

[結論]
通勤手当は賃金に含まれるため、長距離通勤者だからといってカットすることは原則として認められません。
しかし、予め就業規則に定めておいたり、積立年休制だけを別扱いとすることによって、通勤手当をカットするという方法もあります。

年休を取得しても通勤手当は原則支払う

まず、従業員が年休を取得した際に支払う賃金は、以下のいずれかに定めておく必要があります。
(1)平均賃金
(2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
(3)標準報酬月額の30分の1(要労使協定)

(1)と(3)は、ともに計算ベースに通勤手当を含むため、通勤手当部分のカットは不可能です。(2)の賃金については、その定め方によりますが、正社員の通勤手当は定期券相当額を支払うのが一般的です。なお、定期券額は実際に使用する日数(およびカレンダー上の日数)に関係なく一定です。

通常の賃金”の額は、労基則25条で定められており、『月によって定められた賃金は、その金額を月の所定労働日数で除した金額』となります。しかし、実務的には『通常の出勤をしたものとして取り扱えば足り、施行規則に定める計算をその都度行う必要はない』とされています(昭27・9・20基発675号)。
つまり、1ヶ月のうち年休で数日間休んでも、通勤手当は全額支払われることになるため、長距離通勤者だからといってカットは認められません。

就業規則や積立年休制の別扱いで
通勤手当のカットは可能に

以上のように、原則的に通勤手当のカットは認められておりませんが、予め就業規則に定めておくか、積立年休制だけを別扱いとすることによって、通勤手当をカットするという方法もあります。

例えば、就業規則において『15日を超えて出勤しない場合には、それ以降、通勤手当を支給しない』などの根拠規定を置いた場合、『通勤手当を除く所定内労働賃金』が『本来支払われるべき通常の賃金』とみなされ、通勤手当のカットも可能となります。

また、積立年休制は、時効消滅した年休を積み立てる義務はない“法定外”の恩恵的制度といえるため、『その成立要件・法律効果などは当事者間の取り決めに委ねられる』と解されます(菅野和夫著『労働法』)。そのため、積立年休制だけを別扱いし、使途を『病気等』に特定したり、支払う金額も『通勤手当は除く』等の形で定めたりすることができます。

『積立年休制』を導入する場合には、
(1)使途(病気、家族の介護、ボランティア活動など)の制限
(2)上限日数

などを規定化し、いつ何時やむをえない事態が起こっても対処できるように、予め就業規則の見直しなどを行うことが大切でしょう。

※1 年休の権利は2年で時効消減するが、その消滅した日数を積み立てておき、病気等の理由があれば時効消減したはずの年休消化を認める制度。法的な義務はない。

 

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