経営計画を立てるなら、まず行動計画に「数字目標」を落とし込もう

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行動計画に「数字目標」を落とし込もう

経営計画を立てるときは、売上目標よりも利益目標を先に立てるのが主流です。

では利益計画を掲げるだけで、会社経営はうまくいくのでしょうか。
会社経営というのは、そんなに甘い世界ではありません。

経営者は木を見る

利益は「リンゴの木」と考えるとよくわかります。
利益はリンゴにあたります。
リンゴを実らせるためには、枝や幹や根の部分のメンテナンスが重要です。
無駄な枝が生えてくれば、それを切り取らねばいけませんし、幹の部分に傷がつくと木が腐ったりする場合がありますから、補修しなければいけません。
また、根の部分には、どのぐらいの水や肥料が必要なのか天候に応じて変化させる必要があります。
経営者は、リンゴばかりにとらわれるのではなく、枝、幹、根の部分の世話をしていくことが重要なのです。

では、具体的に枝や幹の世話とは、何かというと

「来期はアメリカから新しく輸入する商品をメインに販売する」
「その商品を販売するため、新しい人材を雇い組織を再編する」
「新商品の広告ターゲットは40代の男性である」

というような組織戦略、競争戦略がそれにあたります。

根の部分は、「経営理念」です。
まずは、根の部分である「経営理念」をしっかりと定めた上で、枝や幹の部分である「組織戦略」「競争戦略」を組み立てましょう。
その結果、1年に一度、おいしいリンゴという果実が収穫できるのです。

果実のなる木を育てよう

経営計画とは利益計画である

起業家の経営計画は、1年間の月別「予想売上高」を並べているだけのものがほとんどです。
これでは、経営が行き詰まることは目に見えています。

会社とは売上を上げるのを目的にするのではなく、利益を上げることを目的にしなければなりません。
これが経営計画の要諦です。

ひとつ例え話をしてみましょう。
貯金して中古マンションを買う、という計画を立てるとします。
新宿まで30分、急行停車駅でありながら、2,400万円の物件です。
現在のあなたの給料が年収500万円だと仮定します。

まずやるべきことは、500万円のうち生活費がいくらなのか、正確に出すことです。
仮に300万円だと判明すれば、あとは簡単です。
毎年200万円ずつ12年間貯金することができれば、ローンを組むことなしに、キャッシュで購入できるでしょう。

実は経営計画もこの例とほぼ同じ作業となります。

まず現状の会社を維持していくために最低限の必要経費(家賃、原材料費、人件費、外注費、仕入、販売促進費など)はいくらかを計算します。
それが合計で月50万円だとすれば、そのための必要な売上高はすぐに弾き出せるはずです。
さらに、それを達成するには、どれぐらいの労働時間が必要で、どのような方法で達成できるのかを目標にするのです。

このように、手元に残すべきお金(利益)を軸にして計画を立てていきます。
売上目標を最初に決め、あとから利益目標を出すのは、間違いです。

利益計画のシミュレーションの手順

利益はいくら残すべきか?

それでは、利益計画の具体的なシミュレーションの手順について説明します。
経常利益={売上高−(売上原価+販売管理費)}+(営業外収益−営業外費用)

図をご覧ください。

利益計画のパターンを考えよう
まず会社に経常利益をいくら残すかを社長が決めます。

ここでは仮に200としておきます(図のパターン2)。
11期が170でしたので、20%ほどの増加を目標として、きりのいい数字に設定しました。

他にも、いつまでにどんな会社にしたいかというビジョン、今期投入する商品、販売戦略などの要因を総合的に検討して決めます。

次にその経常利益から、本業での利益である営業利益を算出します。
預金の利息や株式の配当である営業外収益から、主に借金の利息である営業外費用を引いた額(25−5)を経常利益から引き、営業利益を算出します(180)。

次に固定費です。
固定費は、人件費とそれ以外の経費のなかで、売上に関係なく発生する費用の総額です。
人件費は、比較的予想しやすい費用です。
社員やアルバイトの数を増やさなければ、前年度とほぼ同額となるでしょう。
また売上が少し上がるぐらいだと、残業代のアップ分を予想すればOKです。

大幅に上がるようだと社員の年収×増員人数分を足すようにします。

なお人件費には、社長自身の役員給与が含まれます。
固定費の人件費以外の部分は、主に広告宣伝費、減価償却費、家賃、水道光熱費となります。

減価償却費について理解しよう

このなかで、減価償却費をよくご存じない方がいるかもしれませんので、簡単に説明しておきます。
たとえば40万円のパソコンを買ったとすると、それは1年間には、10万円までしか経費に算入できないということです。
残りの30万円は、3年間かけて10万円ずつ経費として利益から差し引くことができるという税務上の仕組みです。

大きな買い物をしたときは、その金額を耐用年数で割って(40万円÷4年)、1年間の減価償却費(10万円)を出しておくようにします。
たとえば、180万円の新車を買うとすると、それは一括で経費に算入できません。
一般の車の耐用年数は6年と決まっていますので(180万円÷6年)、1年間の減価償却費は30万円となります。
余談ですが、一括で経費算入したいのであれば、4年落ちの中古車にしましょう。
全額が減価償却費限度額となり、一括損金となります。

家賃と水道光熱費については、簡単に予測できると思いますのでここでは触れません。
広告宣伝費については、今期に、新商品やサービスを投入する場合、一時的に増えますのでその分は増やしておくようにします。
また、特定のキーワードでネット広告を行っている場合は、毎年5%ずつぐらいはアップしているので、計算に入れておくようにしましょう。

以上のことを勘案した上で、広告宣伝費を少し多めにとっておくと、その他のところで余計な経費が発生したとき、ここから回すことができるバッファになるので便利です。

営業利益の予想と固定費の予想が出れば、限界利益(750)が出ます。
次に変動費ですが、在庫がゼロであれば、仕入が大半を占めます。
同じ品物であれば、売上に対する仕入額の比率は基本的に変化しません

そこで、求めた限界利益と売上と仕入の比率をもとに、仕入額と売上額を算出します。
図の利益計画シミュレーションでは、他にも2つのパターンを出してみました。

パターン1は、売上高、変動費、固定費を2~5%アップさせて、前年と比較し、経常利益を算出したものです。
パターン3は、数字を直接入力して決めるパターンです。
ここでは売上高を昨年より100上積みでシミュレーションしています。
この方法をマスターすると、他にも
「利益を50増やすには、変動費と固定費をいくらにすればいいのか」
「固定費を50削減できて、利益を100増やすためには、売上はどれだけ上げなければいけないか」
などがシミュレーションできるようになります。

なおこの作業は、決算の2~3ヵ月前には済ませておくようにします。
そして、決算前後に社員に公開し、共有しましょう。
公開することで逃げ道がなくなり、社長にも、社員にも達成するための覚悟ができていくのです。

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