経理を「標準化」して生産性を上げる その1

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経理を「標準化」して生産性を上げる その1「経理は、誰がやっても結果が同じであればよい」という考え方は正しくなく、社長は経理がどのようなプロセスで業務を処理しているかをよく知っておかなければなりません。

「ミスが多い」「スピードが遅い」「残業が多い」といった経理担当者の課題を解決するためのカギが、経理関連業務の「標準化」、つまり誰が使っても同じような成果が挙がる「形」を導入することです。
それではこの「形」をご紹介していきます。

旅費・交通費は給与と同時に支払う

社内のキャッシュレス化や精算業務のスリム化のためのポイントが、支払い方法です。
従来通り、営業マンごとに現金を手渡していくのは、月に一度まとめたとしても、その日にまとまった金額を銀行から引き出し、封筒を用意し、そこに営業マンの名前を書き、小分けにして正確に数え直すなどの作業が発生してしまい、スリム化にはつながりません。

そこで、お勧めなのが、給与と一緒に振り込んでしまう方法です。
皆様の会社でも給与は手渡しではなく、振込処理されていると思います。
そこで、給与と一緒に旅費・交通費を振り込んでしまうことにより、支払いにかかる労力を少なくすることができます。
また、労力だけでなく、振込手数料も兼ねることができるため、新たなコストが発生しません。

つまり、営業マンが出張から戻るたびに、経理担当者の手を煩わせていた旅費・交通費の精算が、毎月決められた日に集中して行うことができ、おまけに小口現金を利用する回数を大幅に減らせます。

ただし、営業マンには、給料と一緒に振り込まれることになるので、そのことをわかるようにしておく必要があります。
方法としては、給与明細用紙の変更です。
これまでの給与明細の支給欄に、「旅費・交通費立替」というような項目を一つ追加します。

その際、ひとつ気をつけておかなければならないのは、これは税金や社会保険の対象とはならない「非課税項目」であることです。
この旅費・交通費の立て替えに、税金はかけないよう注意してください。

請求書は月一回まとめて発行する

自社の商品やサービスをお客様に販売すると、現金商売のビジネスでないかぎり、請求書を発行しなければ、売上金を受け取ることはできません。

請求書の発行方法には大きく分けて二つの方法があります。
一つが、請求書は売上が発生したその都度発行する方法です(都度請求)。
もう一つが、月末や25日など、決められた締め日一日だけに、取引先ごとにまとめて合計額を記入したものを一度に、相手先に送る場合です(一括請求)。

多くの会社が、最初の方法を採用されていると思いますが、経理のスリム化に効果的なのは、第二の方法です。

「売上が発生した時点で発行しておかないと、なんだか不安だし、請求のし忘れも起こるのではないか」
と、心配されるかもしれませんが、大丈夫です。

売上を挙げた人物が経理担当者に内容と金額を知らせるのは、これまで通り、その都度行います。
変更点は、経理担当者が請求書を発行するのを、一度にまとめることだけです。
経理担当者にしてみても、一度にまとまることで、当月の取引全体を概観でき、かえって請求ミスを減らすことにつながります。
請求書を一通ずつ、その都度送るというのは、じつは手作業という大きな労力がかかります。
月1回にまとめて請求書を送ると、ポストに投函する手間も一度きりですから、それだけで、かなり作業負担を減らすことになります。

これができると、じつは次の段階が見えてきます。
それがアウトソーシングです。
請求書の発行を代理で行ってくれるアウトソーシング会社があります。
請求書の発行作業を月に1回にまとめることができれば、この作業自体をまるごと外部に頼むことが可能です
すると、経理担当者は、さらに高度な仕事に打ち込む時間が生まれ、その業務が会社の成長を促してくれるはずです。

現在市販されている販売管理ソフトや、会計のクラウドサービスには、都度請求だけでなく、一括請求に対応しているものが多くありますので、その機能を使用してみるのもいいでしょう。

振込明細書を領収書代わりにする

皆様の会社では、領収書の発行をどのようにしていますか。

顧客から「発行してほしい」と言われたときに、手書きで対応しているケースが多いのではないでしょうか。
もちろん数が少なければ大きな問題は生じないと思いますが、日常の小さな仕事がたくさんあると、それがルーティンワークであるにもかかわらず、経理担当者の負担になっていきます。
また、発行時の金額によっては、収入印紙を貼る必要も出てきて、会社にとって少額ながら金銭的な負担を強いられることにもなります。
ですから、発行せずに済むのであれば、それに越したことはありません。

領収書は、単体で存在するわけではありません。
見積書納品書請求書領収書のように、ワークフローの最後のフェーズとして発行されるのが一般的です。

それであれば、領収書の発行をスムーズに行う方法としては、見積書や請求書をすでに作成した取引であるならば、後はボタンを押すだけで、そのデータを元に、領収書にすぐに変換してくれるような販売管理ソフトやクラウドサービスの導入をお勧めします。
それによって手書きや、内容の確認をする手間が大きく省略できるはずです。

さらに、発行数自体を減らす対策としては、現金の直接受け渡しを回避するということがあります。
営業マンが直接、お客様から代金を受け取ってしまうと、領収書を発行しなければならなくなり、経理にその負担が生じます。

既存の取引先に対しては「銀行振り込み」への切り替えを順次お願いしていくようにしましょう。
すると、振込明細書が領収書代わりとなります。

新規の取引先に対しては契約書に「金融機関発行の振込明細書を領収書代わりとする」という一文を入れておくようにします。また、「税務申告の際にも振込明細書が領収書代わりに認められる」ということを併せて口頭で説明するのも効果的です。

「社長立替金」を使って小口現金をゼロにする

皆さんの会社では、宅配便代や郵便代、ちょっとした消耗品代、お客様用の新聞や雑誌代など、細々としたお金をどのように仕訳しているでしょうか。
こうした支出は小口現金で処理するのが一般的でしょう。

しかし、小口現金の管理は意外と面倒だと思っている社長さんもじつは多いのではないのでしょうか。
小額といっても店舗においたままだと盗難の恐れもありますし、創業直後で、経理担当者がいないような小さな会社やフリーランスの方では、現金を出し入れするたびに、現金出納帳に記帳するのも面倒です。
また、比較的大きな会社では、現金を扱う専用の担当者をおいているところもあるぐらいです。
そこではおおよそ次のような手順が行われているはずです。

❶従業員が必要な金額を伝票に書いて担当者に渡す。領収書などの後精算がある場合は、領収書に添付して提出してもらう。
❷担当者は小口現金の金庫から出して支払い、伝票に書かれた科目と金額を小口現金出納帳に記帳していく。
❸1日の業務が終わった後、小口現金出納帳と照らし合わせて小口現金の残高を数えて、金種ごとに集計表に記入する。
❹月末に小口現金の残高と小口現金出納帳の残高が合っているかを確認する。

郵便代や交通費など細々とした支出を管理するために便利な小口現金ですが、その管理には意外と時間と手間がかかっていることがおわかりいただけたかと思います。
なかには、小口現金出納帳と照らし合わせながら、日々の締めを行うだけで1時間ぐらいかかってしまう担当者もいるようです。
また、出張費などの後精算がある場合、その精算のための釣り銭を準備しなければならず、それを正確に数えたりしていると、余計に時間をとられます。
こうした生産性のない仕事に貴重な時間を使うよりも、その分、本業に時間を割いたほうが大いに会社のためになるでしょう。

小口現金を扱うデメリット

❶現金を扱うため担当責任者を新しくつくる必要がある
❷現金の入出金のたびに、現金出納帳への記帳が必要になる
❸毎日、小口現金出納帳を調べ、その残高を確認するという手間がかかる
❹毎月月末にも残高を確認する作業があり面倒
❺盗難や紛失などが発生し、残高が合わなくなることも多い

こうしたことに煩わされず、もっと簡単に処理できる方法、それは「社長立替金」という勘定項目を使用して、月1度の精算とすることです。
これは、社長が現金を管理している規模の会社にお勧めの方法です。

詳しく見ていきましょう。

小口現金で現金の出し入れをその都度行えば、その仕訳をすべて小口現金出納帳に記入しなければいけません。
しかし、月に1回の精算でいいということになれば、たった1回の仕訳で済むことになります。
つまり、交通費、文房具代、郵便代、雑誌・新聞代と1カ月の間に、使った経費をそれぞれ一つにまとめて、一つの仕訳で処理をしてしまうのです。

こうなれば、現金出納帳への記帳もまとめて行うことができますし、残高の確認もその都度行う必要はないので、記載ミスや計算間違いというのも防ぐことができます。
さらに毎日1時間かかる小口現金の管理も月数時間で終わらせることができて、大変合理的です。

具体的な現金の管理法ですが社長個人名義の小口現金の預金口座をつくります。
そこに、1カ月の使用金額を振り込むようにするのです。
こうすれば、現金の出し入れは、すべて銀行で預金通帳やカードを使って行うことになりキャッシュレス経営が実現します。

嬉しいことに、会社で出し入れするわけではないので、小口現金の盗難や紛失といった二次的な事故を防ぐことができます。

しかも、預金通帳にすべての取引が記載されるので、小口現金出納帳の記帳が必要なくなるので、とても便利です。

経理をどう改善するか

 

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