経理を「標準化」して生産性を上げる その2

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経理を「標準化」して生産性を上げる その2皆さんの会社では、すでに会計ソフトを導入されているところが多いかもしれません。

ルーティンワークを解決する手段として、会計ソフトは有効です。
これをうまく使いこなせば、業務時間は半分以下に減るはずです。

実際、パソコン会計を導入した社長さんは、次のようなことを期待したはずです。

・会計事務所にチェックしてもらいやすくなる
・経理部門の残業が減る
・月次決算、決算のスピードが早まる

ところが現実には、会計ソフトを使用したからといって、経理担当者の業務時間が大幅に減少した、担当者の数を減らせた、という具体的な成果に言及した話はあまり聞かれません。

「パターン設定」で 会計ソフトへの入力時間を減らす

なぜソフトを導入しても成果が出ないのでしょうか。

いくつかの理由がありますが、「パソコンがあるから使わないともったいない」というような消極的な理由で導入したり、「会計ソフトは便利らしい」という噂を聞き、試しに導入してみたりしただけ、という会社が多いようです。

もともとの目的が、経理業務の劇的な改善というわけでなければ、成果が出ないのは当然です。
単に会計ソフトを導入しても、経理を見える化していく、スリム化していく、アウトソーシング化していくというように明確な目的がないと、経理の生産性の向上はのぞめません。

じつは会計ソフトの使い方には、三つの段階があります。

経理の改善が進まない会社では一段階目の「伝票打ち込みレベル」である場合がほとんどです。
伝票打ち込みレベルとは、請求書や領収書、振り替え伝票などを単に機械的に打ち込んでいくだけの使用方法です。

入力パターン設定レベルとは、会計ソフトの便利な機能をある程度利用し、入力作業時間を削減できたレベルです。

資金繰りおよび予算管理レベルとは、その名の通り、入力パターン設定レベルにより新たにできた時間で、資金繰りや予算管理といった業務まで、経理担当者がこなせるようになったレベルです。

社長として経理に指示しなければいけないのは、第一段階を卒業し、第二段階、第三段階まで進むことです。
会計ソフトの使い方にそういうレベルがあること自体を社長が知らないと、指示のしようもありません。

そこで、自社の会計ソフト使用レベルを、資金繰りおよび予算管理レベルに引き上げるため、まずは第二段階の入力パターン設定レベルを目指しましょう。

パソコン会計使用時の3つの段階

会計ソフトは毎年バージョンアップしていくことで、どんどん進化し使いやすくなっています。
導入したときのまま、バージョンアップもせず、使い方を詳しく勉強していないのは、もったいない、というより損です。

そのひとつが「仕訳パターンの登録」です。
現在の会計ソフトでは、標準的な仕訳パターンを使用するだけでなく、会社独自に設定した取引パターンを簡単に覚えこませることができます。
登録は一度きり、です。
この一度きり、を面倒がって登録しないと、いつまでたっても作業時間を減らせません。

たとえば、特定の取引先といつも同じカフェで打ち合わせをしており、同じ種類の領収書を何度も打ち込んでいるとします。
それを特定の仕訳パターンとして登録しておけば、次からはクリックして呼び出し、あとは日付と金額を打ち込むという二つの作業だけで完了します。
取引を登録してしまうことにより、仕訳ができないパート社員でも会計ソフトが使えるメリットがあります。

なお、若い世代かベテランの世代の違いで、会計ソフトの習熟度は変化する傾向があります。
顧問税理士と同じソフトを使用しているのであれば、一度、顧問税理士に便利な使い方を教えてもらうのも一案です。

振込業務はすべてインターネットバンキングに

経理担当者は、どちらかというとアナログ人間が多いようです。
世の中はIT化、デジタル化が進んでいるのに、いまだに手書き伝票を使用している会社が見受けられます。

デジタル化の第一弾としてお勧めなのは、会計ソフトの導入です。
会計ソフトを導入すると、仕訳や転記の必要がない上に、ペーパーレスが実現します。
打ち込んだデータがそのまま顧問税理士に転送され、チェックしてもらうことも可能になります。

デジタル化の第二弾としては、インターネットバンキングです。
インターネットバンキングにすると、通帳を確認しなくても、ネット上で社長がすべての通帳上の取引明細をリアルタイムで把握することができます(最近では外資系の銀行などでは、通帳自体を発行していないところがあるぐらいです)。

インターネットバンキングの導入を経理担当者に勧めると、嫌がる人がいます。
なぜなら、記帳だといって、金融機関に出向くのは、経理社員としては気分転換になるからです。
しかし往復にかかる時間、窓口で待たされる時間などを考慮にいれると、非効率と言わざるを得ません。

月々の費用は多少発生しますが、インターネットバンキングの導入を検討しましょう。
わざわざ実店舗に出向く必要がなくなりますし、取引先への振込などは画面上のボタンを押せば、一瞬で完了します。

各種申請業務をクラウド化する

前回、書類の保管にクラウドサービスを利用するメリットを紹介しましたが、このクラウドサービスは、経理業務にも取り入れることができます。

使い方は、基本的に一般の会計ソフトと変わりません。
違うのは、会計ソフトが高額で、パソコン一台ごとにインストールする必要があるのに対して、多くのクラウド会計サービスは、使用料が無料もしくは安価であり、一台ごとにインストールしなくても済むという点です。
インターネットがつながる環境であれば、誰でもどこでもいつでも使用することができる会計サービスなのです。

たとえば、営業マンや社長の交通費の精算というのは、出張から帰った後、社内でこなすしか方法はありませんでした。
ですが、交通費やその他経費の精算管理にクラウド会計を取り入れれば、出張中の移動のなかでも、パソコンやスマホなどがあれば、簡単に申請業務を済ませてしまうことができるのです。

経理業務の効率化に大きく貢献するツールです。

クラウド会計の「自動仕訳機能」を活用する

ソフトが推測して登録してくれるクラウド会計サービスの使用にはいくつかのメリットがあります。
まず、クラウド会計へのデータ入力に関して、大きなメリットがあります。

それは「自動仕訳機能」です。
市販の会計ソフトでは仕訳の種類などをすべて登録する必要があります。
その一方で、多くのクラウド会計では、いちいち面倒な登録をする必要はありません。
以前に打ち込んだ同種のデータであれば、推測して登録してくれるのです。

銀行取引明細やクレジットカードの利用明細も自動的に取り込んでくれます。
社長や経理が確認すべきなのは、勘定科目が正しいかどうかを判断し、YESかNOのボタンを押すだけです。

言葉でいうと、イメージがわきにくいのですが、これは非常に便利です。
たとえていえば、スマホの文字入力に近いかもしれません。
スマホの文字入力の際「クラウド会計」という言葉を打ち込もうとすると、「クラ」まで打ち込んだ時点で、「ウド会計」も続いて表示されているはずです。
そうすると100字の文字入力をするとき、実際に打ち込むのは 20 ~ 30 字であると 言われています。
これが非常に便利なので、最近ではパソコンでの文字入力が面倒だという人もいるぐらいです。

クラウド会計の自動仕訳機能は、このような形式に近いものであり、一度慣れてしまえば手放すことができないぐらい便利な機能です。

このサービスの、もうひとつの特長を紹介しましょう。
クラウド会計で、打ち込んだ会計データは、個々のパソコンに保存されず、クラウド上のサーバに保存されます。
このとき、顧問税理士が同じクラウドサーバ上にアクセスできれば、リアルタイムの確認、情報交換が可能になります。
月次決算などのスピードが格段にアップするのです。

 

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