黒字経営のための“いい税理士”の探し方 その4

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黒字経営のための“いい税理士”の探し方 その4前回に引き続き、いい税理士かどうか簡単にチェックできるポイントをご紹介します。
税理士と契約を結ぶ際の参考にしてください。

 

 

 

 

見るべきポイント④
専門と出自を確認しよう

試験科目によって専門分野は分かれる

いい税理士かどうかを見極めるのは、なかなか難しいことです。

誰かにとっていい人は、ほかの誰かにとってベストとは限らないからです。

たとえば、ある酒造メーカーの顧問税理士をあなたが紹介してもらったとします。
これからあなたが雑貨店を始めようとするとき、その税理士の顧問先が「酒造メーカーばかり」だったら、あなたにとってベストとは限りません。

なぜなら、酒造メーカーの経営者は「酒税法」という法律分野に詳しい税理士を顧問としているケースが多いからです。

酒税には独特の決まりが多く、商品のアルコール度数の違いなど細かなところまできっちり把握して、税率を変更せねばならず、申告後に税務署からミスを指摘されるとその都度、修正申告に応じなければならないからです。

そのような不手際を避けるため、酒造メーカーや酒造卸業は、酒税に詳しい税理士と顧問契約をすることが多いのです。そのため、雑貨店で起業しようという人が、酒税に詳しい税理士を顧問にするのはナンセンスなのです。
「酒税法」という法律を紹介させてもらいましたが、税理士の資格を得るためには、いつくかの法律科目を選択し、税理士試験を通らねばなりません。

税理士試験の仕組みを知れば、税理士を探すときの参考にもなるので簡単にご説明いたします。

まず、試験科目は 10 科目あり、必須科目と選択科目があります。これら合計5科目 に合格すれば、資格がもらえる仕組みになっています。

ですから、酒造メーカーをたくさん顧問にしている税理士の多くは、選択科目のなかで「酒税法」を選択している可能性が高いのです。

ほかにも、税理士のなかには受験前から
「相続税の仕事を増やしたいから選択科目は“相続税”で合格を目指そう」
と考えている人がいます。目的と手段を合致させて、試験科目を選んでいるわけです。

ですから、新たに顧問税理士を探している人は、契約前の面談にて「どの試験科目を選択して合格したか」を最低限聞いておいて、自分が希望するサービス内容とあまりにかけ離れていないか確認しておくべきです。

たいていの税理士がイヤな顔をせず、「よくご存じですね」と感心して答えてくれるはずです。
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税務署出身か正規通過組か

ちなみに、税理士になるには、先述した以外の方法もあります。

1つめは大学院に行く方法です。

2年間、大学院に通い修士論文を書くと、3科目合格しなければいけない税法科目のうち、2科目が免除される仕組みになっています。大学院で勉強はしているので、正規通過組に対して能力が劣ると決めつけるのは間違いです。

2つめが、OB税理士制度です。

国税庁もしくは税務署に 23 年間勤めると、税理士の資格が得られる制度です。 22 歳 で働き始めたとして最短 45 歳で税理士を開業できます。これは既得権などと非難されることがありますが、法律の受験勉強をしていないとはいえ、税務署出身の税理士が
いちがいに能力が低いとはいいきれません。

また誤解してほしくないことがあります。税務署の内情について精通していますが、税務署OBを顧問にしたからといって、税務調査の際に追及が甘くなることはありません。

それは犯罪になるからです。犯罪まがいの低い確率に期待するよりも、真っ当な申告をしていれば、税務署を怖れる必要はありません。

資格取得の背景が税理士選びの参考にはなりますが、いざというとき、会社の味方になってくれるかどうかで、顧問税理士は選んだほうが得策です。

見るべきポイント⑤
訪問場所、回数、人について

必要なサービスがなにかを知る

税理士との顧問契約の前には、金額やサービス内容ばかりを気にするのではなく、

①どこで(自社 or 税理士事務所)
②誰と(税理士本人 or 職員)
③いつ、どのぐらいの頻度(訪問回数)

にするのかを逐一確認しておきましょう。

まず①について。とくに要望がなければ、税理士自ら来社してくれるはずです。
ただし、最近では、経営者が税理士事務所を訪ねてくれれば、その分、訪問にかかる費用を割り引くサービスがあります。

税理士側にしてみれば、1件の訪問で 30 分かかったとしても、往復の移動時間に1 時間かかれば、合計1時間 30 分のロスとなり、その分を顧問料に含んでおかなければ いけません。

しかし、税理士事務所に訪問してもらえれば、交通費と移動時間分のコストが下げられるわけです。

つぎに②です。税理士事務所によって違いますが、大規模なところだと担当職員が毎月訪ねてきます。中小規模のところだと、税理士本人がやってきます。

職員が来るか、税理士本人が来るかのよしあしは、問題ではありません。ただ、税理士本人に経営アドバイスをして欲しいのであれば「毎月先生に来て欲しいのですが」
と確認しておくことをお勧めします。

最後に③です。

通常の月次訪問は月1回です。

時期は月初の1~5日ぐらいがベストかもしれません。なぜなら、経営指導を求める人は、前月末の集計結果を試算表にして数字を反省すると同時に、その反省した事項を当月の経営計画で実行できるからです。

また「忙しいので月に一度も時間がとれない」場合、その旨を伝えて、2カ月に一度、3カ月に一度、または決算期のみ、という頻度で検討してみてください。
どこまでのサービスを税理士に求めるかで、適切な回数は変化します。

税理士と穏やかに別れるためには?

「この記事を読んでいるうちに、税理士にはさまざまなサービスがあり、付き合い方があることを知った。現状の税理士は、一緒に事業を大きくしていく点において不満が
あるので変更したい。どうすればいいか」

このような質問をされる方が少なくないので、対処方法を述べておきます。

まず大切なのは、次の税理士を見つけることです。

現在の顧問税理士に不満があっても、ガマンし、決算が終わった直後に変更を申し出るのがよいでしょう。決算前に業務を投げ出されたら、いろいろと混乱してしまいます。

きちんと新しい税理士を見つけたうえで、前の税理士を断るようにしましょう。

つぎに、ケンカ別れしないことです。 税理士とケンカ別れしてしまうと、重要な資料が散逸してしまって、次の税理士へ の引き継ぎがうまくいかないことがあります。

なるべく穏便に別れて本業に支障をきたさないようにしましょう。

別れる際には、つぎの3つの「決めセリフ」が有効です。
「親戚が税理士として独立した」
「知り合いの税理士が共同出資してくれることになり、顧問もお願いすることになった」
「大口取引先から同じ顧問税理士にしてほしいとお願いされた」

こうしたセリフを使うことで、税理士のプライドを傷つけることなくスムーズに別れられるでしょう。
また実務面で必要な事項も述べておきます。

①総勘定元帳
②各種届出書類
③預け資料

この3点を必ず、以前の税理士事務所からもらうよう留意してください。
「総勘定元帳」は決算申告後に返却されているはずですが、前の税理士がもっている場合は、必ず早いうちに戻してもらってください。基本的に7年分の経理関係の資料は、企業に保管義務があります。
税務調査の際にも、調査官が閲覧を希望してくるため、なければ心証が悪くなります。
「各種届出書類」は、新しい税理士が選択適用できる税務判断時(減価償却法など)に必要となります。手元にないと有効な節税策を検討できませんので、必ず戻してもらうようにしてください。
会社設立時からお世話になっていた税理士であれば、起業時の書類関係もまとめて返してもらいましょう。
「預け資料」は月次決算のために預けた請求書や領収書、金融機関の通帳類などです。
税理士同士では、直接の引き継ぎ対応をイヤがる場合が多々あります。無事、新しい税理士が見つかったら、以上3つとともに、過去2期分の申告書の控えを提出するようにしましょう。

 

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