確定申告ってどういうこと?ポイント3 経費になるかならないかはどこで見分けるのか?

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経費になるかならないかはどこで見分けるのか?
所得税の計算で出てきたいくつかのキーワードについて見ていきましょう。
最初のキーワードは「経費」です。
所得税の計算は、「収入」から「経費」を引いて「所得」を出すところから始まりました。
ですからどんな出費が経費なのかを理解しておく必要があります。

「経費」になるかどうかを決める3原則

当たり前のようですが、経費とは「収入を得るために必要な出費」です。
そしてこれが、経費となるかならないかを見分ける上での大原則となります。

では収入を得るために必要だったかどうかは、誰が決めるのでしょうか。
そのことを一番よく分かっているのは、実は使った本人です。
ですから経費であるかないかを決めるのは申告する本人しだいともいえます。
しかし、仕事に関係ない飲み会の出費や、私用で出かけたときの交通費や宿泊費は、いくら本人が経費だと言い張っても通らないでしょう。
このように「他人に説明しても納得してもらえないような出費は、経費にはできない」というのが、経費かどうかを見分ける第2の原則です。

では、「海外で仕事をするために英会話の学校に通った」という場合はどうでしょう。
仕事のために必要だという合理的な理由があれば、基本的には大丈夫です。
書籍やDVDを購入した、映画を見た、著名な専門家のセミナーに行った……なども同じです。

ただしもうひとつ、「常識を超えて高額な場合は脱税かと疑われやすい」ことも念頭に置いておきましょう。誰に疑われると困るかといえば、もちろん税務署です。
それはたとえばこんな場合です。

「出張で一流ホテルのスイートルームに宿泊する必要があるのか?」
「プロでもないのに高額なカメラを買ったのはなぜか?」
「モデルでもないのに高い「衣装代」を何に使ったのか?」

こうした質問に答えなければならなくなります。

  • 収入を得るために必要な出費か
  • 人に説明すれば経費だと納得してもらえるか
  • 高額の出費をする必要があったのか
  • これらを最後に判断するのは結局はあなた本人です。
    迷ったときは、この原則に戻って判断しましょう。収入を得るための経費だときちんと説明できれば基本的には問題ありません。
    しかし実際には、本人は仕事のために必要と思っても、他人(つまり税務署)を説得できるかどうかイマイチ自信が持てないという場合もあるでしょう。
    あなたに悪意はなくても、税務署とあなたの見解が違ってしまうことも起こります。
    不安ならばあえて経費にしないのが無難かもしれません。

    なお経費はそれが発生した年の分の確定申告にしか使えません。
    つまりモノやサービスを買った年しか有効にならないということです。

    ところで会社などに勤めている方の中には、個人事業主や地主、大家さん、フリーランスは経費が認められて、自分たちには認められないのは不公平だ!と思っている人もいるようですね。

    確かにそのままでは不公平です。
    なので、実は給与所得者は収入から「給与所得控除」の額だけ引いて所得額を出しています。
    名目は「控除」ですが、実質的には「経費」に該当する分と思っていいでしょう。
    ただ何にいくら使ったかを本人が計算しなくてもいいように、給与等の収入金額をもとに一定の計算式によって「給与所得控除」の額を算出しています。

    領収書がなくても大丈夫?

    収入を得るために必要な出費であることを示す記録=「証拠」がないと、他人を納得させることはできません。
    その証拠としてとっておくのが領収書です。
    領収書は「お金を払ったのは誰か」「どういうものを買ったか」「いくらで買ったか」「お金を受け取ったのは誰か」を記録したものです。
    ただお店でいちいち書いてもらわなくても、レシートがあれば済むこともあります。
    「領収書」と書いてあるレシートもあります。
    ただレシートには「どういうものを買ったか」が抜けていることがあるので、その場合はメモ書きを追加しておきましょう。
    複数のものを買ってその中に経費にするものが混じっている場合は、そのうちどれが経費かを書いておきます。
    領収書やレシートがたくさん溜まる人は、受け取ったらその都度内容別に仕分けしておかないと後が大変です。
    経費にならない領収書やレシートは別にしておくか、いらなければ捨ててしまいます。

    大切なのは記録を残すことです。
    なので、たとえば出金したことが金融機関の通帳に記録されていれば、領収書がなくても問題ありません。
    交通費も、昔は領収書がないのが当たり前でしたが、今ではスイカ、パスモ、イコカなどのプリペイドカードに入金するときに領収書を発行することができます。
    さらに経路も印字できるので、定期的に記録しておくとよいでしょう。
    ネット通販などでは、よく購入記録や発送の確認メールが来ます。
    これらも記録には違いありませんから、領収書がない場合などは探してみるといいでしょう。

    領収書以外の「証拠」としてよく使われるのが出金伝票です。
    出金先(相手の名前や店名)、日時、金額、摘要(何に使ったか)を書く欄があり、文房具店で売っています。
    「勘定科目」の欄もありますが、書かなくてもかまいません。
    取引先など仕事に関係する人の冠婚葬祭で、御祝儀や不祝儀として出したお金も、経費にできます。
    これも出金伝票に記録しましょう。さらにそのときの招待状や礼状を一緒にとっておけば、カラ伝票でない証拠になります。

    なお医療費控除を受けるためにも領収書など出費したこと証明するものが必要となります。
    医療費控除は意外といろんなものが対象になるので、領収書などをうっかり捨てないようにしてください。

    経費となる18の代表的なパターン

    では具体的にはどんな経費があるのでしょうか。
    確定申告の白色申告をするときに使う「収支の内訳書」や、青色申告決算書の「損益計算書」の「経費」の欄から拾い出してみました。
    これらの申告書類についてはまた後で触れますが、ここでは経費の見本例として見ています。

    【代表的な経費の科目】

  • 給料賃金……賃金として払った額(家族の分は除く)
  • 外注工賃……社外に発注した仕事に対する支払い
  • 減価償却費……高額な設備を購入した場合(注1)
  • 貸倒金……掛け売りして受け取れなかった代金など
  • 地代家賃……事務所や店舗の賃貸費や駐車場代など
  • 利子割引料……借入金の利子や手形割引料など
  • [その他の経費]

  • 租税公課……経費となる税金など
  • 荷造運賃……宅配便でものを送ったときの運賃など
  • 水道光熱費……水道・電気・ガス・燃料代など
  • 旅費交通費……仕事で使った電車、バス、タクシーの代金など(注2)
  • 通信費……電話代や郵送料金、インターネットを使うための料金など
  • 広告宣伝費……チラシ制作費やネット広告費、ホームページ制作料金など
  • 接待交際費……取引先などをもてなした飲食代、付け届けや手土産などの出費(注3)
  • 損害保険料……営業用の車の自動車保険や火災保険など
  • 修繕費……携帯電話、パソコン、カメラ、自動車や設備機器などの修理費用
  • 消耗品代……事務用品や備品など(減ってなくなるもの)の代金
  • 福利厚生費……従業員のために使った飲食費、社員旅行の費用など
  • 雑費……その他分類できないもの
  • (注1)減価償却
    高額な出費を伴う買い物(税法では10万円以上が原則)は、通常は何年にもわたって使うことになると考えられるので、1年間の収入から出費の全額を引く「経費」ではなく「固定資産」として扱います。この場合は「減価償却」(→リンク[ページ26])という方法で、毎年一定額ずつ収入から差し引くことになっています。
    (注2)旅費交通費
    出張時の飛行機代や宿泊費、ガソリン代や高速道路の通行料金なども含まれます。
    (注3)接待交際費
    企業など法人の場合は1回の上限など経費にできる範囲が決まっていますが、個人事業主やフリーランスは使った分だけ認められます。

    税金も経費として認められる?

    今の代表的な経費のうち「租税公課……経費となる税金など」という部分に気がついたでしょうか。
    そうです。経費にすることができる税金もあるのです。
    税金のほかに、役所に支払った手数料なども「租税公課」となります。

    【経費となる税金など】

  • 固定資産税、事業税、消費税、自動車税(自動車重量税、自動車取得税を含む)、不動産取得税、印紙税、登録免許税など
  • 仕事に必要な公的証明書(たとえば住民票など)を取るときの手数料
  • 商工会議所や商店会などの会費、協同組合の組合費
  • なお税金でも租税公課にならないものはたくさんあります。所得税や住民税も残念ながら経費にすることはできません。

    「事業共用割合」で経費にできる

    商店を営む個人事業主や自宅で仕事をするフリーランスの人で、よく問題になるのが仕事とプライベートの出費をどう分けるかです。
    たとえば仕事で使っている事務所の家賃は、通常は問題なく経費になりますが、自宅の一部を仕事場に使っている場合はどうでしょう。
    ほかの部屋はプライベートな生活の場ですね。
    こんなときは、仕事に使っている部分の面積が全体のうちどれぐらいを占めているかによって「事業用」と「家庭用」に割り振ります。
    家賃が12万円で、仕事で使うスペースが3分の1なら、4万円を経費として扱います。
    この割合を「事業共用割合」といいます(「家事按分」などの言い方をすることもあります)。
    どれぐらいが「事業共用割合」かは、それほど厳密に考える必要はありません。
    あまり実態と違っていると問題ですが、「だいたいこれぐらいかな」という感覚で考えても大丈夫です。
    ほかに賃貸料、マンション管理費、消耗品、旅費交通費、水道光熱費なども、仕事と私生活の両方で使っている場合は、この「事業共用割合」で割り振りをします。

    「勘定科目」って何?

    さきほどの「収支の内訳書」や「損益計算書」にある「地代家賃」「通信費」「接待交際費」などを「勘定科目」といいます。
    勘定科目は、法律などで決められているわけではありません。
    それでもみんながまちまちな名称を付けてしまうと混乱するので、共通の勘定科目を使うことが多くなっています。
    ここにある勘定科目にあてはまらないものや、金額が多いものについては「書籍代」「資料費」「車両費」「リース料」というように、自分で勘定科目を立ててかまいません。
    収支内訳書や損益計算書には勘定科目名が入っていない経費の欄があり、そこに科目を書き込めるようになっています。
    ただ明らかに別の勘定科目に入るべき経費を混ぜてしまうと、もしかして税務署の調査が入ったときに「これはなんだ?」となり、確定申告書すべてを疑いの目で見られてしまうかもしれないので注意しましょう。

    なお勘定科目は「経費」だけでなく、ほかに「負債」「資産」「収益」などに分類されるものがあります。
    これらは帳簿を付けるときに必要になります。
    勘定科目を覚えようとする必要はなく、自分がよく使うものを知っておけばいいでしょう。

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