確定申告ってどういうこと?ポイント5 所得税額が減る「控除」にはこんなものがある

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所得税額が減る「控除」にはこんなものがある

総合課税される所得については所得額から「所得控除」を差し引きます。
分離課税される所得については、それとは別に個々に税額を計算します。
控除には所得金額から引く「所得控除」と、所得税額から引く「税額控除」があります。税額から直接差し引く税額控除の方が、節税効果は高いといえるでしょう。
税額控除の計算については、また後で説明します。
ここでは所得控除と税額控除のそれぞれについて、どのような控除があるのかを見ていきましょう。

所得控除とその種類

所得控除には14種類があります。次のように4のパターンに分けると分かりやすいでしょう。

【給与所得者が確定申告しないと受けられない控除】
サラリーマンなど給与所得しかない人は、多くの場合、勤務先の年末調整で所得控除の計算がすでにされています。ただし医療費控除、雑損控除、寄付金控除の3つについては、控除額を自分で計算して確定申告しないと受けることができません。

医療費控除

1年間の医療費が、家族の分も含めて一定額以上になった場合、所得額から控除できます。通常は1年間に支払った医療費が10万円を超えると控除の対象となります。ただ意外と知られていませんが、総所得金額が200万円未満の場合は、総所得金額の5%を超えた分の医療費が控除されます。
どんなものが「医療費」として認められるかですが、これがなかなか微妙です。通院や入退院時の交通費は医療費に含まれます。ですから領収書やいくらかかったかメモを残しておくのがいいでしょう。一方で、健康診断の費用は医療費にできません。またいったん支払った後で高額療養費として戻ってきた医療費は差し引かなければなりません。
→次のうち多い方の金額が控除されます
「医療費-10万円」または「医療費-所得金額の5%」

雑損控除

災害や盗難、横領などで住宅や家財などに損害を受けたときの控除です。なお個人事業主の事業用資産(建物や設備など)が損害を受けたときは、事業所得の必要経費として扱います。
→次のうち多い方の金額が控除されます。
「損失額-所得金額の10%」または「災害関連の支出-5万円」

寄附金控除<

国や地方公共団体などに寄付したとき、あるいは特定の政治献金、震災関連寄付をしたときの控除です。なお寄附金控除は税額控除ができる場合もあります。
→所得控除では次のうち少ない方の金額になります。
「特定寄付金額-2000円」または「所得金額の40%(震災関連寄付がある場合は80%)-2000円」

【保険料などの控除】
1年間に支払った社会保険料や生命保険料など各種の保険料も、所得から控除されます。個人事業主や不動産所得がある人などは、給与所得者のような年末調整がないため、確定申告をして控除を受ける必要があります。なお生命保険控除、地震保険控除の詳細については、税務署の「確定申告の手引き」などを参考にしてください。

社会保険料控除

国民健康保険、国民年金保険、国民年金基金、後期高齢者医療保険、介護保険などの保険料として1年間に支払ったが控除されます。会社などを辞めて給与所得者でなくなった人は、厚生年金の保険料も控除されます。
なお国民年金保険と国民年金基金は、確定申告する際に添付書類として「支払証明書」が必要になります。
→上記の全額が控除されます。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済は、個人事業主などが加入する退職金共済制度で、その掛金が控除されます。ほかにも確定拠出年金法の既定による個人型年金加入者の掛金や、心身障害者扶養共済制度の掛金が控除されます。
→上記の全額が控除されます。

生命保険控除

生命保険、介護医療保険、個人年金保険の保険料の一部が控除されます。なお2012年1月1日以降に契約した生命保険、介護医療保険、個人年金保険と、それ以前に契約した生命保険、個人本金保険では計算方法が違います。
→2012年1月1日以降の契約の場合は合計12万円まで(生命保険、介護医療保険、個人年金保険ごとに各々4万円まで)、それ以前の契約では合計10万円までになります。

地震保険控除

地震保険や、2006年12月31日までに契約して一定の条件に当てはまる長期損害保険の保険料が控除されます。自宅の一部が仕事場や店舗になっている場合は、使用している割合に応じて按分します。
→地震保険は5万円まで。長期損害保険は1万5000円までです。両者を合計する場合でも控除は最高5万円です。

【自分や家族の状況に応じて控除されるもの】
子供や親など養っている家族がいたり、妻や夫の収入がゼロないし一定額以下など、自分や家族の状況に応じて認められる所得控除です。

配偶者控除

合計所得が38万円以下の配偶者がいる場合の控除です。ただしほかの人の扶養家族になっていないことが条件です。
よく「パート収入に103万円の壁」と言いますが、「103万円(収入)-65万円(給与控除)-38万円(基礎控除)=38万円(所得)」です。ですから配偶者の年収が103万円以下であれば所得は38万円以下になって配偶者控除が受けられるし、103万円を超えてしまうと受けられないというわけです。
なお収入が103万円を超えても、141万未満なら次に記す配偶者特別控除が受けられます。
→控除額は38万円(配偶者が70歳以上なら48万円)です。

配偶者特別控除

配偶者の合計所得が38万円を超えて76万円未満、なおかつ本人の合計所得金額が1000万円以下の場合に受けられる控除です。配偶者の合計所得が増えるにつれて控除額は段階的に減り、76万円でゼロになります。年収では141万円以上になった時点で控除がなくなります。
→控除額は配偶者の所得によって変わり、最高38万円です。

扶養控除

合計所得が38万円以下の子供、両親、兄弟姉妹など(6親等内の血族、3親等内の姻族)を扶養している場合の控除です。該当する扶養家族が2人以上いれば、それぞれの分の合計額になります。離れて住んでいる家族でも「生計を一」にしている、つまりその人の生活費を負担していれば、扶養控除の対象となります。
なお15歳以下の子供や、青色申告や白色申告で事業専従者になっている人は扶養控除の対象になりません。
→16歳から18歳、および23歳から69歳までの一般の扶養親族は38万円、19歳から22歳の「特定扶養親族」は63万円の控除になります。70歳以上で同居している同居老親等の控除は58万円、同居していない老人扶養親族は48万円です。

※注意!
家族が38万円以上の所得を得ている場合は、配偶者控除や扶養控除は(所得額が76万円を超えると配偶者特別控除も)受けられません。家族に収入があることをうっかり忘れていたり、アルバイト、ネットトレーディングなどの収入を知らなかったりすると、間違った申告となり修正申告が必要になるので気をつけましょう。

寡婦(夫)控除

夫や妻と死別したり離婚して、再婚していない人が対象となります。子供や扶養家族がいるといった条件があります。
→控除額は27万円です。ただし合計所得金額が500万円以下で子供がいる女性は35万円です。

勤労学生控除

働いている学生が受けられる控除です。「特定の学校」の学生であること、合計所得が65万円以下などの条件があります。なお勤労学生の場合、親の扶養控除の対象から外れる可能性があることも頭に入れておきましょう。
→控除額は27万円です。

障害者控除

本人や配偶者控除の対象となる夫ないし妻、16歳未満を含む扶養親族が「障害者」ないし「特別障害者」に該当する場合の控除です。
→障害者は27万円、特別障害者は40万円、同居している特別障害者がいれば75万円が控除されます。

【誰でも控除されるもの】

基礎控除

→38万円です。誰でも必ず控除されるので、申告書に記入するのを忘れないようにします。

このほかに、給与所得者が対象となる「給与所得控除」があります。
個人事業者などには経費が認められていますが、給与所得者にはそれがありません。代わりに認められているのが給与所得控除で、給与収入に対応した控除額や計算方法が決められています。

税額控除とその種類

所得税額から差し引くことができる税額控除には8種類があります。また災害によって損害を受けた場合は「災害減免額」を所得税額から差し引くことができます。

住宅に関する控除

住宅の新築や購入、各種改築などをしたときには、次の4種類の控除があります。
かなり大きい節税効果となりますが、いずれも適用条件などが細かいので、国税庁のホームページを参照したり、税理士など専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

住宅ローンで自宅を新築したり、購入や増築・改築をした人が受けられる控除です。新築、購入、増改築をした次の年から10年間にわたって受けられますが、確定申告が必要になるのは1年目(通常は入居した翌年)だけです。
→控除額は住宅ローンの残高から計算します。長期優良住宅や低炭素住宅に認定された住宅は1年ごとに最高30万円、それ以外の住宅は同じく最高20万円です。

特定増改築等住宅借入金等特別控除

住宅ローンで家屋のバリアフリー改修工事や省エネ改修工事をしたときの控除です。工事をした次の年から10年間受けられますが、確定申告が必要なのは最初の1年目だけです。
→控除額は住宅ローンの残高から計算し、1年ごとに最高12万円です。

住宅耐震改修特別控除

家屋の耐震改修工事をしたときの控除です。住宅ローンを組んだときは、上記の住宅ローン控除も併せて受けられます。
→改修工事費用の10%で、最高20万円まで控除されます。

住宅特定改修特別税額控除

家屋のバリアフリー改修工事や省エネ改修工事をしたときに受けられます。
→実際にかかった工事費用と「標準的な工事費用」のうち、少ない方の金額の10%が控除されます。最高額は20万円ですが、太陽光発電設備工事は最高30万円まで認められます。

認定長期有料住宅新築等特別税額控除

認定長期優良住宅を新築したり、新築物件を購入した場合に受けられます。
→「標準的なかかり増し費用」の10%で、最高50万円です。

寄付金に関する控除

  • 政党等寄附金特別控除
  • 認定NPO法人等寄附金特別控除
  • 公益社団法人等寄附金特別控除
  • 特定震災指定寄附金特別控除
  • 政党や政治資金団体、NPO法人など一定の要件を満たす団体への寄付をしたときに控除されます。「特定震災指定寄付金特別控除」は、東日本大震災の被災者支援活動に必要な資金として支出した寄附金についての控除です。上記のうち複数の寄付金に該当するものがある場合は、控除も合わせて認められます。
    所得控除にも「寄附金控除」があり、どちらかを選ぶことになっています。一般的には税額控除の方が有利です。
    →(寄付金の合計額-2000円)の40%が基本です。ただしケースバイケースで異なり、計算が複雑になることもあります。

    配当所得に関する控除

    ・配当控除
    株式などの配当所得を申告すると受けられる控除です。ただし申告分離課税を選択した場合はその計算方式で税額を計算し、控除は受けられません。このほかにも控除されない配当があるので、確認しておく必要があります。
    →総所得金額が1000万円以下であれば、配当所得の10%が控除されます。1000万円を超える人の場合は、別の方法で計算します。

    災害に関する控除

    ・災害減免額
    災害によって住宅や家財が被害を受けたときの控除です。所得控除の「雑損控除」かどちらかを選びます。
    →控除額の計算方法が複雑なため、専門家に相談するようにします。

    その他

    ・外国税額控除
    外国で生じた所得に対して、その国の所得税に相当する税金がかかっている場合に適用される控除です。
    →控除が受けられるかどうかも含めて、専門家に相談するようにします。

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