株式会社の定款作成:19の空欄を埋めるだけの雛形と8つの注意事項

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document定款の作成は、会社を設立しようとする方の多くが最初につまずく部分です。なぜなら、良い定款を作ろうとすると、株式や会社法に関する知識をある程度身につけておく必要があるからです。

しかし、会社を設立する時は、出来るだけお金を生む仕事に集中したいものですよね。

さらに、大切な時間を割いて本業以外の知識をあらためて勉強するのは効率的ではありません。

そこで、このページでは、19個の空欄を埋めるだけで簡単に定款を作成できる雛形と、その記入方法、そして定款を作成する際に、必ず知っておいていただきたい会社運営に関わる注意事項や法的知識のうち重大なものだけを厳選してお伝えします。

お役に立てて頂けると嬉しく思います。

当ページでは、あくまでも一般的な株式会社の定款について記載しております。ここに書かれていることが全てではありませんので、ご了承下さい。

目次:素人でも空欄を穴埋めするだけでできる定款作成の方法

※目次をクリックすると各項目にジャンプすることができます。

1.定款とは?
2.まずは定款作成用の雛形をダウンロードしよう
    2.1 定款の2種類の雛形
    2.2 取締役会設置会社にするべき場合とは?
3.定款の作成(取締役会非設置会社編)
    3.1 定款タイトル
    3.2 日付
    3.3 商号
    3.4 目的
    3.5 本店の所在地
    3.6 公告
    3.7 発行可能株式総数
    3.8 株式の譲渡制限
    3.9.取締役の員数
    3.10 取締役の任期
    3.11 事業年度
    3.12 設立に際して出資される財産の価額
    3.13 設立後の資本金の額
    3.14. 最初の事業年度
    3.15. 設立時の役員
    3.16. 発起人の氏名、住所等
    3.17. 電子定款の場合は書換えが必要な項目
   3.18. 発起人の記名押印
    3.19. 捨て印
4.定款の作成(取締役会設置会社編)
    4.1 取締役の員数
    4.2 監査役の設置および監査役の員数
    4.3 監査役の設置および監査役の任期
    4.4 代表取締役及び社長
    4.5 設立時の役員
5.定款を作成する際に知っておきたい8つの注意事項
    5.1. 商号(会社名)を決める時にしっておくべき5つの決まり事
    5.2. 事業目的の具体的な記載事例と2つの注意点
    5.3. 本店所在地の書き方2パターン
    5.4. 2種類の公告方法と費用の違い
    5.5.発行できる株式の数の効果的な決め方
    5.6. 株式の譲渡制限を設定すべき理由
    5.7. 節税に効果的な事業年度の決め方
    5.8. 資本金の適切な額と注意点2つ
6.作成した定款を製本しよう
7.定款作成後の流れ

1.定款とは?

定款とは会社の基本的な規則を書いたもので、別名「会社の憲法」と呼ばれることもあります。定款は、株式会社を設立する際に必ず作成しなければいけません。そして、定款は、下図のように会社手続きの流れの中でも、最初に用意することになる本格的な書類と言えるでしょう。

会社設立の流れ

図1:会社設立の基本的な流れ

さて、定款の作成は、とても面倒と思われている方も多いと思います。しかし、作成自体は、実は意外なほど簡単で素早く終わらせることができます。

それでは早速、定款の作成を始めていきましょう。

2.まずは定款作成用の雛形をダウンロードしよう

2.1. 定款の2種類の雛形

早速ですが、まずは、Wordで作成した定款作成用の雛形(下図)を用意しておりますので、下記の画像の下にあるリンクよりダウンロードしてください。

定款の雛形

定款の雛形(※「右クリック→ファイルを保存」を選択してください)

ご覧のように、雛形は「取締役会を設置しない会社用の物」と「取締役会を設置する会社用の物」をご用意させて頂いております。どちらを選べば良いのか分からない方もいらっしゃると思いますので、両者の簡単な違いをご説明させていただきますね。

2.2. 取締役会”非”設置会社 VS 取締役会設置会社

日本の中小企業のほとんどは、取締役会”非”設置会社です。しかし、会社に取締役が3名以上いる場合は、取締役会を設置することができます。取締役会を設置していると、会社の経営の大部分を、株主総会ではなく、取締役同士の決議で決められるようになります。

おおまかにお伝えすると、他にも以下の図のような違いがあります。

取締役会設置会社と取締役会非設置会社の違い

それでは、どういう場合に取締役会設置会社にすべきなのでしょうか?

簡潔にお伝えすると、会社設立時の出資者の中に、家族や親戚の良い友人”以外”の人間が多くいる場合です。

なぜなら、会社設立時の株主の中に、あなたにとって敵対的な人物がいる場合は取締役会を設置していなければ、業務執行に関する重要な決断がスムーズに行えなくなってしまいます。その場合は、取締役会で行えるようにした方がメリットが大きいと言えます。

両者の違いは何となくお分かり頂けたと思いますので、早速、先ほどの定款の雛形を開いて作成を進めましょう。

3.定款の作成(取締役会“非”設置会社編)

ここからは、Wordの雛形を開いて、以下の解説を読みながら記入していきましょう。それぞれの入力個所に関して詳しい説明もさせて頂いておりますのでご安心下さい。また、取締役会を設置する場合は、『4. 取締役会設置会社編』も合わせてご確認ください。

定款①

※定款雛形の1 ~ 2ページ目

3.1. 定款タイトル

あなたが設立する会社名を入力します。また「㈱」と表記を略すことはできませんので注意しましょう。

3.2. 日付

一番上に、定款を作成した年月日を書きます。二段目の公証人認証の日付と三段目の会社設立の日付は、それぞれの手続きが終わった時に記入しますので、今は空欄にしておきましょう。

3.3. 商号

商号とは社名のことです。定款では、正式名称で記入する必要があるため「㈱」のように略すことはできません。

→ 詳細:『5-1. 会社名を決める時に知っておきたい5つの決まり事

3.4. 目的

ここには、あなたの会社がどのような事業を行うのかを書きます。会社は、ここに書いているもの以外の事業を行うことはできません。書き込める個数に制限はないので、将来行う可能性のある事業はすべて書いておきましょう。

また最後に、「前各号に附帯または関連する一切の業務」と書いておくことで、新しい事業を行う場合でも、既に行っている事業と関連性のあるものであれば、定款を書き直す必要がなくなります。とても便利な表現なので必ず記入しておきましょう。

→ 詳細『5-2. 事業目的の具体的な記載例と2つの注意点

3.5. 本店の所在地

会社の住所を書きます。住所は、「東京都渋谷区渋谷」のように都道府県・市区までに留めておきましょう。(=最小行政区画)そうすることで、会社が成長してオフィスの引っ越しをする際に、同一市区内であれば定款を変更する必要がなくなります。

→ 詳細『5-3. 本店の所在地の書き方2パターン

また、番地は<渋谷一丁目1番地1号>のように、丁目は漢数字で、番地と号は数字で記入します。意外と間違いが多いポイントなので注意して下さい。

3.6. 公告

株式会社では、事業年度ごとの決算や会社に関する重要な情報を公に告知することが義務づけられています。そして、その告知のことを公告と言います。ここでは、その公告の方法を書きます。

公告方法は、「官報」によって行うか「電子公告」によって行うが一般的です。また電子公告にした際は、会社設立の登記申請を行うまでにURLを取得し、サイトを作成しておく必要がありますのであらかじめ自社サイトを用意しておきましょう。

→ 詳細『5-4. 2種類の公告方法と費用の違い

3.7. 発行可能株式総数

会社が発行できる株式数の限度を設定します。これにより、経営者が知らない間に増資されて、会社の経営権が他人に渡ってしまうことを防ぐことができます。

→ 詳細『5-5. 発行可能株式総数の効果的な決め方

3.8. 株式の譲渡制限

基本的に株式は株主が自由に誰かに譲ることができます。しかし、中小企業では、誰か知らない人が、いつのまにか株式を取得してしまうと会社の経営がままならなくなってしまいます。

それを防ぐために、会社が許可した人だけに株式を譲渡できるという決まりを作ることができます。これを「株式の譲渡制限に関する事項』と言います。株式の譲渡制限を設定することで、役員の任期を伸ばしたり、手続きを簡単にしたりと大きなメリットがあるので記載が必要な項目です。

ここは「代表取締役」とするか「株主総会」とするかを選ぶことができますが、どちらも「代表取締役」と書いておきましょう。

→ 詳細『5-6. 新規設立する会社に株式の譲渡制限を設定した方が良い2つの理由

定款②

※定款雛形の3 ~ 4ページ目

3.9. 取締役の員数

取締役を何名置くかを決めることができます。

書き方は「○名以上」「○名以上○名以下」「○名以下」の3種類です。しかし、例えば、「3名以上5名以下」とすると、必ず3名以上置かなければいけなくなります。そこで、会社設立当初は「1名以上」と書いておくことをオススメします。

 3.10. 取締役の任期

取締役の任期は原則2年ですが、「3.8. 株式の譲渡制限」を規定している場合は、10年まで伸ばすことができます。任期が終わるたびに定款の変更をするのは手間も費用もかかるので、最長の10年としておくのが良いでしょう。

その他知っておきたいこと

※第12条.(招集)
通常は2週間前までに招集通知を送る必要があるが、株式の全部に譲渡制限をしている場合は1週間以内にも短縮できます。通常は5日が多いので、このように記入しておきましょう。

※第16条.(株主の招集手続きの省略)
①株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができる旨②電磁的方法によって議決権を行使することができる旨を定めていない場合のみ設定することができます。

定款③

※定款雛形 5 ~ 6ページ目

 3.11. 事業年度

ここには会社の事業年度を記入します。決算月が2月の場合のみ、「2月末日まで」と書かなければいけません。

もし決算月を繁忙期にしてしまうと、ただでさえ忙しい時期に税務申告が重なってしまうのでオススメできません。そのため、ゆっくりと決算を迎えられる閑散期に設定しましょう。

また、資本金が1,000万円未満の場合、会社設立1期目と2期目は消費税が免除となるため、1期目が出来るだけ長くなるように設定するのも選択肢の一つです。

→ 詳細『5-7. 節税に効果的な事業年度の決め方

3.12.  3.13 設立に際して出資される財産の価額と設立後の資本金の額

ここには、ともに設立時の資本金の額を入力します。

→ 詳細『5-8. どれだけ必要?資本金の適切な額と2つの注意事項

3.14. 最初の事業年度

最初の事業年度の期末の日付を記入します。

3.15. 設立時の役員

設立時代表取締役、設立時取締役など、会社設立時の役員を記入します。複数いる場合は、各人の役職と住所を続けて記入していきます。取締役会を設置しない会社(= 大半の中小企業)では、取締役が一人の場合、その者が代表取締役も兼ねることになります。

3.16. 発起人の氏名、住所等

お金を出資してくれた人の住所と名前、持ち株数と出資額を記入します。それぞれの持ち株数も一緒に記入すると、登記申請のときに『発起人の同意書』を用意する手間を省くことができます。

3.17. 電子定款の場合は書換えが必要な項目

電子定款の場合は、「以上、株式会社○○○○○○○○設立のため、発起人が、電磁的記録である本定款を作成し、電子署名する。」と記載します。

3.18. 発起人の記名押印

日付には、定款を作成した日を記入し、それぞれの発起人(出資者)個人の住所と名前を記入します。そして、その横に各自の実印を押します。

3.19. 捨て印

最後に、定款の認証時に修正が必要になった場合に備えて、欄外に発起人(出資者)全員の捨て印を押しておきましょう。

取締役会”非”設置会社の方は、これで定款の作成は終わりです。しかし、次のステップである『6. 定款の製本』に移る前に、『 5. 定款作成の際に知っておきたい注意事項まとめ』に目を通しておきましょう。

4. 定款の作成(取締役会設置会社編)

取締役会設置会社と、取締役会”非”設置会社の定款の大きな違いは、【株主総会以外の機関】に関する記述が追加されることです。(※:取締役会”非”設置会社の「第4章取締役」の部分)

その他の主な違いは以下の通りとなります。

    ⅰ.第7条(株式の譲渡制限)株式の譲渡に関する承認機関は取締役会になる
    ⅱ.第14条(招集)第②項 株主総会を招集するには会日より1週間前まで
    <補足>通常は2週間前までだが株式の譲渡制限をしている場合は1週間に短縮できる。
    ⅲ.第15条(招集権者及び議長)株主総会の議長は、取締役会の決議によって取締役社長が招集する。

それでは実際に記入が必要な部分を見て行きましょう。

注!:ここで説明していない記入箇所は、「3.取締役会”非”設置会社編」と同じなので、そちらを参考に記入してください。

定款④

4.1 取締役の員数

取締役会を設置する場合は、最低3名以上の取締役が必要となります。

4.2 監査役の設置および監査役の員数

設置する監査役の人数を記載します。「○○名以上」や「○○名以内」という記載が一般的です。特に理由がなければ「1名以上」としておくと良いでしょう。

4.3 監査役の設置および監査役の任期

取締役の任期は原則2年、監査役の任期は原則4年ですが、株式の譲渡制限を規定している場合は、両方とも10年まで伸ばすことができます。任期が終わるたびに定款の変更をするのは手間も費用もかかるので、最長の10年としておくのが良いでしょう。

4.4 代表取締役及び社長

代表取締役は通常1名ですが、2名以上置くこともできます。

定款⑤

4.5 設立時の役員

ここには、役員になる人個人の住所と名前を書きます。取締役会設置会社の場合、最低3名の取締役(=その内1人以上は代表取締役)と1名以上の監査役が必要です。

以上で定款の作成は終わり、次は製本です。その前に定款作成の際の注意事項に一通り目を通しておきましょう。

5. 定款作成の際に知っておきたい注意事項

ここでは定款を作成する際に知っておきたい注意事項全8つを簡単にご紹介します。定款作成の重要なルールや、会社の運営上、頭に入れておきたいポイントも含まれていますので、一度は読んでおくようにしましょう。

5.1 商号(会社名)を決める時にしっておくべき5つの決まり事

①会社名の中に「株式会社」という表記が必要

通常は前株か後株を選びますが、会社名のどこに入っても構いません。また定款に会社名を記載する時は、㈱ と略して記載することは禁止されています。

②「支店」や「部」など会社の一部門を表す言葉は禁止

例えば、「株式会社カイシャセツリツ福岡支店」や「株式会社カイシャセツリツ法務部」のように、混乱をまねくような会社名は法律で禁止されています。

③会社名に使用できる文字の範囲

会社名に使用できる文字は以下の通りです。
    ・漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字
    ・記号7種:&(アンバサンド) ・(中点) .(ピリオド) -(ハイフン) ‘(アポストロフィ) .(コンマ)
記号は、会社名の頭や末尾に使うことはできないので注意して下さい。

④業種によっては入れなければならない文字がある

銀行や信託、保険会社などは、会社名に「銀行」「信託」「保険」という業種を表す文字を入れる必要があります。また、関係のない業種なのに、これらの文字を入れることはできません。

⑤公序良俗に反する文字は使えない

当たり前の話ですが、会社名の中に犯罪を示唆する言葉やわいせつな言葉を含めることはできません。

5.2. 事業目的の具体的な記載事例と2つの注意点

①将来おこなう可能性のある事業も記載しよう

会社は定款に記載した目的以外の事業を行うことはできません。しかし、定款の目的に記載している事業をまだ実際に行っていないというのはOKです。そのため、将来的に行う可能性のある事業は全て書いておきましょう。

②事業目的の具体的な書き方事例

以下のサイトで過去に登記所で認められた事業目的が業種ごとにまとめられています。書き方に迷っているなら、参考にしてみて下さい。

> 会社定款のための定款記載目的事例集

③最後に「前各号に附帯または関連する一切の業務」と記載しよう

定款の目的の最後に、「前各号に附帯または関連する一切の業務」と記載していれば、新しい業務をはじめる場合でも、目的に関連したものであれば定款を変更する必要はありません。

便利な表現ですので必ず含めておくようにしましょう。

5.3 本店所在地の書き方2パターン

本店所在地には本社を置く住所を記載します。記載方法は以下の2通りあります。

    Ⅰ.東京都渋谷区渋谷のように最少行政区画まで記載する方法
            ・東京23区は区まで
            ・政令指定都市は市まで
            ・それ以外は市区町村まで
    Ⅱ.東京都渋谷区渋谷一丁目1ー1と番地も含め記載する方法

前者の場合は、同一区内でオフィスを移転する時は定款の住所の変更手続きは必要ありません。後者の場合は、オフィスを移転するたびに住所変更の手続きが必要になります。

そのため、特別な理由がなければ前者の記載方法をオススメします。

5.4 2種類の公告方法と費用の違い

株式会社では、事業年度ごとの決算や、その他会社に関する重要な情報を公に告知することが義務づけられています。そして、その告知のことを公告と言います。

公告の方法は基本的に以下の2つから選ぶことができます。

  • 官報に掲載する方法:官報という国の機関誌で公告する方法です。
  • 電子公告:会社サイトなどインターネット上で公告をする方法です。

官報にかかる費用は1行で2,854円です。(官報公告の費用※一般的には複数行の記載が必要になります)一方、電子公告の場合は、自サイトのサーバー代とドメイン代が年間で最低5,000円程度となります。

また、「当会社の公告は,電子公告によって行う。ただし、やむを得ない事由により電子公告を行うことができないときは官報に掲載して行う。」と記載をしておけば、どちらでも公告を行えるようになるのでオススメです。

電子公告を選択した場合は、定款に公告を掲載するURLも記載しましょう。

5.5 発行できる株式の数の効果的な決め方

①公開会社と非公開会社

株式会社の設立時には、会社がどれだけの数の株を発行できるかという最大数を決める必要があります。発行可能な株式の最大数は、公開会社か非公開会社かによって違います。

  • 公開会社:株式の譲渡制限を設定していない会社
  • 非公開会社:全ての株式に譲渡制限をもうけている会社

※詳細は後述の『株式の譲渡制限』を参照

公開会社の場合、発行可能な株式の総数はすでに発行している株式数の4倍が上限となります。非公開会社の場合は株式の数に上限はありません。そのため大半の中小企業は、非公開会社となっています。

したがって、当ページの定款の雛形も、全ての株式に譲渡制限をもうけることを前提に作成しています。

②発行可能株式数はどのような観点から決めるべきか?

具体的に発行可能株式数の上限を決める際は、将来的にどれぐらい増資するかを念頭に置いて決めるようにしましょう。

例えば、設立当初に発行する株式数が100株で、一株あたり1万円の場合、発行可能株式総数を400株にしていると300株分の300万円までしか増資ができないことになります。

5.6 株式の譲渡制限を設定すべき理由

①会社が知らない間に人のモノになってしまうのを防ぐため

基本的に株式は株主が自由に誰かに譲ることができます。しかし、中小企業では、誰か知らない人が、いつのまにか株式を取得してしまうと会社の経営がままならなくなってしまいます。

それを防ぐために、会社が許可した人だけに株式を譲渡できるという決まりを作ることができます。これを「株式の譲渡制限に関する事項』と言います。株式の譲渡制限を設定することで、役員の任期を伸ばしたり、手続きを簡単にしたりと大きなメリットがあるので、必ず記載しておきましょう。

②株式譲渡の承認機関

株式の譲渡を承認する機関は、代表取締役か株主総会のどちらかを選びます。※取締役会設置会社の場合は、取締役会が承認機関となります。

5.7 節税に効果的な事業年度の決め方

日本の多くの会社は4月を期首として新しい年度をスタートし、翌3月末を期末として事業年度を定めています。この事業年度は、必ずしも4月を期首に設定する必要はありません。

結論からお伝えすると、設立する会社の事業年度を決めるときには、節税の面から見ても「売上が一番多い月を期首にする」ことがオススメです。

理由は以下の3つです。

①広告宣伝費などの顧客獲得に使う経費を調整しやすい

もし、「今年は儲かったから、広告宣伝費を多めに使おう」という場合、もしその判断が期末に行われたとしたら、税務署から税金逃れではないかと目をつけらやすくなります。しかし、最も売上が多い月を期首とした場合、そのような経営判断も余裕を持って行うことができます。

②早い段階で役員報酬を変更できるため節税につながる

設立したばかりの会社や小さな会社の場合、役員報酬が経費のなかで大きな割合を占めます。そして、役員報酬は、期首から3ヶ月間のみしか変更することができません。つまり、期首の売上が多い時は役員報酬を増やしたり、少ない時は減らしたりという調整が可能になります。

③顧問税理士からゆっくりと節税のアドバイスを受けられる

日本では4月から3月末を事業年度としている会社がとても多いです。そのため、3月は税理士の先生も大忙しです。そんな中で、一社一社に丁寧なアドバイスを行うのは難しいものです。しかし、期末を3月以内に設定していれば、税理士の繁忙期をさけられるため、比較的ゆっくりと節税のアドバイスを聞くことができます。

以上の理由から、売上が一番多い月を期首に設定することで、効果的な節税対策をほどこすことができるようになります。

5.8 どれだけ必要?資本金の適切な額と注意点2つ

①どれだけ必要?資本金の適切な額とは

現在の会社法では資本金は1円でもよいことになっています。しかし1円起業は現実的ではありません。会社を始めるには、 パソコンや机などの事務用品や、オフィスなどの不動産契約、会社の実印などさまざまな用意が必要です。

そこで会社設立時の資本金は、最低でも会社運営に必要なヒトやモノを全てそろえた上で、半年間は運営できる余裕があるという額を集めておくことをおすすめします。

業種にもよりますが、一般的には300万~1,000万円ほどになるでしょう。

②資本金を決めるときの注意事項2つ

また、資本金を決めるときに知っておきたい注意事項が2つありますのでご説明します。

資本金が1,000万円以上だと初年度から消費税が課税される
通常、設立初年度の会社は消費税が免除されます。しかし、資本金が1,000万円以上だと、この特例を受けることができなくなります。
参考:国税庁「基準期間がない法人の納税義務の特例」

企業融資は自己資本の2倍までしか借りられない
資金調達の方法として、政府金融機関から創業融資を利用するという方法があります。そして、この創業融資は、資本金の2倍までしか借りることができません。つまり、資本金が低ければ低いほど借り入れができる幅が狭くなってしまいます。

この2点にも気をつけた上で、適正な資本金額を設定しましょう。

6.作成した定款を製本しよう

定款を作成したら、最後に全ページをプリンターでプリントアウトしましょう。そして、以下のように重ね、左側の二カ所をホチキスで留めます。その後、各ページの継ぎ目に発起人全員の契印を押しましょう。(※発起人が一人の場合は契印は一つだけ、三人の場合は三つの契印が必要です。)

これと同じものを3冊分用意しましょう。

定款の製本

※電子定款の場合について

定款は紙以外にもPDFの電子定款で用意することもできます。その場合は、紙の定款認証に必要な収入印紙代4万円が不要になります。しかし、そのために、揃えなければいけない機器や道具などがあるので、紙の定款以上の費用や時間がかかってしまう場合があります。電子定款の認証に関する経験がない場合や、初めての会社設立で、ご自身で全てやろうとされている場合は、紙の定款の方が手続きが早くすむ場合が多いです。

7.定款作成後の流れ

定款を作成し製本したら次は、その定款の記載が正しいものであるかどうかを第三者に証明してもらうことが必要となります。それを「定款の認証」と言います。定款の認証手続きの流れや、そのために用意するべき書類などを『定款認証の手続きをスムーズに行うための5つの手順』でご紹介しています。

ぜひ、そちらもご参考にして下さい。 

起業したら、経理をどうするかお悩みの方へ

 

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