融資を受けられる会社と受けられない会社を分ける2つのポイント

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2b9420af992754aac84c587b8cc4fd53_l企業から融資の申し込みがあったとき、銀行が融資を行うか否か。
行う場合はどの程度の金利を設定するか。

それらの判断基準となるのが「金融検査マニュアル」に基づいた企業の格付けです。

いったいどのような基準で格付けがされるのでしょうか?

格付けを決める2つのポイント

格付けは「定量的評価」と「定性的評価」の2種類の評価で行われます。

定量的評価

決算書の分析結果をもとに、安全性・収益性・成長性・返済能力等を評価したものです。

定性的評価

経営者の姿勢など、数値化できない評価です。
たとえば市場規模、競合状態、業歴、経営方針、従業員のモラル、経営基盤、競争力、シェア、経営者の個人資産力などから評価されます。

定性的評価はあくまで救済的・補完的役割であり、メインは定量的評価です。
経営方針や従業員がどれだけ素晴らしくても、財務内容が悪ければ格付けは上がりません。

また、決算書の分析結果に疑問や懸念が発生すれば、銀行は企業に対して質問し、納得のいく説明を求めます。

このとき、企業側が十分な説明やその根拠となる資料などを用意できず、銀行の疑問や懸念を解消できなければ、格付けは下がってしまいます。

各金融機関の格付け基準は非公表ですが、次のように10程度に振り分けられるスタイルが多いようです。

1.リスクなし

財務内容が優れており、債務履行の確実性は極めて高い水準にある。

2.ほとんどリスクなし

財務内容が良好で、債務履行の確実性は高い水準にある。
ただし事業環境等が大きく変化した場合には、その確実性が低下する可能性がある。

3.リスク些少

財務内容は一応良好で、債務履行の確実性は十分にある。
ただし事業環境等が変化した場合には、その確実性が低下する可能性がある。

4.リスクはあるが良好水準

財務内容は一応良好で、債務履行の確実性は認められる。
ただし事業環境等が変化した場合はその影響を受けて、確実性が低下する懸念がやや大きい。

5.リスクはあるが平均的水準

債務履行の確実性は当面問題ないが、事業環境等が変化した場合はその影響を受けて、履行能力が損なわれる要素が見受けられる。

6.リスクはやや高いが許容範囲

債務履行の確実性は現在において問題ないが、業況や財務内容に不安な要素があり、事業環境が変化すれば履行能力が損なわれる可能性があるため、業況推移に注意を要する。

7.リスクが高く管理徹底

業況低調または不安定、財務内容に問題があり、債務の履行に支障をきたす懸念が大きい。

8.警戒先

財務内容に重大な問題があり、債務の履行状況に問題が発生しているかそれに近い状態。
今後、経営破綻に陥る可能性が認められる。

9.延滞先

経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が高い。

10.事故先

深刻な経営難の状態にあり、実質的な破綻状態に陥っている、または法的・形式的な破綻の事実が発生している。

格付けは「正常先」か?

この格付けをベースに決定されるのが、債務者区分です。
どの区分に分類されるかにより、新たに融資を申し込んだときの銀行の融資姿勢が変わります。

もし正常先より下に分類されてしまったら、新規融資はかなり困難になります。

【正常先】

業績が良好であり、かつ財務内容にも問題がない債務者。

【要注意先・要管理先】

貸出条件に問題がある、債務履行状況に問題がある、業況が低調、財務内容に問題がある等の債務者。

【破綻懸念先】

経営難の状態にあり、経営改善計画などの進捗状況が芳しくなく、今後経営破綻に陥る可能性が大きい債務者。

【実質破綻先】

深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況で、実質的に経営破綻に陥っている債務者。

【破綻先】

法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者。

自社の格付けおよび債務者区分を上げるためには、評価のもとになる定量的評価と定性的評価を向上させなければなりません。
特にウェイトの高い定量的評価の向上が近道になります。

定量的評価を上げるためには「借入金等の負債の圧縮」「営業利益を増やす」といった方法がありますが、最大のポイントは「自己資本比率を増やす」ことです。

自己資本比率とは「総資本」の中で「自己資本」が占めている割合を指します。
総資本は外部から調達した借入金などの「他人資本」と、自己資金や補助金などの「自己資本」の合算です。

他人資本は、返さなければいけないお金。
それに対し、自己資本は自社の資本ですから、返さなくてもいいお金です。
返さなくてもいいお金が多ければ多いほど、資金繰りに余裕があり、経営が安定している強い会社であると評価されるのです。

信用力が低いと融資が受けられない場合も

会社の格付けが高くても、融資を断られることがあります。
その場合、原因は事業主にあります。
事業主の借金力=信用力が落ちているためです。

たとえば、毎月の携帯電話の支払い。
これを1度でも滞納したことがある人は、信用力が落ちています。

クレジットカードの支払いも同様です。
たまたま引き落とし口座の残高が不足していただけだとしても、支払い不能になったという事実は残っているのです。

そうした個人の信用情報は、すべて「CIC(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関)」にデータとして残されています。
どの会社のクレジットカードを持っているか、どこの携帯電話会社と契約をしているか、どこでローンを組んでいるか等の個人情報を、自分の情報であれば、いつでも確認できます(クレジットカード番号と電話番号、手数料1,000円が必要です)。

銀行も本人の許可を得た上で、ここから融資相手の情報を入手しています。

過去に何らかのクレジット払いを滞納した覚えがある人は、必ずCIC のサイトにアクセスして、自分の信用力がどうなっているか確認しておきましょう。

1億円までの調達は格付けをあまり意識する必要はない

以前の記事でお伝えしたとおり、民間金融機関からの借入(プロパー融資)は、「格付け」に大きく影響されます。

しかしプロパー融資以外の調達手段として、【信用保証協会付融資(マル保)】と【日本政策金融公庫の融資】があります。いずれも国の機関ですので、民間の金融機関ほど「格付け」に縛られてはいません。
もちろんしっかり審査をしますが、決算内容だけで機械的に判断しないという意味です。
特に日本政策金融公庫は取引実績を重視するため、既存借入れの返済状況が良好であれば「格付け」が低い企業であっても新規融資を出すケースはあります。

よく「格付け」に関するテクニカルな情報などが出回っているため、「格付け」対策をすることで融資をたくさん受けられるように錯覚してしまいがちですが、実際は【あまり格付けを意識する必要のない】日本政策金融公庫の無担保融資枠が2,000 万円、信用保証協会の無担保融資枠が8,000万円用意されています。
中小企業のうち、年商3億円未満の企業が90%超を占めるといわれていますので、ほとんどの中小企業は政府系の金融機関が用意する1億円で用が足ります。

したがって過度に「格付け」を気にする必要はありません。
細かな指標を意識して格付けを上げることに悪戦苦闘するより、しっかりと利益を上げることに専念し、まずは政府系の金融機関と丁寧なお付き合いすることも大切です。

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