会計帳簿の記帳、従業員の給与の計算、決算といった会社のお金の管理業務を担う経理は正確な作業や専門知識は当たり前、ビジネスがグローバルになる中、国際基準での対応が求められるなど、無茶振りがあったかと思えば「経理はアウトソーシングでいいのでは?」などとコスト削減の対象になりやすく、気苦労の多いポジションです。
経理として生き抜くためには、スキルアップやキャリアアップは欠かせません。
この記事では、経理の方におすすめの検定や資格をご紹介します。
1.経理の理解を深めるための資格
すでに経理業務をしている方や、経理をはじめたい方におすすめなのが「日商簿記検定」と「経理・財務スキル検定(FASS)、経理事務パスポート検定(PASS)」です。
合格したからといってすぐ何らかの専門的な業務を独占的に行えるわけではありませんが、一定の知識があることを示すことができます。
級数が上がると、国家資格の受験資格が得られるなどする検定もあるため、経理ビギナーの方は特に、キャリアの足がかりとして始めやすくなっています。
なお、検定や資格はやみくもに受ければいいというものではありません。あまり支持されないような資格や検定を受けても、キャリアやスキルアップにつながらないからです。
主催や認定する組織が信頼できるものか、受験者数や合格者数実績が多く、広く普及しているものかなどを確認し、見定めることが重要です。また、ステップアップしてキャリア形成を思い描きやすいマップが用意されていることも重要です。
(1)日商簿記検定[日本商工会議所主催]
簿記は、企業が行う日々の経営活動を、記録することや、計算を行いその結果を整理し、資産の増減を明らかにすることで、経営と財政の状態を把握するための技能を指します。
その簿記の力を測るには、日本商工会議所主催の「日商簿記検定」が広く普及しています。年間の受験者数は約60万人、社会的に高い信頼と評価を得ているものです。
検定は1級、2級、3級、簿記初級、原価計算初級にわかれており、幅広く学べるようになっています。
あなたが初心者で、検定に迷うなら、まずは3級取得を目指すとよいでしょう。3級、簿記初級、原価計算初級では、ビジネスの基本としてのコスト感覚も身につけることができ、全ての社会人に役立つように作られています。そのため、企業の大半は社員に対して簿記検定の受験を奨励していたり、大学の推薦入試や単位認定の基準としても採用していたりする学校も多いです。
経理業務に就く場合は、2級以上の取得が求められます。
さらに1級に合格すると、国家資格である税理士資格試験の受験資格が得られますので、公認会計士や税理士などの国家資格への登竜門としても活用されています。
日商簿記検定 1級 | |
極めて高度な商業簿記(※1)・会計学・工業簿記(※2)・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うことができることを示す。
合格すると、国家資格である税理士試験の受験資格が与えられる。 |
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試験科目 | 商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算 |
合格基準 | 70%以上(ただし1科目ごと40%以上) |
受験料 | 7,710円(税込) |
※1 「商業簿記」:購買活動や販売活動など、企業外部との取引を記録・計算する決算書作成に有用な技能。
※2 「工業簿記」:企業内部での部門別や製品別の材料・燃料・人力などの資源の投入を記録・計算する、経営管理・分析に有用な技能。
日商簿記検定 2級 | |
高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できることを示す。
財務部門や経理部門の担当者に求められる。 |
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試験科目 | 商業簿記、工業簿記 |
合格基準 | 70%以上 |
受験料 | 4,630円(税込) |
日商簿記検定 3級 | |
基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理できることを示す。
業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき必須の基本知識のレベル。 |
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試験科目 | 商業簿記 |
合格基準 | 70%以上 |
受験料 | 2,800円(税込) |
日商簿記検定 初級 | |
簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解し、業務に利活用することができることを示す。
業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき必須の基本知識のレベル。 インターネットを介して試験の実施から採点、合否判定までを行う「ネット試験」で受験できる。 |
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試験科目 | 商業簿記 |
合格基準 | 70%以上 |
受験料 | 2,160円(税込) |
日商簿記検定 原価計算初級 | |
原価計算の基本用語や原価と利益の関係を分析・理解し、業務に利活用することができることを示す。
業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき必須の基本知識のレベル。 インターネットを介して試験の実施から採点、合否判定までを行う「ネット試験」で受験できる。 |
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試験科目 | 商業簿記 |
合格基準 | 70%以上 |
受験料 | 2,160円(税込) |
(2)経理・財務スキル検定(FASS)、経理事務パスポート検定(PASS)[一般社団法人日本CFO協会認定]
経済産業省が開発した「経理・財務サービス・スキルスタンダード」に準拠する検定で、経理・財務スキル検定(FASS)、経理事務パスポート検定(PASS)ともに一般社団法人日本CFO協会が運営しています。
FASS検定の累計受験者は、2005年開始以来5万人を超え、経理・財務のスキルレベルを客観的かつ信頼性をもって測定する手段として広く普及しています。
経理・財務スキル検定(FASS)が幅広い経理・財務業務を対象とするのに対し、経理事務パスポート検定(PASS)は、事務スタッフに求められる経理知識に範囲を限定した認定資格で、学習から資格取得までを行えるe-ラーニングプログラムであることも特徴です。
また、1級から3級まで3段階のレベルに対応しています。
経理・財務スキル検定(FASS) | ||
経理の業務標準として定着した経済産業省「経理・財務サービス・スキルスタンダード」のうち、定型業務として標準化された経理・財務業務のスキルレベルについて資産・決算・税務・資金の4分野で評価する。 | ||
出題範囲
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資産分野 | 売掛債権管理、買掛債務管理、在庫管理、固定資産管理、ソフトウェア管理 |
決算分野 | 月次業績管理、単体決算業務、連結決算業務、外部開示業務 | |
税務分野 | 税効果計算業務、消費税申告業務、法人税申告業務、連結納税申告業務、税務調査対応 | |
資金分野 | 現金出納管理、手形管理、有価証券管理、債務保証管理、貸付金管理、借入金管理、社債管理、デリバティブ取引管理、外貨建取引管理、資金管理 | |
オプション科目 | 収益認識基準(2020年度下期まではオプションだが、2021年度上期以降はFASS内に内包される) | |
試験結果 | 合否や合格基準というものはなし。
総合点(800点満点)から5段階の評価し、分野毎の達成度合いを表示する。 オプション科目は、達成度合いから、3段階のレベルで評価を表示する。 |
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受験料 | 一般 10,000円(税抜) / 法人会員 8,000円(税抜) |
経理事務パスポート検定(PASS) 1級・2級・3級 | ||
経理の業務標準として定着した経済産業省「経理・財務サービススキルスタンダード」に準拠し、事務スタッフに求められる経理知識に範囲を限定した実践的な検定で、学習と受験がeラーニングで行える。
受験のみも対応している。 |
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学習内容 | 1級 | 日常的な売買取引における経理手続きや月次決算全般、更に連結決算の概要など経理処理の基礎があることを示す。 |
2級 | 身近な販売取引における決済を含む経理手続きや外貨取引処理の基礎があることを示す。 | |
3級 | 事務処理に必要な経理の心構えや役割、日常的な経費処理業務に関する基礎知識があることを示す。 | |
合格基準 | 70%以上 | |
e-ラーニング受講料(受験料含む) | 1級 | 8,000円(税抜) |
2級 | 6,000円(税抜) | |
3級 | 1,500円(税抜) | |
受験料
(認定試験のみ) |
1級 | 4,500円(税抜) |
2級 | 3,000円(税抜) | |
3級 | 1,000円(税抜) |
2.ニッチな対応力で差をつける!おすすめ資格
(1)電子会計実務検定[日本商工会議所主催]
簿記で有名な日本商工会議所主催の検定です。電子申告・電子納税システム「e-Tax」(イータックス )や、帳簿などの電子保存についての法律「e-文書法」や「電子帳簿保存法」といったインターネットを活用した会計の実務知識やスキルを得ることができます。
ニッチではありますが、簿記とは別に検定が設けられていることからも、今後もパソコン会計ソフトなどを活用した「電子会計」と呼ばれる分野への実務対応は増えていくと予想されます。
簿記の理論や知識が必要なだけではなく、実際の会計ソフトの操作に慣れておく必要があります。インターネットを介して試験の実施から採点、合否判定までを行う、「ネット試験」で施行する点も特徴です。
電子会計実務検定 1級 | |
電子会計情報を活用して経営に携わる者、経営の助言をできるレベルであることを示す。 | |
出題科目 | 電子会計情報(各種電子帳簿書類やキャッシュ・フロー計算書、外部ファイナンス情報などに基づく、利益計画、資金計画、予算管理、部門管理、プロジェクト管理など)の活用 |
会計ソフトの導入・運用(会計ソフトの導入・運用の指導・支援、インターネットバンキングの仕組みなど) | |
会計データの電子保存と公開(電子帳簿保存法の理解、財務情報のwebサイトへの公開など) | |
電子申告・納税システム (電子申告、電子納税、電子申請・届出など)の理解 | |
企業会計以外の会計システム(NPOや公益法人等の会計の仕組み)の理解 | |
合格基準 | 70%以上 |
受験料 | 10,480円(10%税込) |
電子会計実務検定 2級 | |
企業や公益法人などの会計実務および財務責任者を務められるレベルであることを示す。
日商簿記検定2級と同程度の難易度。 |
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出題範囲 | 関連業務等からの業務データ(購買、製造、販売、在庫管理、給与計算等の関連業務から生成される各種業務データの活用、支店別・営業所別会計等からの会計データ)などの活用 |
電子会計情報の活用(決算書・資金繰り表等による損益状況や資金状況の捉え方など) | |
電子会計データの保管・管理 | |
合格基準 | 70%以上 |
受験料 | 7,330円(10%税込) |
電子会計実務検定 3級 | |
会計ソフトを利用したデータ入力などの操作、電子帳簿の見方や活用ができるレベルであることを示す。 | |
出題範囲 | 電子会計データの流れ(各種経理書類の見方や取り扱い、会計データの入力、各種電子帳簿書類の出力、電子会計データのバックアップとバックアップデータの復元など) |
電子会計情報の活用(電子帳簿書類の見方など) | |
合格基準 | 70%以上 |
受験料 | 4,200円(10%税込) |
(2)給与計算検定[一般財団法人職業技能振興会認定]
給与計算実務能力検定は、内閣府が認可する一般財団法人職業技能振興会が認定する検定資格です。企業活動に欠かせない給与計算業務についての知識・遂行能力を示します。また、この資格は2年毎の更新手続きがあります。
給与計算に求められる社会保険、労働法、所得税・住民税に関わる税法などの知識が得られるなど、ニッチではありますが、極めて実務的な資格と言えるでしょう。
1級はマネージャーなどといった部門の経理管理層、2級は実務担当に求められます。
給与計算検定 1級 | |
労働法令や税務についても正しく理解し、複雑な制度やイレギュラーな給与体系にも対応可能、また年末調整も含め、年間を通じて給与計算に関するすべての業務に精通したことを示す。
社会保険や税務等付随する手続きを行うことができ、給与計算業務のリーダーとして管理ができる。 |
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出題範囲 | 給与計算業務に必要な基礎知識、給与計算実務に必要な法的知識(労働基準法等)、演習問題(実際の給与計算) |
合格基準 | 70%以上(かつ計算問題は6割以上) |
受験料 | 受験料:10,000円(税込) |
給与計算検定 2級 | |
実務上の基礎となる労務コンプライアンスについて正しく理解し、基本的な給与計算を行い、明細を作成できることを示す。
一般職員として、年末調整以外の通常の毎月の給与計算業務と賞与の計算ができる。 |
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出題科目 | 給与計算業務に必要な基礎知識、給与計算実務に必要な法的知識(労働基準法等)、演習問題(実際の給与計算) |
合格基準 | 70%以上 |
受験料 | 8,000円(税込) |
3.グローバルな経理を目指す方におすすめの資格
(1)IFRS検定(国際会計基準検定)[ICAEW主催]
ロンドンに本拠地を置く最大規模の会計士団体ICAEW((The Institute of Chartered Accounting in England and Wales:イングランド・ウェールズ勅許会計士協会)が主催する、IFRS(International Financial Reporting Standards、IFRSs:国際会計基準、アイファース、イファース)の理解を深め、知識を習得するための検定です。
グローバルな経理業務には欠かせません。
2009年12月より日本語試験に対応しています。
IFRS検定(国際会計基準検定) | |||||
国際会計基準の知識があることを示す。 | |||||
出題範囲 | 財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク | ||||
財務諸表の表示 | 棚卸資産 | ||||
キャッシュフロー計算書 | |||||
会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬 | |||||
後発事象 | 工事契約 | 法人所得税 | |||
有形固定資産 | リース | 収益 | |||
従業員給付 | |||||
政府補助金の会計処理及び政府援助の開示 | |||||
外国為替レート変動の影響 | 借入費用 | ||||
関連当事者についての開示 | |||||
退職給付制度の会計及び報告 | |||||
個別財務諸表 | |||||
関連会社及び共同支配企業に対する投資 | |||||
超インフレ経済下における財務報告 | |||||
金融商品:表示 | 1株当たり利益 | 期中財務報告 | |||
資産の減損 | |||||
引当金、偶発負債及び偶発資産 | |||||
無形資産 | 投資不動産 | 農業 | |||
国際財務報告基準の初度適用 | |||||
株式に基づく報酬 | 企業結合 | 保険契約 | |||
売却目的で保有する非流動資産及び廃止事業 | |||||
鉱物資源の探査及び評価 | 金融商品:開示 | ||||
事業セグメント | 金融商品 | ||||
連結財務諸表 | 共同支配の取決め | ||||
他の企業への関与の開示 | 公正価値測定 | ||||
合格基準 | 60%以上 | ||||
受験料 | 46,440円(税込) |
(2)BATIC(国際会計検定)®[東京商工会議所主催]
BATIC(国際会計検定)®は、東京商工会議所が主催の、ビジネス英語スキルと国際会計スキルを同時に測る検定試験です。IFRSと並ぶ国際的な米国会計基準を「英文簿記」「国際会計理論」の2分野から問うものです。外資系企業だったり、海外に事業展開していたりするグローバル企業で欠かせない知識となります。
試験には合格基準や合否というものはなく、4段階のスコアで、国際会計基準の理解度を評価するものです。試験内容が英語であることも特徴です。
海外での活動を視野に入れている場合、国内の検定になるため、後述のU.S.CPAの方がよいでしょう。しかし、U.S.CPAの受験料が高額である事情から、国内で活動する場合、BATIC(国際会計検定)®の方が費用対効果の高い場面が考えられます。
BATIC(国際会計検定)® | ||
英語による会計取引と国際会計理論の理解度を評価する。 | ||
出題範囲 | Subject1
英文簿記 |
会計と簿記の基本概念、取引と仕訳、仕訳帳と元帳、試算表、決算修正仕訳、棚卸資産と売上原価の会計処理、精算表と締切仕訳、財務諸表、基本的な前提とGAAP、財務諸表分析、内部統制、現金管理 |
Subject2
国際会計理論 |
IFRSとその概念フレームワーク、財務諸表、公正価値測定、現金と売上債権、棚卸資産、有形固定資産、無形資産、有形固定資産および無形資産の減損、リース、金融資産、金融負債、引当金、偶発負債及び偶発資産、資本、収益認識、従業員給付、法人所得税、キャッシュ・フロー計算書、企業結合と連結、為替レート変動の影響、会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬、1株当たり利益、期中財務報告、事業セグメント
※ 国際会計理論は習得に応じて任意の受験とする |
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スコア
スコアと称号で4段階評価 |
880〜1,000点 | コントローラーレベル(日商簿記検定1級と同程度) |
700〜879点 | アカウンティングマネジャーレベル(日商簿記検定2級と同程度) | |
320〜699点 | アカウンタントレベル(日商簿記検定3級と同程度) | |
200〜319点 | ブックキーパーレベル | |
受験料 | 10,340円(10%税込)
※ただし、Subject1のみは5,500円(10%税込)、Subject2のみは8,140円(10%税込) |
※コントローラーレベル・アカウンティングマネジャーレベルは認定期間(3年)があり、更新が必要となる
4.経理のプロフェッショナルを目指す方におすすめの資格
(1)税理士(国家資格)
税金の申告や納付、財務書類の作成、各種会計帳簿の記帳、税務相談など税務に関する専門業務を行う、国税庁主催の国家資格です。受験資格として学識、資格、職歴のいずれかが求められます。
税理士 | |||
税に関する法律のスペシャリストであることを示す。 | |||
試験科目 | 簿記論 | 財務諸表論 | |
税法に属する
3科目 |
*次の2科目から1科目を選択
所得税法、法人税法 |
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*次の7科目から2科目を選択
相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税 ※一度に5科目を受験しなくとも1科目ずつ受験できる |
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合格基準 | 各科目で60%以上 | ||
受験手数料
(収入印紙) |
1科目 | 4,000円 | |
2科目 | 5,500円 | ||
3科目 | 7,000円 | ||
4科目 | 8,500円 | ||
5科目 | 10,000円 |
(2)公認会計士(国家資格)
金融庁の公認会計士・監査審査会が主催の、会計に関する国家資格です。会計監査(財務諸表監査)が行えるほか、経理業務やコンサルティング業務、税務業務に関する極めて専門的な知識があることを示すものです。
監査法人に勤務されている方、社内監査役の方、公認会計士として独立したい方におすすめします。公認会計士として登録して一定の要件を満たすと税理士業務も行うことができます。
公認会計士 | ||
会計のスペシャリストであることを示す。 | ||
試験科目 | 短答式試験
(4科目) |
財務会計論、管理会計論、監査論、企業法 |
論述式試験
(5科目) |
会計学、監査論、企業法、租税法、
選択科目(経営学・経済学・民法・統計学の内のいずれか1つ) |
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合格基準 | 短答式試験 | 70%以上(かつ1科目あたり40%以上) |
論述式試験 | 52%以上(かつ、1科目あたり40%以上) | |
受験手数料(収入印紙) | 19,500円 |
(3)U.S.CPA(民間資格 米国公認会計士)
U.S.CPA(U.S. Certified Public Accountant, 米国公認会計士)は、米国各州が認定する公認会計士資格です。試験合格後、登録することで公認会計士を名乗ることができます。
アメリカはもちろん、協定参加国で会計士業務ができるようになるため、国際的な活躍をしたい方、外資企業やグローバル企業で働いている方など、キャリアアップに最適です。試験は全て英語です。
U.S.CPA | ||
IFRS(国際会計基準)とUSGAAP(米国会計基準)を理解した上で、会計業務が行えることを示す。 | ||
試験科目
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財務会計 | 企業会計(※IFRSを含む)、政府と非営利組織会計 |
企業経営環境・経営概念 | コーポレートガバナンス、経済学概論、IT概論、管理会計等 | |
法規 | 連邦税法(税務業務における会計士の責任が15%を占める)、ビジネス法 | |
監査と手続き | 監査と証明業務、会計士としての責任 | |
合格基準 | 各科目75点以上(18ヶ月以内に4科目全てに合格する) | |
受験料 | 各科目ごとに設定され、$200前後(出願する州によっても異なる)
※受験費用とは別に出願料や学歴審査費用など、ケースバイケースで費用がかかる。 なお、日本国内で受験する場合、受験費用と別に規定の追加料金がかかる。 |
まとめ
世間では「検定や資格は第三者的のお墨付きで、最終的には経験がものをいう」という考え方があるかと思います。確かにビジネスパーソンとして実務経験は何より重要視されるものですが、検定や資格を通して、知識に裏打ちされたスマートな対応ができるようになります。知識と経験を得ることで、初めて活用できる「知恵」となるのです。
今回ご紹介した検定や資格は代表的なもので、今後、世界の変化にあわせて様々な検定や資格が出てくることでしょう。資格を取得するために試験をやみくもに受ければいいというものではありません。主催や認定する組織が信頼できるものか、受験者数や合格者数実績が多く、広く普及しているものかなどを確認し、キャリアやスキルアップにつながる検定や資格であるかを見定めましょう。
AIやIoTといった先端技術など、一見、経理に関係なさそうに見えるものも、世界を大きく変えます。必要に応じて、学ぶ必要が出てくることでしょう。
今後、どうなるかを見定める目と、知識と経験からなる知恵。それらをもって、未来を切り開きましょう。