小規模の会社等の役員が退職した場合、生活の安定や事業の再建を図るための資金をあらかじめ準備しておく共済制度に、「小規模企業共済制度」があります。
この制度は、いわば“経営者の退職金制度”。
国が全額出資している独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。
税制上のメリットがあるほか、一定の資格者は、納付した掛金合計額の範囲内で、事業資金等の貸付が受けられます。
この制度の加入条件やメリットを詳しくみていきましょう。
「経営者の退職金制度」は掛金全額が控除できる
従業員20人以下の会社なら加入できる
加入できるのは、常時使用する従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の個人事業主及び会社の役員です。
掛金は月額1000円~7万円までの範囲内(500円単位)で自由に選べ(増額・減額もできます)、半年払いや年払いもできます。
掛金全額を所得控除できる掛金は、全額が所得金額から控除できます。
また、課税される所得金額は、すでに所得控除を引いたあとの課税所得金額となります。
つまり、小規模企業共済掛金控除以外の所得控除がすでに引かれたあとの金額なので、課税所得金額1000万円の人がいて、掛金月額7万円を新たに掛けた場合、84万円を引いた、916万円が課税所得金額となります。
所得税額は84万×33%=27万7200円、住民税額は84万×10%=8万4000円となりますので、合計36万1200円の節税となります。次ページの表は所得と掛金ごとの節税額を示したものです(図表②)。
共済金は4つの受け取り方がある共済金等の受け取り方法は、4つに分類されます(図参照)。
共済金Aまたは共済金Bは、「一括受取り」「分割受取り」「一括受取りと分割受取りの併用」のいずれかを選択できます。
なお、共済金の分割受け取りを選択できるのは、共済金の支払額が300万円以上で、共済事由が生じた日に満60歳以上の方でなければなりません。
受け取り方で税金の取扱いが変わる
受け取った共済金等の税法上の取扱いは次のとおりです。
◦一括受け取りの共済金→退職所得扱い
◦分割受け取りの共済金→公的年金等の雑所得扱い
◦死亡による共済金→みなし相続財産(死亡時退職金)として相続税の課税対象
◦準共済金の受け取り→退職所得扱い
◦任意解約による解約手当金で65歳以上の者が受け取るもの→退職所得扱い
◦任意解約による解約手当金で65歳未満の者が受け取るもの→一時所得扱い
◦任意解約以外の受け取り解約手当金→一時所得扱い
事業資金の貸付制度も利用できる
加入者は、納付した掛金合計額の範囲内で、次のような貸付けが受けられます。
◦一般貸付け
◦傷病災害時貸付け
◦創業転業時貸付け
◦新規事業展開等貸付け
◦福祉対応貸付け
◦緊急経営安定貸付け
小規模企業共済制度には、ほかの金融商品等では見られないメリットがあります。
非常に有利な制度ですので、まだ加入していない方は、ぜひ加入することをオススメします。
最新税制に対応!申告間違いを防ぐ方法
土地の固定資産税・都市計画税の制度を活用する
土地や建物を所有すると、「固定資産税」がかかります。
固定資産税は固定資産税課税台帳に登録された評価額をもとに負担調整率などを適用して算定された課税標準額に一定の税率を掛けて算出します。
固定資産税の税率が1.4%、都市計画税の税率が0.3%。
通常はこの2つの税金をセットにして「固定資産税」と総称します。
この固定資産税ですが、住宅用地については税負担を軽減する特例措置があります。
それが「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」の2つです。
固定資産税については小規模住宅用地は住宅一戸に200㎡以下の住宅用地で、課税標準額が固定資産税評価額の6分の1になります。
一般住宅用地は200㎡を超える部分で、固定資産税評価額の3分の1となります。
都市計画税については、200㎡以下が3分の1、200㎡超は3分の2の評価になります。
さらに新築住宅で3階建以上の耐火構造・準耐火構造の建物は、新築後5年間は固定資産税が2分の1に、それ以外の新築物件も新築後3年間は同じく固定資産税が2分の1で済みます。
耐震性や省エネルギー性などを備えた「認定長期優良住宅」は新築から5年間、3階建以上の耐火・準耐火建築物は7年間、固定資産税が2分の1になります。
住宅用地といっても自宅である必要はありません。
それゆえ更地には賃貸住宅を建てたほうが、固定資産税はグッと下がります。
登録免許税の軽減措置の適用期限延長
土地の登記に関しては「登録免許税」という税金があります。
不動産の売買や相続などで所有権が移るなどした場合、法務局で手続きをします。
この登録免許税の軽減が平成30年度の税制改正で延長されることになりました(図参照)。
【土地の登記】
2019年3月31日までの登記申請
【住宅用家屋の登記】
2020年3月31日までの登記申請
登記には「保存登記」「移転登記」「抵当権設定登記」などの種類があり、その一部について軽減されます。
これらの軽減はあくまで特例措置です。そのため期限が近づくと再び延長される可能性もありますので、詳しくは専門家にお尋ねください。