起業する人はたいてい、営業力もしくは技術力に自信があって会社を興します。しかし、経理が得意で起業する人はまずいません。なので、起業してわずらわしく感じるのは経理業務です。
会社を経営する上で、日々のお金の入出金をきちんと記録し、管理していくことは重要です。しかし、なかなか大変な作業でもあります。
本来のビジネスに集中できるようにするために、どのように帳簿管理を行っていったらよいか、正確かつ効率的にできる方法をご案内します。
1.会計事務所の活用で本業に専念できる
伝票を書いたり帳簿をつけることは、直接売上につながりません。特に起業したてならば本来のビジネスに時間を割いて情熱を注ぎ込みたいところ。得意ではない経理に時間をとられるのは苦痛かもしれません。机上で山積みになっている領収書や伝票を見るだけで、ため息をついてしまうでしょう。
少しでも伝票整理を怠けてしまうと、あっという間にたまってしまい、処理しきれなくなってしまいます。整理せずに時間が経過してしまうと、記憶が薄れて正確な帳簿を作成できなくなります。
少人数の零細中小企業の場合、一人の社員が複数の業務を兼任しているケースが多いです。どうしても領収書や伝票の整理は後回しになりがち。ぎりぎりで慌てて帳簿を作成するとミスが多くなり、ダブルチェックや再入力等で残業が増えるという悪循環が発生します。
そんな時に活用したいのが、会計事務所。会社で日々発生する領収書や伝票等を記帳する業務を代行してくれます。このサービスを「記帳代行」といいます。
この「記帳代行」では、どんな流れで業務が進むのか見てみましょう。
- 領収書や預金通帳のコピー等を会計事務所に送付
- 会計事務所で預かった資料をもとに会計ソフトなどに記帳、集計
- 貸借対照表、損益計算書、資産表等を作成し、領収書を整理
- 会計事務所が作成した帳簿類が納品
- 内容を確認
これで一連の業務が完了。会社側の手間はほとんどかかりません。
2.会計事務所に「記帳代行」を頼む3つのメリット
下記のグラフをご覧ください。
※資料:中小企業庁「平成22年度中小企業の会計に関する実態調査事業 集計・分析結果」
こちらのグラフからわかるように、中小企業の7割近くは経理担当者が一人以下。半数近くが経営者自ら、もしくは経営者の家族が記帳を担当しています。
経理担当者の業務は「納品書・請求書・領収書等の作成・保管」、「伝票の起票」、「記帳と勘定元帳の作成」と多岐に渡ります。こうした業務を本業と併行していくには、相当な労力がかかることでしょう。
そこで検討したいのが「記帳代行」です。このサービスを活用することで、経営者にとって下記のメリットがあります。
- 会計ソフトの入力から解放される
- 帳簿の整理、ファイリングから解放される
- 決算申告が近づいても焦らなくていい
さらに見逃せないのは、経理の従業員を雇用する必要がないことです。起業したてで少人数で会社を経営しているときは、従業員を1人雇うだけでも大きな負担になります。人件費はもちろん、採用・教育・定着についても多大なコストがかかります。
もちろん記帳代行を頼むより、自社で会計ソフトを使って帳簿を作成する方が、会計事務所に支払う報酬を抑えられます。しかし、従業員を1人雇うよりも会計事務所に代行してもらうほうが低コストです。
経理の従業員が急に辞めてしまい、後任者が入社するまで担当者が空席になるリスクを考えると、起業したてのときは会計事務所に経理や記帳を代行してもらったほうが得策な場合があります。
会計事務所が記帳から税務申告まで一貫して進めており、税務上の処理は正しく、節税対策も万全。毎年行われる税制改正にもリアルタイムで対応しているので、税務の知識がなくても安心できます。
3.まとめ
会社側としては領収書や伝票を渡すだけで、あとは会計事務所が帳簿を作成してくれるので、経営者は経理業務から解放されます。
会社がある程度大きくなると経理社員を雇い、会計ソフトを使って自社で帳簿を作成した方がいいですが、会社が少人数の状態ならば、会計事務所に頼んだ方が楽な場合もあります。
規模に応じて代行サービスを検討し、本業に当てる時間を確保することも検討してみてはいかがでしょう。