借入申込書に収入印紙を貼るパターンと印紙なしのパターンとは

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
会社設立支援や資金調達支援など、これから起業を検討している方やすでに起業している経営者の皆さんを様々な角度からサポートしています。

借入申込書は、あなたが借入をする際に賃金業者や金融機関に対して提出する書類です。結論から言えば、基本的に借入申込書には収入印紙は貼る必要はありません。しかし、借入申込書の審査が通過した場合は対象です。

今回の記事では、借入申込書に収入印紙を貼る場合はどのような場合なのか、具体的な事例を交えながら考えていきます。

1.印紙税はなぜ必要?

①確実に利益を得ることが分かっている文書について課される

収入印紙はどのような時に貼るものなのか、改めて確認してみましょう。日ごろ何気なく収入印紙を貼っている方も多いと思いますが、収入印紙は「印紙税法」(昭和42年~)に基づいて徴収されている「印紙税」という名の国税です。

印紙税は、確実に個人や法人が利益を得ると分かっている文書に対して課税されます。契約書や約束手形などの課税される文書のことを、課税文書と言います。

課税文書にどのようなものがあるかと言うと、例えば、不動産売買契約書があります。以下の図をご覧ください。以下の図で、買主Aさんが不動産会社Bを通して売主Cさんからマンションを購入する不動産売買契約書を結ぶとします。

売主Cさんと不動産会社BはAさんから利益を得て、不動産の買主のAさんも不動産という資産を得ます。そのため、不動産売買契約書には収入印紙を貼る必要があります。

私たちは生活する中で消費税や住民税などありとあらゆるシーンで課税されていますが、「所得」について課税されることが一番多いですよね。印紙税についても「所得」という概念で課税されています。

②印紙税法で「消費貸借に関する契約書」が課税対象になっている

印紙税法でいま課税が定められている文書は全20種類あります。全20種類の文書はそれぞれ第一号文書、第二号文書、というように呼ばれていて、現在(2019年8月)の法律では、【一、二、五、七、十三、十四、十五】号に該当すると収入印紙の対象となります。

第一号:不動産、消費賃貸、運送などの契約書第二号:請負に関する契約書
第三号:約束手形、為替手形第四号:株券、出資証券、社債券、投資信託等の受益証券
第五号・合併契約書又は吸収分割契約書等第六号:定款
第七号:継続取引の基本契約書第八号:預貯金証書
第九号:貨物引換証第十号:保険証券
第十一号:信用状第十二号:信託行為に関する契約書
第十三号:債務保証の契約書第十四号:金銭又は有価証券の寄託契約書
第十五号:債権譲渡又は債務引受の契約書第十六号:配当金領収書又は配当金振込通知書
第十七号:金銭又は有価証券の受取書第十八号:預金/貯金通帳
第十九号:消費賃貸通帳、請負通帳第二十号:判取帳

あなたが課税文書でいくらの収入印紙を貼ればいいのか知りたい場合は、課税される文書が何号に該当するのかと文書内で取引される金額を調べれば、印紙税額が分かります。

今回の記事のテーマは借入申込書ですので、第一号文書をもっと詳しく見ていきましょう

【収入印紙を貼るべき文書(全20号第一号文書のみ)】

・不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業権の譲渡に関する契約書(不動産売買契約書、不動産交換契約書など)

・地上権または土地の貸借権の設定または譲渡に関する契約書(土地貸借契約書など)

・消費貸借に関する契約書(金銭借用証書、金銭消費貸借契約書など)

・運送に関する契約書(運送契約書、貨物運送引き受け書など)

【参照】国税庁印紙税額一覧表(令和元年6月現在)

この中で、下から2番目に「消費貸借に関する契約書」という文言があるのがわかります。

消費貸借に関する契約書とは、つまりお金を借りる契約のことを指しています。一見すると借入申込書のことを指していると思われますが、「消費貸借に関する契約書」は実は借入申込書ではなく、借入申込書を提出して審査に通った場合に記入する「借入契約書」のことを指しています。

なぜかと言うと、「借入申込書」を提出する時点ではまだ借入ができるか確実ではなく、審査を通過したあとに借入契約をする場合は確実に利益を得ることが分かるからです。同じ借入という手続きをする場合でも、審査前と審査後で課税対象となるかそうでないかの区分があるわけですね。

ちなみに、課税文書の中の第十七号の「金銭又は有価証券の受取書」とは領収書のことです。領収書には収入印紙を貼る必要はありませんが、課税文書の扱いとなっています。

2.借入申込書に収入印紙を貼るパターンとは

今(2019年8月)の法律では、借入申込書に収入印紙を貼る必要はありません。しかし、前述した通り、借入申込書が審査に通過した場合は以下のように収入印紙が必要になる場合があります。

①カードローン審査通過後の本契約では200円の収入印紙が必要

カードローンは一般的な融資とは異なり、借入申込時にいくら借りるかがはっきりしないタイプの賃金契約です。借入申込書やWebの申込画面で借入希望額を記入しますが、実際にお金を借りる時にはあなたはATMで好きな金額を引き出すことが可能です。

このようなタイプの借入の契約を、国税庁では「コミットメントライン契約」の【相対型】と呼んでいます。(他にはシンジケート型があり)「コミットメントライン契約」の【相対型】の契約について、国税庁は公式ページの中で以下のように表現しています。

国税庁|コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い(一部抜粋)

「契約で融資極度額として定められる金額は、実際に行われる貸付けの金額そのものではないことから、この契約書は契約金額の記載のないものとなります。」

「なお、この契約書は、借入人と貸付人との間で継続的に行われるコミットメントライン契約に基づく貸付けに関してのみ適用される~(省略)~各種の銀行取引から生じる一切の債務について適用される包括的な履行方法等を定めているものではありません。」

「以上から、文例1(PDFファイル/288KB)の相対型の基本契約書は、契約金額の記載のない第1号の3文書(消費貸借に関する契約書)として1通あたり200円の印紙の貼付が必要となります。」

長い引用になってしまいましたが、カードローンのような借入契約の場合は200円の収入印紙を貼る決まりになっているのですね。ちなみに200円という額ですが、カードローンの場合は契約金額に記載がないため、金銭消費貸借契約での印紙税額の中の「契約金額に記載がないもの」の200円(軽減税率)が適用になっています。

実際にはこの200円の収入印紙はカードローン会社などの賃金業者が負担していますので、契約時にあなたが収入印紙を購入して貼る必要は現状ではありません。

②住宅ローンやカーローンの審査がおりて本契約を結ぶ際に必要

住宅ローンやカーローンの借入申込書を提出し、本契約を結ぶ際には以下のような税額で収入印紙を貼る必要があります。

【金銭消費貸借契約での印紙税額(抜粋)】

1万円未満非課税
10万円以下200円
10万円超~50万円以下400円
50万円超~100万円以下1千円
100万円超~500万円以下2千円
500万円超~1,000万円以下1万円
1,000万円超~5,000万円以下2万円
契約金額に記載がないもの200

前述したように、不動産契約を結ぶ場合も同様に金額に応じた収入印紙を貼る必要があります。買主と売主の双方で同じ契約書をそれぞれ持ち、それぞれに収入印紙を貼る場合は各文書が法的な効力を持ちます。「単に写しとしての機能を持てばいい」とどちらか片方が収入印紙代をケチって貼らない場合は、その不動産契約書の法的効力がなくなることはありませんが追加徴税の可能性があるため注意が必要です。

③個人間で交わす債務承認弁済契約書に印紙は必要なのか

債務承認弁済契約書とはつまり個人間の借入申込書のようなものです。フォーマットを正しく記入すれば、法的に効力のあるものになります。印紙が貼ってないからといって法的効力が消えるものではありませんが、印紙が貼られていないことを税務署などで指摘された場合は、2倍の追徴課税の可能性があります。

3.借入申込書に印紙なしでOKのパターン

①連帯保証人の署名と押印がある場合

通常、借入申込書自体は印紙税法では第一号文書として取り扱われています。しかし、借入申込書に連帯保証人の署名と押印がある場合、その文書は「債務の補償に関する契約書」は印紙税法の第13号文書として取り扱われます。つまり、一つの文書の中で第一号文書と第13号文書という2つの異なる内容を含むケースです。

この場合、例外的に連帯保証人が債務を補償する部分については課税事項としては取り扱わない決まりになっています。

引用:
主たる債務(消費貸借の元本、利息の返還債務)の契約書に併記された債務の保証契約だけは、例外的に課税事項として取り扱わないことになっています。
また、主たる債務の契約が課税事項に該当するか否かは問いません。

【参照】国税庁|主たる債務の契約書に併記した債務の保証に関する契約書

②ネット銀行などから電子契約で借入する場合

借入をWeb上で行う場合やFAXやメール添付で申込みをする場合、その契約は「電子契約」としてみなされます。電子契約の場合、収入印紙は省略できるという内容の通達が印紙税法基本通達の中で見受けられます。

国税庁の公式ページ(以下)を参照すると、電子メールで課税文書を送信した場合は課税文書の交付という行為には該当しないという見解が記載されています。

【参照】国税庁|(別紙)事前紹介の趣旨

そのため、電子契約で借入する場合には収入印紙は不要となっています。しかし、電子メールなどで送信された課税文書を別途印刷して持参するなどの行為を相手方にした場合は、印刷された課税文書に対して課税されます。

まとめ

借入申込書は収入印紙の対象となる課税文書の一つとして考えられがちですが、借入が確定する以前の申込書については収入印紙の対象ではありません。

また、連帯保証人がいる場合や電子契約の場合も同様です。

借入の審査を通過した場合は、本契約となりますので課税対象となります。課税文書の第何号にあたるかと文書内の金額から納める税額が決定します。

 

 

 

 

 

 

 

 

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