日本政策金融公庫から融資を受けるためには、必ず融資担当者との面談を受けることになります。
面談を無事成功させるためにも、しっかり事前準備をしていきましょう。きちんと準備をして臨めば、それだけ融資の審査に通る可能性が高まります。
今回の記事では、日本政策金融公庫の面談について知っておきたい7つのポイントをご紹介します。面談で聞かれる内容、面談時の必要書類、所要時間、服装、審査結果の通知までにかかる時間、無事審査に通った後の流れまで、順を追って解説していきますので、ひとつひとつチェックしていきましょう。
1.日本政策金融公庫への融資申し込み、自分でやる?それとも認定支援機関を頼る?
日本政策金融公庫は中小企業や個人事業主のサポートを目的とした、政府が100%出資する金融機関です。比較的低金利で融資を受けることができ、民間の金融機関がサポートしづらい創業前や創業して間もない方へも積極的に融資を行うのが特徴です。
日本政策金融公庫への融資申し込みには、ご自身で申し込む方法と、「認定支援機関」を経由して申し込む方法の2通りあります。
(1)事業準備に集中したい方には「認定支援機関」を頼るのがオススメ
「認定支援機関」とは、経営課題を抱える中小企業や小規模経営者の相談・支援を行う、国が認定した公的機関です。
税務・金融・財務などに関する専門知識を有し、創業支援、事業計画作成支援、マーケティングなど幅広い経営課題についてサポートしています。
認定支援機関を経由して日本政策金融公庫への融資申し込みを行う主なメリットは、
- 事業の課題に気づいたり、解決策を見つけたりするなど、経営改善のためのアドバイスを得られる
- 金利優遇や補助金・助成金の申請が可能になるなど、資金調達の幅が広がる
- 融資の専門家が長年蓄積してきた資金調達のノウハウの恩恵を受けられる
といった点です。
「事業準備に集中し、融資に関連する作業は専門家にお願いしたい」という方には認定支援機関のサポートを受けることをオススメします。
ただし、既にご自身で日本政策金融公庫へ融資の申し込みをしている場合、認定支援機関が面談に同席することが難しくなってしまいます。もし専門家に依頼したい場合は、融資に申し込むより前に認定支援機関に相談するようにご注意ください。
(2)自分で申し込むかどうかの判断はご自身の状況とかけられる時間・手間次第
一方、ご自身で日本政策金融公庫へ申し込む場合のメリットは、ズバリ「報酬や手数料といった認定支援機関への支払いが発生しない点」です。
しかし、日本政策金融公庫への申し込みには提出書類や添付書類の作成、面談などさまざまな準備が必要です。自力でやる分時間も手間もかかってしまいますから、時間的コストを含め、自分でやるか認定支援機関に相談するかはよく検討するようにしましょう。
今のところ「融資手続きは自分でやりたい!」という気持ちがある方は、下記の5つの特徴すべてに当てはまるかどうかを判断の目安としてください。
- 特徴1:自己資金が融資額の50%以上ある
- 特徴2:創業を計画している事業と同業の経験が6年以上ある
- 特徴3:信用情報に全く問題がない
- 特徴4:時間をかけて説得力のある書類作成が出来る
- 特徴5:借入金額や金利にこだわりがない
上記の特徴に1つでも当てはまらなかった方や、融資申し込みに少しでも不安のある方には、認定支援機関に相談することをオススメします。
当サイトを運営する株式会社SoLaboでも、国の認定支援機関として日本政策金融公庫からの融資をサポートしております。相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問合せください。
2.面談で聞かれる質問とは?
日本政策金融公庫の面談では、提出書類をもとに事業に関するさまざまな質問が聞かれます。
質問は、面談の際に提出する創業計画書の項目にそった内容になります。創業計画書は下記の通り大きく8つの項目に分かれているため、質問に対する回答も大まかに8つになります。
①創業の動機 |
②経営者の略歴 |
③取扱商品・サービス |
④取引先・取引関係等 |
⑤従業員 |
⑥お借入の状況 |
⑦必要な資金と調達方法 |
⑧事業の見通し(月平均) |
面談で聞かれる質問について、詳しくは下記記事で解説していますので、ぜひご一読ください。
日本政策金融公庫の面談担当者は、あなたが「貸したお金を返すことができる人かどうか」を一番に見ています。
厳しい質問をされる場合もありますが、事業の粗探しをしているのではなく、あなたに「返済能力があるか」「融資をすることで事業が伸びる余地はあるか」を確認するために質問しています。感情的にならず、質問には真摯に、正直に答えましょう。
初めての創業もしくは事業をスタートして1年以内の方の場合、独立に向けてこつこつ技術を身につけてきたというストーリーを伝えられることが大切です。
面談担当者も融資を通じてあなたをサポートしたいという気持ちで面談していますので、熱意を持って創業への思いを伝えましょう。
一方、事業をはじめて既に1年以上経過している方が2度目以降の融資(追加融資)を受けたい場合、「1回目の融資の返済状況はどうか?」という点が見られています。創業して間もない方の融資とは状況が異なるので、主に実績面が重視されるのです。
追加融資を受ける場合の詳細は下記記事で解説していますので、2度目以降の融資を受けたいという方はこちらもチェックしてください。
追加融資とは?日本政策金融公庫の追加融資を利用するメリット・デメリット
なお、認定支援機関を通して融資を申し込みした場合、面談に同席してもらえるケースがあります。面談時に万が一、言葉に詰まってしまったりうまく説明ができなかったりしても、認定支援機関の担当者がフォローしてくれますので、心強いですね。
3.面談時の必要書類は?
日本政策金融公庫の面談では各種必要書類を持参する必要があります。
必要書類は、申請者が法人か個人かで異なります。
また、これから創業する方か、すでに事業をはじめているかでも異なりますので、ご自身の状況に合わせて必要書類を揃えましょう。
個人事業
| これから事業を始められる方/事業を始めて1年以内の方 |
既に事業を始めている方 |
法人事業
| これから事業を始められる方/事業を始めて1年以内の方 |
既に事業を始めている方 |
すべての申し込み者に共通する必要書類
- 直近6カ月分の記帳がある通帳(法人の場合、個人口座だけでなく法人口座の通帳も必要)
- 運転免許書(身分証明書)
- 支払い明細書(借入がある方)
- 不動産の賃貸借契約書(店舗/事務所あるいはご自宅)
- 固定資産税の領収書、固定資産税課税明細書、住宅ローンの返済予定表(※いずれも持ち家にお住まいの方のみ)
- 営業許可書・資格または免許を証明するもの
- 見積書・工事請負契約書
【法人の方のみ】
- 履歴事項全部証明書
これから事業を始められる方/事業を始めて1年以内の方の必要書類
【個人・法人で共通する書類】
- 創業計画書
【個人事業主の方の必要書類】
- 水道光熱費等の支払い状況のわかる書類
- 源泉徴収票又は確定申告書(2年分)
【法人の方の必要書類】
- 代表者様のご自宅の水道光熱費等の支払い状況がわかる書類
既に事業を始められている方の必要書類
【個人・法人で共通する書類】
- 企業概要書
- 各種税金の領収書
- 売上の根拠を示すことが出来る書類
【個人事業主の方の必要書類】
- 直近2年分の確定申告書・青色申告決算書もしくは収支内訳書(白色申告)
【法人の方の必要書類】
- 直近2年分の法人税確定申告書・決算書・勘定科目内訳明細書
その他
- 事業計画書 ※中小企業経営力強化資金を利用される方は必須
- 職務経歴書
場合によって、上記で記載した書類以外にも必要書類が増える場合があります。
揃えるべき書類は多岐にわたりますが、面談当日に忘れ物があると、面談担当者にだらしない印象を与えてしまいます。必要書類を忘れることがないよう、早めに書類準備を進めましょう。確認用のチェックリストを作成するのもオススメです。
必要書類については、下記記事でさらに詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。
個人事業主が日本政策金融公庫(公庫)から融資を受ける際の必要書類をチェックする
法人が日本政策金融公庫(公庫)から融資を受ける際の必要書類をチェックする
準備状況をアピールする『別紙資料』をできる限り作成しよう
先ほど挙げた通り、これから事業を始められる方/事業を始めて1年以内の方は「創業計画書」を提出します。
しかし、「創業計画書」は決まったフォーマットが用意されているため記入スペースに限りがあり、これだけでは面談担当者を納得させるだけの根拠に欠ける恐れがあります。
そこで、必要書類のほかに補足として別紙資料を作成することができます。あなたの事業に融資が必要なのであれば、事業内容をアピールできる別紙資料をできる限り作成しましょう。
業界や会社沿革などによって異なりますが、一般的には下記の書類を作成することが多いです。
【融資面談時に有効な添付書類の例】
- 申請者(代表者)のプロフィール(経歴)
- 創業動機
- 顧客ターゲット層の分析表
- 店舗(施設)立地の説明書類
- 店舗(施設)前の通行量調査書類
- (飲食店の場合)提供するメニューの詳細や競合他社分析表
- 損益計算書
- 宣伝計画書
別紙資料の作成ノウハウについては、下記記事で詳しく説明しています。事業内容をしっかりアピールするためにも、必要書類と合わせてチェックするようにしましょう。
日本政策金融公庫から少しでも多く融資してもらうための別紙資料作成ノウハウ
4.面談時間はどのくらい?
面談担当者によって異なりますが、面談の所要時間は30分から1時間半程度です。
認定支援機関に依頼している場合、日本政策金融公庫へは事前に大半の資料を送っているためスムーズに面談が進むことがほとんどです。
5.面談のときの服装は?スーツで行かないとNG?
面談の服装に決まりはありません。普段仕事をしているときの服装を選ぶ方もいらっしゃいますので、必ずしもスーツを着用しなければならないわけではありません。
重要なのは、社会人として違和感のない服装を選ぶこと。
時間を取っていただく面談担当者に失礼がないよう、身だしなみを整えて清潔感ある外見で臨みましょう。
6.面談後、審査結果が出るまでどのくらいかかる?連絡はどんな方法で来る?
初めて日本政策金融公庫から融資を受ける場合と、過去に日本政策金融公庫から融資を受けたことがある場合では、面談から審査結果が出るまでの期間も異なってきます。
以下では、それぞれの場合に分けて解説していきます。
初めて日本政策金融公庫から融資を受ける場合(創業融資)
面談から審査結果が出るまでに平均で2週間程度かかります。場合によっては手続きがスムーズに進み1週間以内に審査結果が出る場合もあります。
過去に日本政策金融公庫から融資を受けたことがある場合(追加融資)
過去に日本政策金融公庫から融資を受けた実績のある方の場合、平均で1週間程度かかります。
事業の業績が良ければ1週間以内に結論が出ることもありますが、業績が悪い場合、2週間以上かかることもあります。
審査結果は郵送で届く
日本政策金融公庫の場合、審査結果は郵送で送られてきます。審査に落ちてしまった場合にもその旨を通知する内容が届きます。
審査期間に関しては、当サイトの下記記事でより詳しく説明しているので、面談から審査までの時間について知りたい方はこちらもチェックしてみてください。
7.審査に通った後の流れは?
晴れて審査に通過し、融資実行の通知が届いた後は、同封されている書類に必要事項を記入の上、契約に必要な下記書類と合わせて日本政策金融公庫へ返送します。
- 借用証書
- 収入印紙
- 印鑑証明書(法人もしくは個人)
- 預金口座振替利用届
- 送金先口座の預金通帳もしくはコピー
- 包括同意書
- 団体信用生命保険の申し込み用紙
- その他書類
返送した書類が日本政策金融公庫に到着してから3営業日以内に資金が入金されます。
上記の他、もし日本政策金融公庫から追加の指示があれば、都度従うようにしてください。
なお、書類の送付にあたっては、送付状も合わせて同封するのがビジネスマナー上適切です。送付状の作成に不安がある方は、下記記事で具体的な作成方法を確認してみてください。
まとめ
日本政策金融公庫の面談について知っておきたい7つのポイントを解説してきました。これまで説明してきたポイントをおさえ、しっかりと事前準備をしておけば、面談時に多少緊張してしまっても心配には及びません。
「あなたに返済能力があること」「融資によって事業が伸びる余地があること」を面談担当者に理解してもらえるよう、準備を進めていきましょう。
もし1つでも日本政策金融公庫への申し込みに関して不安を感じる点がありましたら、認定支援機関へ相談することがオススメです。
当サイトを運営する株式会社SoLaboでも、国の認定支援機関として日本政策金融公庫からの融資をサポートしております。相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問合せください。