新会社法で中小企業に関係ある譲渡制限や株式不発行制度を紹介します

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
会社設立支援や資金調達支援など、これから起業を検討している方やすでに起業している経営者の皆さんを様々な角度からサポートしています。

新会社法は2006年から施行され10年以上が経過しています。新会社法で有名なのは、有限会社の廃止、株式会社を資本金1円から設立できるという2点です。

しかし、新会社法は実際979条もの膨大な量の法律で、他にも中小企業を営む皆さんが知るべき内容がたくさんあります。今回は、中小企業に関わる「新会社法」の規定をお話します。

1.新会社法で中小企業者が知っておきたい内容

新会社法は2006年5月からスタートしている日本の会社について規定している法律です。それまでは有限会社という会社形態がありましたが、新会社法により新たに有限会社を作ることはできなくなり、株式会社に一本化されました。

また、株式会社の資本金は最低資本金制度という制度があり最低1,000万円でした。しかし、新会社法により最低1円から設立できるようになりました。これ以外の内容で、特に中小企業者が知っておくとメリットの多い内容をピックアップしてご紹介しましょう。

①【株式譲渡制限会社】とは

(1)代表取締役は最低1名、任期は2~10年

取締役は株式会社での業務で意思決定を行う者を指します。よく世間で使われている言葉は代表取締役です。代表取締役とは取締役の代表ですので、一つの会社の業務の意思決定をする者の中で最も権力を有するものです。

では、社長と代表取締役とは同じなのでしょうか。社長とは俗称で、新会社法の中で規定されている言葉ではありません。新会社法の中で規定されているのはあくまで代表取締役です。

会社により、社長が代表取締役の会社もあれば、そうでない会社もあります。支店がたくさんある大きな会社の場合、取締役が1名でなく複数名いる場合も稀ではありません。新会社法の施行以前は、株式会社に取締役は最低3名必要でした。しかし、新会社法により株式譲渡制限会社であれば取締役は1名以上で認められることになりました。また、任期は2年から2~10年と伸ばしてよいことになりました。ワンマン企業の場合は、一人の代表取締役が長年代表を務めますので、この仕組みは有難いですよね。

ちなみに、株式譲渡制限会社にすれば、株式会社に必要な監査役を設置する義務はありません。取締役3名以上で必須の取締役会も任意です。新会社法では株式譲渡制限会社のことを「非公開会社」、株式の全部または一部が譲渡制限株式ではない会社のことを「公開会社」と呼びます。

(2)【株式譲渡制限】は一部でも全部でもOK

株式譲渡制限会社とは、株式の譲渡を制限している株式会社のことを指します。すべての株式の譲渡を制限する会社なら、株式に対してオープンではなく、有限会社のように家族経営の趣向が強い会社と言えます。

また、さまざまな種類の株式を発行する会社であれば、その一部だけに譲渡制限をかけることが新会社法施行以降は可能です。さまざまな種類の株式とは、例えば剰余金の配当を他の株式より優先する「優先株」、特定のトラブルなどがあった際のみ株式と現金を交換する「償還株式」、株主の請求で別の種類の株式に変換できる「転換株式」などがあります。

【参照】新会社法の概要|日本公証人連合会

②【商号】が使いやすくなった

新会社法以前では、一つの商号(商売上で使う名前)を同一の市町村内で他の業者が使っている場合は別の商号へと改めなければいけませんでした。新会社法により、同じ住所で同じ商号でなければ、同じ市町村内でも同じ商号を利用することが可能になっています。

例えば、「シェ・タナカ」というフランス料理屋を営む会社を立てたいのに、同じ市にもう一つ「シェ・タナカ」が既にあったとします。(なかなかないと思いますが)その場合でも、あなたは「シェ・タナカ」という商号を諦めず登記ができるのです。

③【株券不発行制度】により、株券は発行しなくても可

新会社法では、株式会社なのに株を発行しなくてもよい「株券不発行制度」を規定しています。これまでは、すべての株式会社が株券を発行しなくてはいけませんでしたが、「原則は株券を発行する必要はない」と規定が大きく変更になりました。株式会社なのに、実際は株式を発行している会社は少数だったのが理由の一つだとか。

これにより、株券発行でかかる経費(印刷代や保管費用など)が大きく削減できます。

④【自己株の取得】しやすくなった

株主のコントロールが難しくなったなどの理由で、自分の作った会社の株が欲しいなと思ったとしましょう。新会社法の施行以前は、定時株主総会で認定されないと自己株の取得はできませんでした。また、自己株の取得については会社分割や合併などの点で議論がされ世間的にも容易にできませんでした。

しかし、新会社法では事業全部の譲受けと合併・吸収の場合は自己株式の取得がしやすくなりました。これにより、株券を発行している場合でも事業の流れを事業主自らが決定しやすくなったと言えるでしょう。

⑤決算書が苦手な会社は【会計参与制度】を利用しよう

新会社法では取締役とは別に「会計参与」というポジションを設置できることになりました。この制度は日本独自のものです。会計参与は、取締役と一緒に決算書の作成や説明を行う公認会計士や税理士などの専門家グループです。

会計参与は、単に通帳記帳や帳簿作成・会計アドバイスを行う外注的な立場の人間ではなく、会社の役員でなくてはいけません。取締役会・株主総会への出席と報告義務を持ちます。

会計参与制度の利用により、会社は役員を雇うお金がかかります。一方で、決算書の信頼性がイマイチと言われていた企業は会計参与制度を利用することで、対外的な決算書の信頼性を高めることが期待できます。

3.一般的な会社設立費用とは

最後に、一般的な会社設立費用をお伝えしましょう。あなたが株式会社を設立としたら、手続きで支払う手数料は25万円です。25万円という数字ですが、これは1か所に支払うものではなく、公証役場と法務局の2か所と印鑑の購入と登録に支払う費用の合計を指します。

(その1)公証役場に支払う費用

会社設立をする際は、会社を作るという事実を社会的な機関に登録し、会社として認められなければいけません。会社を作る際にまず会社定款という会社の憲法とでも言うべき基本規約を作成しなければいけません。

作成した会社定款が問題ないものだと第三者にチェックしてもらう必要があるのですが、このチェックをする機関を「公証役場」と言います。公証役場には公証人という公務員がいて、この方が定款をチェックするための手数料(定款認証料)が5万円かかります。また、そこに貼る定款印紙代4万円かかります。

(その2)法務局でかかる費用

めでたく会社定款が認証された場合、次は法務局で会社登記をすることになります。法務局で管理している会社がたくさん載った台帳に、あなたがこれから設立しようとする会社についても登録をするのです。その登録費用は登録免許税と言い、15万円かかります。

(その3)印鑑の購入と登録費用

会社設立では①会社実印②会社銀行印③角印④住所印という4つの印鑑があると便利です。4つの印鑑でだいたい1万円以下の6~7千円で購入できると思います。

印鑑を購入したら、そのうち1本を法人として印鑑登録を行い、印鑑証明書の交付をします。(発行手数料450円)登録をする印鑑は、1辺が1~3cm以内の正方形に収まるものを選んでください。

印鑑の登録は、法務局で可能です。会社本店の所在地を管轄する登記所(出張所など)で行います。株式会社の場合は代表取締役または取締役、合名会社・合資会社の場合は代表者が登録できます。

4.小さな会社も設立しやすい時代にシフトしている

全体的に新会社法の内容を見ると、30年前の大会社至上主義と比較すると小さな会社が多様な個性を持ち活躍できる小規模事業者中心主義へとシフトしている印象を受けます。新会社法以前よりも、新会社法では一般の人が会社設立をしやすくなっていますよね。

小規模事業の良いところは手軽に始められる点。デメリットは、事業が発展した際や事業主が体調を崩した際の人手不足です。小規模事業者であれば、小規模事業者補助金も使えます。小規模事業者のもらえる補助金や節税については、当サイトの以下記事も是非ご覧ください。

小規模企業が対象! 産業医を導入した際にもらえる助成金

小規模個人事業主の方は必見! 特例で65万円までは経費OK?

余談ですが、社会的に話題になるトピック(LGBTやネットの炎上ニュースに対する炎上など)を見ると、人々が「やりたいことをしよう」「意見を言ってもいいじゃん」という個性を認める世論になってきている気がします。会社設立なんて別の世界の人がすること、ではありません。もしかすると、あなたも個性を生かしながら、会社設立で別のステージを歩むことになるかもしれませんよ。

まとめ

新会社法では、取締役は1名で任期は2~10年。株券を発行する必要はなく、株式譲渡制限会社にすれば株式に関わる業務を削減することができます。

会社設立をしたい方は、設立後に「知らなかった」と焦らないように、新会社法についての最低限の知識をネットの情報サイトや書籍から入れておきましょう。

 

 

 

 

 

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