合同会社は会社法が改正されてから新設された新しい会社形態で、年々、合同会社の新設立数が右肩上がりに伸びています。
当ページでは、合同会社の設立に必要な書類のリストとそれぞれの書類の作成手順を具体的にご説明します。
1.合同会社設立登記に必要な書類のリスト
合同会社設立登記に必要な書類は、株式会社設立の場合と比べてかなり少ないです。以下がそのリストです。
- 合同会社設立登記申請書※必須
- 登記用紙と同一の用紙※必須
- 定款2部(会社保存用と法務局提出用)※必須
- 代表社員の印鑑証明書※必須
- 払込証明書※必須
- 印鑑届書※必須
- 代表社員就任承諾書※場合によって必要
- 本店所在地及び資本金決定書※場合によって必要
※資本金の中に現物出資がある場合は、他に「財産引継書」と「資本金の額の計上に関する証明書」が必要となりますが、合同会社を設立する方のほとんどは現物出資がない場合ですし、手続きが多少煩雑になってしまいますので、ここでは「現物出資なし」の場合を解説させて頂いています。
それでは、早速、それぞれの書類の作成方法をご説明します。ここで書いている順番通りにご用意頂くとスムーズに進みますので、ご参考にして下さい。
2.代表社員の印鑑証明書を用意する(必須)
合同会社の登記申請の際には、代表社員に就任する者の印鑑証明書が必要となります。まだ印鑑証明書を取得していない方は、以下のサイトを参考にして、印鑑証明書を取得しておきましょう。代表社員が複数いる場合は、全員のものが必要です。
> 『印鑑登録から印鑑証明書の発行までの方法|印鑑登録のあれこれ』
3.払込み証明書を用意する(必須)
払込証明書とは、定款に記載している資本金がちゃんとあることを証明するための書類です。以下のステップで作って行きましょう。
3.1 資本金を払い込む
定款の作成が終わったら、各社員が出資金を銀行口座に振り込みます。振込は代表社員に就任する者個人の普通預金口座に行います。口座は新規に開設しても既存の口座を使っても構いません。各社員が資本金を振り込みます。振込の際の注意点は以下の2点です。
・振込の年月日が定款の作成日以降であること
下の画像を参考にして下さい。
3.2 払込証明書を作る
資本金の払込みが終わったら払込証明書を作ります。
- 払込を受けた金額:代表社員の銀行口座に振り込まれた資本金の合計額を記入
- 日付:銀行口座に資本金が振り込まれた日付
- 住所・商号・氏名:それぞれを省略せずに記入し、横に会社の代表印(実印)を押します。
- ※捨印:書類の空白部分に訂正があった場合に備えて捨印を押しておきましょう。
次に、通帳のコピーを取ります。コピーが必要なのは、通帳の表紙、裏表紙、振込のページの3ページです。※画像では、コピー用紙1枚に全てをコピーしていますが、実際には1枚ずつ撮って下さい。
3.3 資本金の払込証明書を製本する
最後に以下の画像のように製本しておきましょう。※全てのページの見開き部分に会社の代表印(実印)で契印をして下さい。
4.印鑑届書を用意する(必須)
会社を設立する時は、個人の印鑑の実印登録と同じように会社の印鑑も実印登録を行うことが必要です。そのために必要なのが、この印鑑届書です。ここで実印登録をした会社印鑑は、今後も様々な書類に押すことになります。
> 印鑑届書の雛形をダウンロード > 印鑑届書記載例(※法務省サイトにリンクします)
合同会社を新設する場合、実際に記入する際は以下の2点が記載例と異なりますので確認しておきましょう。
・「資格」の箇所は、カッコ部分に(代表社員)と記入しましょう。
5.本店所在地及び資本金決定書(場合により必要:当サイトの方法では必要です。)
本店所在地及び資本金決定書は、定款で本店所在地を最小行政区画までしか記載していない場合に必要となります。当ページでは、本店所在地の記載は、最小行政区画までにすることを推奨しています。そのため、この書類も用意しましょう。まずは、下記リンクより雛形をダウンロードして下さい。
・資本金:会社の資本金の総額を記入します。
・日付:定款作成日~払込証明書作成日の間の日付
・記名押印:最後に社員全員が記名し、その横にそれぞれの実印を押します。
・捨印:修正が必要な場合に備えて書類の空白部分に社員全員の個人実印で捨印をしておきましょう。
6.代表社員就任承諾書(場合により必要:当サイトの方法では必要です。)
代表社員の就任承諾書は、代表に就任する者がその旨に同意しているということを証明するための書類です。定款で代表社員を実名で定めている場合には必要ありませんが、当サイトでご紹介しているやり方の場合には必要となります。また、この書類は代表社員に就任する者の数だけ必要です。代表社員就任承諾書の雛形は下記よりダウンロードして下さい。
・住所:代表社員に就任する者の住所(印鑑証明書と同じ住所に)
・氏名:代表社員に就任する者の氏名を書き、横にその者の個人実印を押します。(印鑑証明書と同じ住所に)
・捨印:修正が必要な場合に備えて書類の空白部分に就任者の個人実印で捨印をしておきましょう。
7.合同会社設立登記申請書
7.1 合同会社設立登記申請書
必要な添付書類を用意したら、いよいよ登記の際に使う登記申請書を作成しましょう。合同会社設立登記申請書の雛形は下記リンクよりダウンロードしてください。
・本店所在地:会社の住所を番地まで含めて正確に記入
・登記すべき事項:後ほどご説明する登記用紙と同一の用紙をフロッピーディスクで用意した場合は、「別添FDの通り」と記入します。
・課税標準金額:資本金の額を記入します。
・登録免許税:資本金×0.7%ですが、6万円に満たない場合は一律6万円になります。
・添付書類:当申請書に添付する書類を箇条書きで記入します。通数を間違えない様に注意しましょう。
・日付:法務局に申請書を提出する日の日付を記入します。
・記名押印:本店所在地の住所、会社名、代表社員の住所、代表社員の名前の順に記入します。代表社員の名前の横には会社の代表印を押します。
・法務局名:書類を提出する法務局名を記入します。合同会社設立の申請は、本店所在地を管轄する法務局で行います。
7.2 登録免許税の収入印紙
登録免許税は登記申請の時に収入印紙で納めます。A4のコピー用紙に収入印紙を貼付して、登記申請書と一緒に提出しましょう。また、収入印紙には絶対に消印をしないで下さい。
7.3 登記用紙と同一の用紙
「登記用紙と同一の用紙」とは、登記すべき事項を記入したものです。これは紙ではなく、CD-RやFD(フロッピーディスク)で提出することができます。紙の場合は、OCRという専用の用紙を法務局に取りに行ったりする手間がかかってしまいますが、CD-RやFDだとテキストファイルで簡単に作成することができます。
作成はとても簡単です。テキストを開いて下記のように入力して下さい。
「本店」○○○○○○○○○○○○○○○○丁目○番○号注:本店の住所を正確に記入
「公告をする方法」当会社の公告は電子公告による方法とする。http://○○○○.com/
注:公告の方法を定款通りに記載します。電子公告の場合は電子公告を行うサイトのURLも記載しておきましょう。
「目的」注:定款に記載している目的をそのまま記載します。
1.○○○○○○○○○○○○○○○○
2.○○○○○○○○○○○○○○○○
3.○○○○○○○○○○○○○○○○
4.前各号に附帯関連する一切の業務
「資本金の額」金○○万円注:資本金の額をそのまま記載します。
「社員に関する事項」注:代表社員になる者の氏名を一番最初に記入し、最後に代表社員の住所と氏名を書きます。
「資格」業務執行社員
「氏名」○○○○
「資格」業務執行社員
「氏名」○○○○
「資格」業務執行社員
「氏名」○○○○
「資格」代表社員
「住所」○○○○○○○○○○○○○○○○丁目○番○号
「氏名」○○○○
「登記記録に関する事項」設立
様式に関する細かい注意点は、法務省の『商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した磁気ディスクの提出について』をご確認下さい。作成後、このテキストファイルをCD-RかFDに保存しましょう。テキストのファイル名に決まりはありません。データを保存したら、会社名を書いたシールを貼付しましょう。
9.書類を綴じる
以上の書類を準備したら、最後に書類を製本します。まず、以下の書類を下記の順番通りに並べてホチキスで留めましょう。
- 合同会社設立登記申請書(申請書+収入印紙を貼った台紙)
- 本店及び資本金決定書
- 代表社員の就任承諾書
- 代表社員の印鑑証明書
- 払込み証明書
そして、登記申請書類と印鑑届書はクリップで留めておきます。以下の画像を参考にして下さい。
10.書類の準備が終わったら法務省で設立登記へ
書類の作成が終わったら、後は法務局に行って登記を行うだけです。登記の手順に関しては、株式会社の設立の時と変わりはありません。『会社登記の具体的な手順と必ず抑えておくべき6つの注意事項』で詳しくご説明させて頂いておりますので、そちらをご覧下さい。