会社設立時の費用は経費に含められる?仕訳はどうすればいいのか

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
会社設立支援や資金調達支援など、これから起業を検討している方やすでに起業している経営者の皆さんを様々な角度からサポートしています。

会社設立には、登録免許税などの会社設立費用がいろいろとかかります。どうせなら、会社設立費用を経費にしてしまいたいですよね。一般的に、費用を経費として扱うには、仕訳(取引を勘定科目として分類)することが必要です。
こちらの記事では、会社設立費用をどの勘定項目で扱うべきか、仕訳のコツについてご紹介します。

1.会社設立時の時期を3つに分けて考える

会社設立費用の仕訳をするには、会社設立前後の流れを知ることから始めましょう。

「会社設立」と一言でいっても、具体的には、3つの時期があります。

1つめは会社設立に必要な準備をする時期、2つめは会社設立の手続きが完了する時期、3つめは営業を開始する時期です。

  1. 設立準備
  2. 会社設立(手続き完了)
  3. 営業開始

一般的に、3つめの段階に達して、通常の営業ができるようになるまでを会社設立として扱います。

ここで問題なのは、会社設立の前後で、計上する費用の目的が変わることです。

会社設立の手続きが完了する前までは、会社を設立するための費用ですが、会社設立の手続きが済んだら、営業を開始するための費用に切り替わります。

そのため、設立準備から会社設立までの時期にかかる費用を「創業費」、そして会社設立から営業開始までにかかる費用を「開業費」と大きく2つに分け、会社設立時の費用として、正しく仕訳する必要があるのです。

2.創業費には何が含まれる?

「創業費」は、会社設立を思い立った時から実際に会社設立が完了するまでにかかる費用の総称です。別の呼び名で、創立費と呼ぶこともあります。
会社設立をするには、さまざまな手続きが発生します。

まず、会社のルールである「定款」を作成します。その「定款」を認証してもらい、資本金を払込、最後に法務局に登記申請します。この一連の手続きに関わる費用は「創業費」として計上できます。

実際には会社法で「会社定款で『この費用は創業費に含める」という記載がないといけない」と定められていますが、以下の通り、標準的な費用であれば、特に会社定款に記載がなくとも、創業費としてみなされます。

【創業費の具体例】

登録免許税・振込手数料

(例、15万円、420円)

定款認証作成料・定款印紙代

定款謄本代

(例、9万2千円)

発起人報酬費用、雇用する従業員への給与

(例、20万円)

(例、30万円)

法人印鑑作成費用印鑑証明書代

(例、1万円、450円)

事務所・会社の賃貸料(例、25万円)行政書士・司法書士への報酬費用※依頼した場合(例、20万円)
ミーティングをした場合の交通費やカフェ代(例、2千円)株券等の印刷料金(例、1万円)株主総会の開催費用(例、5万円)

創業費の中でよく忘れられがちなのは「発起人報酬費用」です。

発起人とは、会社を設立しようと決めて実際に手続きをしている人、またはその人たちのことです。会社設立のためにいろいろ動いているわけで、その報酬を得て、対価を計上してもよいのです。
資本金を会社設立費用として利用する流れとしては、まず資本金が会社設立時に振り込まれ、そのお金を創業費・開業費として利用します。

帳簿上で資本金を計上すると、以下のような図になります。

借方貸方
現金(資産)資本金(資本)

資本金を振り込んだあと、創業費として資産へ計上すれば問題ありません。

借方貸方
創業費(資産)現金(資産)

3.開業費には何が含まれる?

会社設立の手続きは、法務局で登記申請が提出し受理された日に完了します。そのため、法務局で登記申請を提出した瞬間から、それ以降にかかる開業に向けての費用の呼び名は「開業費」となります。

創業費は、どの会社でもだいたい似たような項目になりますが、開業費については、その会社の行う事業分野によって非常にバラツキが出ます。
注意したいのは、開業費はその間のすべての費用を開業費にしてはならない点です。

例えば、商品や材料など仕入がある事業では、仕入れたものの費用を開業費にはできません。商品が売れたときに初めて「売上原価」として費用計上するため、営業開始までは在庫として会社の資産として扱います。
また、土地や建物、機械、車、ソフトウェアなど、購入単価が10万円以上の資産の場合も、税法上「固定資産」として扱う必要があるため、開業費にすることはできないので、注意しましょう。
開業費用には、以下のような項目があります。

【開業費の具体例】

市場調査費用(例、20万円)広告費用(例、35万円)印鑑・名刺作成費用(例、2万5千円)
交際費(例、5千円)研修・資格取得費用(例、3万円)

開業費として市場調査費用を支払った際の仕訳は、以下のようになります。

借方貸方
開業費(資産)現金(資産)

4.仕訳をする際、創業費・開業費は費用ではなく繰延資産になる

さて、会社設立費用として創業費・開業費を帳簿付けするとき、個人の視点では、ついつい「費用」として考えてしまいがちです。

しかし、会社としては、創業費・開業費は「繰延資産(くりのべしさん)」としてみなすべきです。
繰延資産とは、減価償却と同じような考え方で、支出の効果が1年以上にわたる資産です。

創業費・開業費は常にかかる費用ではなく、一時金で、一度会社設立をしたあとは、あなたが会社を廃業するまで何年でも会社は継続できます。そのため、税法では創業費・開業費は任意の期間で償却処理をすることが認められているのです。
例えば、会社設立費用として創業費・開業費に150万円がかかったとしましょう。

繰延資産として計上せず、単純に「経費」として計上した場合、150万円を越す利益が出せないと、会社の見た目は赤字になってしまいます。

創業まもない時期はすぐに売上も利益も出せない会社が一般的です。

創業費・開業費の見せ方のせいで赤字の会社として認識されると、思うように融資が受けられず、そのまま会社の資金繰りが難しくなることもあり得ます。
創業費・開業費を「繰延資産」として計上する場合、会社が赤字の時は償却処理をしなければ、会社は赤字として判断されません。

会社に利益が出た黒字の時に、繰延資産を償却処理すれば、会社設立費用が会社の経営を圧迫することもないでしょう。
繰延資産のポイントについては、詳しく解説している当サイトの次の記事もぜひご覧ください。

決算時で確認したい繰延資産のポイント4つ

 まとめ

会社設立費用は、創業費・開業費に大きく分け、繰延資産として計上するのが、経営者としてベストな選択です。

複数年かけて利益を出しているタイミングで償却処理をし、会社設立費用をうまくやりくりしましょう。

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