育休の取得予定者は、年休の計画的付与の対象となるのでしょうか?

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
会社設立支援や資金調達支援など、これから起業を検討している方やすでに起業している経営者の皆さんを様々な角度からサポートしています。

育休の取得予定者は、年休の計画的付与の対象となるのでしょうか?当社で、年次有給休暇(以下、年休)の計画的付与制度の導入を検討しています。
育児休業(以下、育休)の取得予定者に対して、計画的付与の予定日をどう扱うべきでしょうか?
また、1歳6ヵ月や、2017年10月に改正された育児・介護休業法による、最長2歳までの育休延長との関係はどうなるのでしょうか?

【結論】
育休を先に申し出ていた場合は、年休の計画的付与の対象となりません。
しかし、年休の時季指定が先に行われた場合は、計画的付与の対象となります。

年休の計画的付与とは、GWや年末年始を大型連休にする場合など、あらかじめ指定した労働日を年休に充てるという制度です。
労働者と使用者による労使協定の締結を条件とし、付与された年休のうち5日は労働者が自由に使うために残しておく必要がありますが、5日を超える日数については年休取得の時季指定(計画的付与)をすることが可能です(労基法39条6項)。

労働基準法では、育休と年休の関係について「育休申出後には、育休期間中の日について年休を請求する余地はない。また育休申出前に育休期間中の日について計画付与が行われた場合には、年休を取得したものと解される」としています(平3・12・20基発712号)。
つまり、“育休の申出が先か”、“年休の時季指定が先か”がポイントとなります。

1歳から1歳6ヵ月、そして2歳までの延長も本人の申出が前提となっているため、従業員が育休を申し出る前に、一斉付与方式等により、既に計画的付与の時季が決まっていた場合は、後から育休の申出があっても修正はできません。
現在1歳、あるいは1歳6ヵ月まで育休中の従業員が育休を延長した場合も同様に、時季指定が先になされることによって、年休の計画的付与は有効となります。

では、“育休の申出が先か”、“年休の時季指定が先か”によって、実務面でどのような影響があるのでしょうか?

「育休の申出が先」の場合は、計画的付与の余地はありませんので、年休は消化されずにそのまま残ります。
他方、「年休の時季指定が先」の場合は年休が消化され、その日数分の賃金支払い義務が生じます。
このとき育休取得者が雇用保険の育児休業給付金の受給権を有していれば、支払われる賃金額によって給付金が減額されることがあります。

年休の計画的付与の対象者について、「特別の事情により年休の付与日があらかじめ定められることが適当でない労働者については、年休の計画的付与の対象から除外することも含め、十分労使関係者が考慮するよう指導」(昭63・1・1基発1号)と定められています。

このため、どちらが先かという議論になると複雑になりますので、原則として育休対象者は計画的付与から除外するのが望ましいと考えられます。

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