これから事業をスタートさせる方は皆さん「成功」するイメージを持ってスタートされると思います。念願の独立、夢の実現のための事業スタートですからネガティブな気持ちでスタートさせる方はいないですよね。
しかし、本当に成功を掴むためには「現実」を知ることも大切なことです。
1.経営者がしっておくべき2つの現実
(1)会社生存率の存在
会社生存率とは、会社が生存している率を示したものです。もう少し簡単に説明すると設立した起業が廃業せずに事業を継続している率ということになります。
日本の中小企業の生存率を中小企業庁のデータから計算すると、創業後1年後が7割、創業後3~5年で6割~4割となっています。
つまり、創業後1年で約3割の企業が廃業しており、創業後3~5年後には約半数の企業が廃業となっているという現実があります。さらに、個人事業になると創業後1年で約4割が廃業しているというデータもあります。
夢や希望を抱いてスタートした多くの起業家の半数が、事業開始から概ね5年以内に廃業という苦しい現実に襲われてしまうのです。
(2)資金ショートは創業初期に起きやすい
創業から5年以内に約半数が廃業に追い込まれる理由は「お金がなくなる」といういたってシンプルで、しかし、シビアな現実があります。
会社のお金が無くなれば、事業は回らなくなり、廃業に繋がっていきます。
資金ショートは、会社が成長していく過程で避けては通れないですが、その資金ショートがもっとも起きやすい時期が創業初期となります。開業直後から売上も利益も順調に上がっていけば問題はありません。しかし、多くのケースでは創業当社は想定よりも売上が上がらず苦戦します。
状況の改善を図りたいと思っても、そこに投資するための資金もない、資金が無いということは新たな戦略を行うことも出来ないのです。
結果、売上を上げるための手を打つこともできず、家賃や人件費、仕入などのコスト負担ばかりがのしかかり廃業せざるを得なくなってしまうのです。
2.想定はあくまで想定。売上が0でも生活できる準備が必要
例えば、飲食店を開業する場合、開業に伴う費用は大きな金額となります。物件取得費、内外装費、厨房機器などの費用を合計すると1,000万円を超えることも珍しいことではありません。
開業のための費用はなんとか捻出したとしても、家賃、仕入、人件費などの運転資金は毎月必ず発生します。つまり、売上がまったくない状態であっても、支払う必要のある運転資金は毎月発生します。
そして、あなた自身の生活のための費用も必要となるのです。
創業から半年程度は生活費が入らないかもしれないということを覚悟しておく必要があります。
私達は、資金調達サポートをさせていただく際に、お客様に「開業前に最低でも半年間分程度は売上がゼロでも生活できるように生活費を貯めておいてください」とお願いします。
売上想定はあくまで想定です。想定通りに進まなかった場合に困ることがないように最善の準備を整えることが、廃業を避けるための方法のひとつではないでしょうか?
3.資金調達は創業時がもっとも重要
創業時にどれだけ資金に余裕をもたせることが出来るかが、その先の未来に大きく差をつけます。
本当にお金が必要になった時に、困らないように創業時に正しい資金調達を行うこと、そして、少しでも多くの資金調達方法を把握しておくことが経営者・創業者にとって重要なスキルと言えるのではないでしょうか?
私達は創業時の融資では日本政策金融公庫の融資をオススメしています。その理由は借りやすさがあります。民間の金融機関は創業前・創業直後の事業に対する融資には積極的ではありません。日本政策金融公庫は政府系金融機関であり、中小企業や小規模事業者を支援することを目的としています。
余剰資金を確保して、売れない時期を乗り切るための準備をしっかりとしてみませんか?
まとめ
事業を始めたら、経営者としてその事業の存続と発展を考える必要があります。事業を安定して進めるためには「お金」はとても大切です。そして、そのお金をどうやって
準備するのか、資金調達の方法を1つでも多く知っておくことが大切です。
今回の記事は株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一著「独立開業から事業を軌道に乗せるまで賢い融資の受け方35の秘訣」より抜粋してご紹介しています。
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