実際にあった雇用トラブル~事例集その2~

実際にあった雇用トラブル~事例集その2~近年、雇用中のトラブルは増えており、平成27年度の総合労働相談は100万件を超えました。
これは8年連続の増加となります。

これまでに、就業規則や給与規程、各種保険等について解説してきましたが、従業員採用を前にしっかり準備をしていても、思いがけないことで裁判沙汰になってしまったということがあります。
そこで、雇用中に実際に起こったトラブルの例から、どのような事柄が法的に問題になるのか、または問題にならないのかについて、さらに詳しく学んでいきましょう。
起こり得る問題を事前に想定して対策を練っておくことで、従業員と会社の両者が幸せになれる会社づくりを目指せます。

実際にあったトラブル「有給休暇問題」

質問:
私の会社は、社長である私1人と、パートの若い主婦の2人だけで切り盛りしています。
そのパートさんから
「来週の水曜日にお休みをいただきたいのですが……。有給休暇ということでお願いします」
と言われました。正社員ならわかりますが、パートに有給休暇が必要だとは思えません。

答え:
パートやアルバイトの従業員にも有給休暇をとる権利が発生します。

ですので、会社側は有給休暇を与えるということを前提で、時給や働き方を定めておく必要があります。
ただ、すべてのパート・アルバイトに同じだけの日数が発生するわけではありません。
まず、入社から6カ月以上の継続勤務と、その期間80%以上の出勤をしていなければ有給休暇自体が認められません。
つぎに、週に30時間未満で、週4日以下の場合、左の図のように比例付与方式で有給休暇が与えられます。
なお、週に30時間以上、あるいは1日1時間でも週5日働いている、または、1年間に217日以上働いている従業員の有給休暇は、正社員に準じます。
ただ、有給休暇の際に支払う賃金は、正社員と同じではなく、働き方に応じて少なくなります。
1日4時間しか働かない人の1日当たりの有給休暇として支払う金額は4時間相当です。

正確には、つぎのいずれかの方法で計算をします。
①平均賃金(過去3カ月間における1日当たりの賃金)
②通常の賃金(所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金)
③標準報酬日額(健康保険法の考え方に基づいた1日当たりの賃金)

このうちどれを基準として、計算するかは就業規則や労使協定で定めておきましょう。
一般的に通常の賃金を選択している会社が多いでしょう。

正社員の場合は、雇ってから6カ月間働いてくれた場合に、最低10日の有給休暇を与えることになっています。
さらに、1年ごとに1日増しで有給休暇は増えていきます。
6カ月働くと10日、1年6カ月働くと11日、2年6カ月働くと12日となります。
3年6カ月以降は1年ごとに2日増しで増え、6年6カ月働くと20日間の有給休暇を与える必要があります。
1年間に発生する有給休暇の上限は20日なので、6年6カ月以降は毎年20日間を与えればよいことになっています。
有給休暇の時効は2年ですから、長く勤めてくれている社員さんの有給休暇は最大で40日間にもなることがあります。
では、パートだった人が正社員に昇格した場合はどうなるのでしょうか。
入社から6カ月間はパートで、7カ月目に正社員になった場合、その年の有給休暇は正社員と同じだけ与えなければなりません。

実際にあったトラブル「みなし残業問題」

質問:
退職した従業員から、残業代の精算を求められました。
会社からはみなし残業代として、従業員に一律に支払っておりましたので支払いたくありません。
どうすればいいのでしょうか。

答え:就業規則に明記して制度として導入していないと、支払わねばなりません。

「今月で辞めさせてもらいますが、いままでもらっていなかった残業代をいただきたいのですが?」
「えっ!何言ってるの?うちはみなし残業だよ。給料に残業代は含まれている。君も納得して働いていたんじゃないのか」
「いえ。そういう認識はありません。残業代をお支払いください」

質問者の会社では、このようなやりとりがあったそうです。
もちろん、みなし残業代を従業員に支払っていたのは悪いことではありません。
ですが、固定残業代として支払うということを就業規則のなかに明記し、制度として導入していないと、裁判を行った場合に未払い残業代を支払わなければならないことになります。

過去の判例では、通常の労働に対する賃金と、時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分を明確に区別して、判別できるようにしておくべきだと述べられています(高知県観光事件・最二小判 平成6年6月13日)。

固定残業代にすると当然、基本給が小さくなります。
入社時にしっかり説明しておかないと、会社に不満を感じる従業員も出てくるでしょう。
ですから、固定残業代を導入していることをしっかりと従業員さんに伝えて、合意、納得のうえで働いてもらわねばなりません。
従業員からの理解を得るため、丁寧に説明するのは会社の役目となります。

また、説明の際には、その固定残業代が何時間分の残業代に相当するのかも伝える必要があります。
残業代の内訳がどうなっているかについては、就業規則以外にも、雇用契約を結ぶときに労働条件として文書で通知をしておきましょう。
すると、従業員はその内容を理解していたとして、裁判などでは有利になります。
ただし、たとえ固定残業制度を導入していたとしても、設定した残業時間を超えて働いた分については、残業代を支払う必要がありますので、注意してください。

そのほか、残業代に関してのトラブルで多いのは、従業員の“ダラダラ残業”です。
本当は残業する必要がないのに、残業代目当てで、就業時間以内には仕事を終わらせず、わざと労働効率を悪くしていく人がいた場合です。
残業をだまって見過ごしていると「黙示の時間外労働命令」が出されたとみなされ、残業が正当なものとなり、残業代を支払わなければなりません。
こうなると、人件費が膨大となり、会社経営を根幹から圧迫してしまうことになります。

ですので、時間外労働を許可制にしておくことをおすすめします。
申請書を作成し、業務の内容、申請の理由、予定時間数などを記入させ、あなたの承認を得てからでないと時間外労働ができないようにしておきましょう。



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