経営不振での減給は法律上問題があるのか。減給された従業員はどうなるのか

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
会社設立支援や資金調達支援など、これから起業を検討している方やすでに起業している経営者の皆さんを様々な角度からサポートしています。

経営者が考えるコスト削減で、最もやりたくないのは従業員の減給ではないでしょうか。心ある上司は、給与を下げようとしている部下が真面目で良い人ほど、心が痛むものです。しかし、会社を潰さないため減給は仕方ない場合もあります。

今回の記事では、従業員の減給を考えている経営者の方に向けて法律上の減給の扱いを中心に解説していきます。

1.経営者と労働者に関わる2つの法律・3つのルールとは

経営不振で減給したら、経営者は法律で罰則を受ける?と経営者としては気になりますよね。労働と雇用については国で以下のように2つの法律(労働基準法・労働契約法)と3つの決まり(労働契約・就業規則・労働協約)が規定されています。これらを正しく理解できれば、経営者判断による減給が法律違反かもより理解しやすくなります。

 
法律名
内容
ポイント
法律
労働基準法
労働条件の最低基準を定める日本国の法律
労使対等をベースとする労働基準の法律
労働契約法
労働契約のルールを規定する日本国の法律
労働者に周知で就業規則が優先
ルール
労働契約
経営者と労働者の双方がサインする個別契約
就業規則の記載給与が高い場合そちらが優先
就業規則
各会社の憲法
労働基準法を下回る条件が記載→その部分が無効
労働協約
労働組合と会社の双方がサインする契約
労働契約・就業規則・労働協約の中で最も優先

労働基準法は会社・経営者・労働者の3者を取り巻く憲法のような存在です。その次に重視されるルールは、労働協約です。例えば、あなたの給与が労働契約上では月額20万円だとしましょう。しかし、労働協約上に該当する給与が月額25万円と記載がある場合は、労働協約に記載の25万円を請求できます。

逆の場合も考えてみましょう。あなたの給与が契約時に月額25万円だと言われ、あとから労働協約や就業規則でそれより低い額の月額20万円だと記載されていたとしましょう。その場合、労働契約が優先されます。つまり、基本的に労働条件に関しては労働者に不利にならないよう設定されています。

2.【労働基準法】経営不振による減給について直接の記載はないのだが

経営者と労働者の最低条件を規定する法律が労働基準法です。労働基準法は会社の中で弱い立場となりがちな労働者を守るための日本の法律として、1947年に施工されました。

経営者が労働者を雇う際、給与や手当などの労働条件は原則として経営者が自由に決めてよいことになっています。また、労働者側も自由に労働条件を提示して良いことになっています。しかし、実際には会社で雇う側の経営者は常に労働者より上の立場となりがちです。

経営者が従業員の減給を考える際、この労働基準法に違反するかどうかという問題がよくクローズアップされます。「経営不振での言及は労基法(労働基準法の略)第91条に違反している!」と考える方もよくいらっしゃいます。けれども、労基法第91条で違反とされている減給は以下のように「従業員が社内の規律違反をした際の制裁」として単発での減給となり、経営不振での恒常的な減給については記載がありません。

【引用】知っておきたい働くときのルールについて|厚生労働省 労働基準局 監視可課

減給の定めの制限(労働基準法第 91 条)

労働者が、無断欠勤や遅刻を繰り返したりして職場の秩序を乱したり、 職場の備品を勝手に私用で持ち出したりする等の規律違反をしたことを理由に、制裁として、賃金の一部を減額することを減給といいます。1回の 減給金額は平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。また、~(以下、省略)

3.【労働協約】労働条件の不利益変更が労働者に認めらないと減給は不可能

労働協約は会社に労働組合がある場合に労働組合と会社が約束をする文書で、双方の記名と捺印が必要です。有効期限は終結から上限3年です。

労働協約で経営不振の際に減給をしても良い、と労働協約にあらかじめ書かれているのであれば、減給は可能です。けれども、労働協約に記載がない場合で経営者が一方的に言及した場合、労働組合側は対抗措置や賠償請求をしても良いことになっています。

4.【就業規則】不利益変更である「減給」は原則NG!

就業規則は労働基準法で規定されており、会社と労働者間のトラブルを防止することを目的としています。常時10人以上を使用する経営者は就業規則を管轄の労働基準監督署へ届け出なければいけません。(労働基準法第89条、90条)

さて、労働基準法9条では就業規則での労働者が不利になる変更(不利益変更)を認めていません。

使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働 条件を変更することはできません。(第9条)

労働基準法では経営不振などによる経営者都合の減給について直接の記載はありませんと前の方でご説明しました。が、労働基準法では就業規則を不利益に変更することを禁じているのです。

但し、この第9条には以下2つ例外が認められいます。

  • ①変更後の就業規則を周知させること
  • ②就業規則の変更が合理的である

減給が合理的と従業員に納得させるのはなかなか難しそうですが、例えば、テレワークなど在宅を取り入れ、それで交通費を浮かせた分労働時間を長くして時間給は減給する、などの方法もあります。従業員の希望とマッチするかは分かりませんが、100%不可能ではなさそうです。

ちなみに、合理的不利益変更が認められた場合でも変更後の就業規則を社内で周知しなくてはいけません。社内で掲示や周知をせずに一方的に就業規則を変更した場合は、変更部分が無効とされます。

5.【労働契約】労働者との合意の場合は不利益変更(減給)が可能

労働契約法では、経営者と労働者が減給について合意の場合は減給が可能と規定しています。しかし、労働者側が減給について承諾していない場合、経営者は一方的に給与を下げて支払うことはできません。

もしも労働者が経営者から給与を下げられて支払われた場合は、差額分を経営者に対して請求できます。証拠の給与明細や契約書などの書類を持って、労働基準監督署へ相談しましょう。

6.減給された従業員はどうするのか

不景気が続く中、実際に企業から減給された従業員はたくさんいると思います。ネットでのお悩み相談の投稿を見ると、口頭での相談が多く、上記のように就業規則の不利益変更を従業員みんなに周知・変更をしている企業はあまり見受けられません。「減給しないとこの会社はつぶれるし、減給しても辞めないだろう」と経営者が考えているのかもしれませんが、そこで働く従業員としてはたまったものではありません。

安定した経営には、きちんとした事業計画の作成や財務諸表の作成が不可欠です。適当な経営で減給を安易にするのではなく、減給よりコスト削減できることはないか、今一度考えてみましょう。

まとめ

経営不振での減給は法的に認められるように行うのはなかなか難しいのが現状です。安易な減給で必要な人材を失うのも得策ではありません。

経営不振になる前に、資金繰りを健全化するための事業融資もオススメです。(経営不振になってからでは融資は通りにくくなります)

 

 

 

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