キャッシュリッチ経営を社長が最低限知っておくべきお金の循環の話

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キャッシュリッチ経営をキャッシュリッチという言葉をご存じでしょうか。
ほとんどの人にとって、初耳だと思います。
普通はキャッシュフローというからです。
キャッシュフローとは資金の収支のことをいいます。
対して、キャッシュリッチというのは、資金の収支を改善して、正しいお金の流れ、循環を発生させ、その結果、会社にできるだけ多くのお金を残していこうという行為のことです。

お金を枯らすな、キャッシュリッチ経営を

キャッシュリッチ経営を行っている代表的な企業は、任天堂です。

先日、東洋経済オンラインが、お金を持っている会社トップ200社を公表しました。
ここで用いられた指標は、ネットキャッシュといわれるもので、総資産のうち現金がどれくらい(純現金総資産比率)を占めているか、という割合です。

任天堂は総資産のうちなんと60.9%を現金で所有しており、その額が7,900億円に上るというのです。
孫正義氏率いるYahoo!が57.3%の4800億円、柳井社長率いるユニクロのファーストリテイリングが31.7%の3,140億円であることを考えれば、そのすごさが理解できるでしょう。

起業して10年後には9割の会社が倒産しています。
これは、1,000万円以上の負債を抱えている企業のみの数字です。
ではこうした企業が倒産を防ぐためには、どうすべきだったのかというと、お金がありさえすれば、よかったのです。
お金があれば、会社は潰れないのです。

ご多分に漏れず、任天堂にも何度か経営危機が訪れています。

CD−ROMを使用し大ヒットゲーム機となったプレイステーションに押されたときです。
ほとんどのゲームユーザーがこちらに流れてしまったため、任天堂の経営危機が叫ばれました。

ですが、任天堂はWiiなどの新機種を発売し、あっという間に逆転してしまいました。
また、最近もスマホゲームに押されていますが、それでも、昨期は3年にわたる赤字から脱却し、コツコツと100万本以上のヒット作を数本続けて発売し、黒字に転じています。

なぜ、このような逆転が可能になるのかといいますと、お金を持っていたからなのです。
お金を持っていたら、多少の赤字でも動揺しなくて済みます。

「じっくり腰を据えて」、景気の回復を待ちながら、莫大な費用がかかる新型ゲーム機、ゲームソフトの研究開発に没頭できるのです。

では、任天堂がどのくらいの年月「じっくり腰を据えて」いられるのかを説明します。

いろいろな計算方法がありますが、たとえば、最近で一番業績が悪く大きな営業赤字、2012年度の約360億円を毎年垂れ流し続けたとしても、先述したキャッシュ 7,900億円÷360億円=21年間、となり、21年間は会社がびくともせず存続できる計算になります。

キャッシュリッチの基本は「とにかくお金を残す」

キャッシュリッチ経営を目指すにはどうすればいいのでしょうか。
一番単純で簡単な方法は、黒字が出たら、無理にお金を使おうとせずに、多少の税金を払ってでも会社にお金を残すことです。
キャッシュを残すことで会社は強くなりますし、その利益で会社はさらなる「好循環」の輪に入っていけるのです。

会社がキャッシュリッチ経営を目指すには、どこがポイントになるのでしょうか。
図で紹介しておきます。

会社のお金の流れ
1.仕入債務、借入金、純資産などにより集めたお金が、2.の収益(売上)というように増えながら、3.費用を払って減り、4.売上債権、棚卸資産、設備投資というように、一時的に形を変えて、5.現金預金という形で大きくなって戻ってくるのです。

前項の社長さんの場合、④の売上債権、棚卸資産、設備投資、これらこそが、会社の売上が10倍近くに伸びても、キャッシュが手元に残らない原因であるということが理解できていなかったのです。

売上債権は、取引相手をよく見極め、期日を決めてきっちり回収することで、減らすことができます。
たとえば、Aという顧客には半年先の手形払い、Bには2カ月後払い、Cには1カ月後払いなど顧客によってばらつきがあるとすれば、A、Bに対してCの条件を提案してみてはどうでしょうか。
ダメで元々ですし「税理士と銀行から、顧客の支払条件を一律にしろといわれまして」という伝え方もあります。

棚卸資産は、これまでの月ごとの売上をできるだけ把握し、どのぐらいの在庫量が適正なのかが判断できれば、減らせます。
ちなみに、2015年、フォルクスワーゲンを抜いて、再び世界一の座に返り咲いたトヨタ自動車の効率経営の秘密は、在庫量の調整にあるということは、昔からの有名な話です。
地味なようですが確実に効果があります。

設備投資は、売上予測や入金予測をしっかり把握し、無理して投資せず、タイミングを見計らって中古を購入するなどの検討をしましょう。
また、「リース」も一度にキャッシュが減りませんので検討の余地があります。

特に、介護事業に必要な機器や、飲食業での厨房機器は、新品を購入すると非常に高価です。
最近では専門の中古業者があります。

この3つを減らすことで、あなたの会社は「キャッシュリッチ」経営を実感できるようになるでしょう。

月商の3カ月分を確保しよう

では実際のところ、手元にはいくらぐらいの運転資金が用意できれば、経営上、安全といえるキャッシュリッチ経営を目指せるのでしょうか。

先ほどの例に挙がった任天堂のように、何十年分ものキャッシュがあれば理想ですが、創業間もない皆様の会社では、3~6カ月の間に売上がゼロだと仮定しても大丈夫なぐらいの金額でOKです。

もう少し具体的な金額を申し上げたいのですが、創業の時期、会社の規模、業種業態によって違うので一概にはいえません。
たとえば、飲食業で創業するのであれば、現在は繁盛している店でも、開店直後から軌道に乗るまでに平均6カ月程度はかかったとされています。
ですので、月商の6倍ぐらいは資金に余裕を持って独立したほうが無難だといえます。
そして事業が順調になってきた時点で、3カ月分ぐらいに引き下げてもいいでしょう。

美容室では、借入金やリースの返済分を除くとすると、経費のほとんどはスタッフの人件費と家賃になると思います。
繁盛店でも最初の3カ月間ほどは赤字になるのが普通ですので、この時期を乗り越えるために(人件費+家賃)×3カ月分ぐらいの、運転資金を用意しておきましょう。

 

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